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バラ園での告白
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ミカが待ち合わせ場所のバラの庭園に行くと、ソフィアは、白いベンチに座り読書をしていた。
昼食の時間で皆食堂にいるためか、周囲に他には人は誰もいないなかった。
赤や黄色に咲き誇るバラの前で、本を読みふけっているソフィアの様子は、とても絵になる光景だった。
「ごめん!ソフィア!お待たせ!」
「あ、ミカエル様!私こそ、お呼び立てしてしまい申し訳ありません!」
ソフィアが本を閉じながら、慌てて席を立った。
「2人だけで話したいことって何かな?·····もしや、ダンスのこと?」
「そうなのです!·····ダンスを·····お願いしたくて·····」
ソフィアがもじもじしながら、顔を赤らめた。
「やっぱりそうかー!でも、私も教えられるほど、上手ではないんだよねー」
「·····?いちおう私もダンスは踊れますので、教わらなくても大丈夫です!·····初心者なのであんまり、上手ではないかと思いますが·····」
「あれ?そうなの·····じゃあ、ダンスのお願いって?」
「あの·····明後日のダンスパーティで、私と踊って頂けませんか?」
「え!私と!?ジェスとじゃなくて?」
ソフィアは、赤くなり俯いていたが、意を決したようにミカの目を見て言った。
「はい·····私、ミカエル様が好きなんです!」
「ええ!?」
(ど、どうしよう·····いや。でも。いい加減な答えはソフィアにもジェスにも申し訳なさすぎる·····人を好きになるって、そのまま結婚して子供が産まれることに繋がることを考えれば、本当に歴史も動かす重大なことに思えてきた·····ここは、はぐらかす訳にはいかない)
「ソフィア、ありがとう。気持ちはとても嬉しいよ。·····でも、伝えないといけないことがあるんだ·····」
ミカがシャツのボタンを脱ぎだしたのを見て、ソフィアが真っ赤になって慌てた。
「え!ミカエル様!?な、なにを?」
ミカは包帯をグイッと下におろし、胸元の谷間を見せて言った。
「騙してて、ごめん!私、実は女なんだ。ちょっと訳あって男装してるだけなの!本当に申し訳ない!」
「そ、そんな·····まさか···············あなたがそうだったなんて!?」
ソフィアの予想外の反応に、ミカは不思議に思った。
「『あなたがそうだった』ってどういう事?」
ソフィアは顎に手を当てて、急に深く考え込んだ表情でミカに言った。
「·····3日後の学校が休校の日、午後4時にまたここで待ち合わせして頂けますか?お渡ししたいものがあります·····実家に1度取りに帰らないといけないので·····朝イチで家に帰りますので、16時までには戻って来れると思います。·····あ。告白については取り下げますね。私の好きは恋愛の好きではなく、憧れの好きだったのだと自覚しました。」
ソフィアが冷静に、テキパキと言った。
「あ、うん。なんか、ごめんね。·····待ち合わせは大丈夫だけど。渡したいものって??」
「キティ家に代々伝わる、リカルド・キティの手紙です。母が亡くなるとき私に託したのです。」
「リカルド・キティってソフィアの祖先なんだよね?」
「血縁ではありますが·····正確には私の祖先はリカルド・キティの妹にあたる人がそうです。本好きな彼女のために、リカルドは図書館を建てたとも言われてます。リカルド・キティは男性を好きな男性だった為、結婚もしてませんし、子供もいなかったそうです。」
「あのリカルド・キティは、男性を好きな男性だったの!?」
「この国では、恥とされてるので公にはされてませんが·····そう伝え聞いています。」
「その、リカルド・キティの手紙をなんで私に渡すの?」
「その手紙の宛名が『男装した女性のアナタへ(注意・そうでない人がこれを読むと酷い目にあうわよ。くれぐれも本人以外は読まないようにね)』となっているからです·····。代々、男装した女性に会ったら渡すように、と言い伝えられて受け継がれてきたのです。·····生涯、そんな人に会うことはないだろうと思ってましたが·····まさかミカエル様がそうだったなんて·····驚きです。でも、気づけてよかったです。」
「そんな手紙が!?·····何百年も前の人が、私の行動を予測していたってこと!?」
「リカルド・キティの使獣の力『未来予知』は、本当に凄かったと伝え聞くので·····ありえない話ではないと、私は思います。」
「そっか·····そうなると、手紙の内容がとっても気になる·····」
「はい。きっと、すぐにお渡しした方が良いと思うのですが、申し訳ありませんが実家に戻るのに時間がかかるので、往復するのはお休みの日じゃないと無理なんです。」
「うん。ありがとう。お休みの日にわざわざ取りに行って貰える事に、とっても感謝するよ。····っと、そうだ。忘れてた。ダンスの件なのだけど·····私は男性パートで1度も踊ったことないから、お互い初心者同士だと厳しいと思うから、ソフィアは他の男子生徒と踊った方が良いと思うんだけど、どうかな?」
「そうですね。ミカエル様の言う通りだと思います。誰か他の男性にダンスはお願いしてみますね。·····ではでは、お引き留めしてすみませんでした。もうお昼の時間が、ほとんど残ってないですよね?急がないとですね!ミカエル様、色々ありがとうございました!」
「こちらこそ、ありがとう!」
