オバケに恋した花子さん

Hitori

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はじまり

はじまり

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「ゆ.....ユウキ君」


私の名前


私の名前は


「.......わ、私の..名前は.....」

言葉が出てこない

自分の名前が思い出せない

そもそも、私は誰....

なんで、ここにいるの


困惑している私を察したのか
ユウキ君が

「大丈夫。落ち着いて」

そう言って優しく頭を撫でてくれた

「私、自分の名前が思い出せない...みたい」

「他に覚えてる事は?ある?」

「.....校舎から、私ね飛び降りたの」


それしか思い出せない

「そっか....他には?」

ユウキ君は悲しい表情で見つめる

私は首を横に振り

「思い出せない....」

ユウキ君に会うまで
考えもしなかった


なのに、どうしてだろう

苦しい

胸が締め付けられる



そう思っていた矢先

嫌な音が遠くの暗闇から聞こえてきた

ドン ドン ドン ドン...

大きい何かが歩く足音みたいな

「何?この音...嫌な音だね」

「やばい、アイツが来た」

ユウキ君の表情が強張った

「アイツって...?」

「見つかったら最後なんだ
 とにかく今は...俺についてきて!」

そう言って、ユウキ君に手を引っ張られ
暗い道の先を走り出した

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