ミカは走り去っていくソフィアの後ろ姿しか見ていなかったので、ソフィアが泣いていることには気づかなかった。
昼食の時間で皆食堂にいるためか、周囲に他には人は誰もいないなかった。
赤や黄色に咲き誇るバラの前で、本を読みふけっているソフィアの様子は、とても絵になる光景だった。
「ごめん!ソフィア!お待たせ!」
「あ、ミカエル様!私こそ、お呼び立てしてしまい申し訳ありません!」
ソフィアが本を閉じながら、慌てて席を立った。
「2人だけで話したいことって何かな?·····もしや、ダンスのこと?」
「そうなのです!·····ダンスを·····お願いしたくて·····」
ソフィアがもじもじしながら、顔を赤らめた。
「やっぱりそうかー!でも、私も教えられるほど、上手ではないんだよねー」
「·····?いちおう私もダンスは踊れますので、教わらなくても大丈夫です!·····初心者なのであんまり、上手ではないかと思いますが·····」
「あれ?そうなの·····じゃあ、ダンスのお願いって?」
「あの·····明後日のダンスパーティで、私と踊って頂けませんか?」
「え!私と!?ジェスとじゃなくて?」
ソフィアは、赤くなり俯いていたが、意を決したようにミカの目を見て言った。
「はい·····私、ミカエル様が好きなんです!」
「ええ!?」
(ど、どうしよう·····いや。でも。いい加減な答えはソフィアにもジェスにも申し訳なさすぎる·····人を好きになるって、そのまま結婚して子供が産まれることに繋がることを考えれば、本当に歴史も動かす重大なことに思えてきた·····ここは、はぐらかす訳にはいかない)
「ソフィア、ありがとう。気持ちはとても嬉しいよ。·····でも、伝えないといけないことがあるんだ·····」
ミカがシャツのボタンを脱ぎだしたのを見て、ソフィアが真っ赤になって慌てた。
「え!ミカエル様!?な、なにを?」
ミカは包帯をグイッと下におろし、胸元の谷間を見せて言った。
「騙してて、ごめん!私、実は女なんだ。ちょっと訳あって男装してるだけなの!本当に申し訳ない!」
「そ、そんな·····まさか···············あなたがそうだったなんて!?」
ソフィアの予想外の反応に、ミカは不思議に思った。
「『あなたがそうだった』ってどういう事?」
ソフィアは顎に手を当てて、急に深く考え込んだ表情でミカに言った。
「·····3日後の学校が休校の日、午後4時にまたここで待ち合わせして頂けますか?お渡ししたいものがあります·····実家に1度取りに帰らないといけないので·····朝イチで家に帰りますので、16時までには戻って来れると思います。·····あ。告白については取り下げますね。私の好きは恋愛の好きではなく、憧れの好きだったのだと自覚しました。」
ソフィアが冷静に、テキパキと言った。
「あ、うん。なんか、ごめんね。·····待ち合わせは大丈夫だけど。渡したいものって??」
「キティ家に代々伝わる、リカルド・キティの手紙です。母が亡くなるとき私に託したのです。」
「リカルド・キティってソフィアの祖先なんだよね?」
「血縁ではありますが·····正確には私の祖先はリカルド・キティの妹にあたる人がそうです。本好きな彼女のために、リカルドは図書館を建てたとも言われてます。リカルド・キティは男性を好きな男性だった為、結婚もしてませんし、子供もいなかったそうです。」
「あのリカルド・キティは、男性を好きな男性だったの!?」
「この国では、恥とされてるので公にはされてませんが·····そう伝え聞いています。」
「その、リカルド・キティの手紙をなんで私に渡すの?」
「その手紙の宛名が『男装した女性のアナタへ(注意・そうでない人がこれを読むと酷い目にあうわよ。くれぐれも本人以外は読まないようにね)』となっているからです·····。代々、男装した女性に会ったら渡すように、と言い伝えられて受け継がれてきたのです。·····生涯、そんな人に会うことはないだろうと思ってましたが·····まさかミカエル様がそうだったなんて·····驚きです。でも、気づけてよかったです。」
「そんな手紙が!?·····何百年も前の人が、私の行動を予測していたってこと!?」
「リカルド・キティの使獣の力『未来予知』は、本当に凄かったと伝え聞くので·····ありえない話ではないと、私は思います。」
「そっか·····そうなると、手紙の内容がとっても気になる·····」
「はい。きっと、すぐにお渡しした方が良いと思うのですが、申し訳ありませんが実家に戻るのに時間がかかるので、往復するのはお休みの日じゃないと無理なんです。」
「うん。ありがとう。お休みの日にわざわざ取りに行って貰える事に、とっても感謝するよ。····っと、そうだ。忘れてた。ダンスの件なのだけど·····私は男性パートで1度も踊ったことないから、お互い初心者同士だと厳しいと思うから、ソフィアは他の男子生徒と踊った方が良いと思うんだけど、どうかな?」
「そうですね。ミカエル様の言う通りだと思います。誰か他の男性にダンスはお願いしてみますね。·····ではでは、お引き留めしてすみませんでした。もうお昼の時間が、ほとんど残ってないですよね?急がないとですね!ミカエル様、色々ありがとうございました!」
「こちらこそ、ありがとう!」
ミカは走り去っていくソフィアの後ろ姿しか見ていなかったので、ソフィアが泣いていることには気づかなかった。
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