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同居人は、変な女。(ディーダ視点)

第22話 初めてもらった俺だけの(3)

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 店のドアをまたカランカランと鳴らす。
 奥に引っ込んでたバイグルフがまた奥からドスドスと出てきて、俺たちを見て目を丸くした。

「え、お前らそれ、さっき買った布じゃねぇのか……?」
「知らねぇよ」
「気がついたら出来てて『着ろ』って言われたから着ただけだし」

 素っ気なく言いながら、店の入り口に置きっぱなしだった荷物をヨイショと持ちあげる。が、何だかものすごく視線が痛い。

「おいコラ見んなや」
「いやぁ、だってなぁお前、この短い時間で服一式を二人分って。まだ精々四時間だぞ。それを手縫いで。……あれ、でも布が一色足りねぇな」
「なんか『仮縫い』って、言ってたぞ。何の事かは知らねぇけど」
「このクオリティーで仮縫い……いやでも確かに言われてみれば、所々作りが甘いところもあるか。でもこの色合い、確かにこいつらによく……」

 顎に手を当て、ブツブツブツブツとなんか言っている。

 服のいい悪いとか俺にはまったく分かんねぇけど、なんかちょっとムッとした。何がって、ちょっと物欲しそうな目をしてる辺りが特に、腹が立つ。

「これは俺のだ!」

 睨みつけながらきちんと一言言ってやったら、バイグルフは片眉を上げて「取らねぇよ」と言ってきた。

 なんか口元に手の甲を当てながら面白そうな顔で見てくるのが妙に腹立ったんだけど、俺が何か言い返す前に、思い出したかのように「あ、ちょっと待ってろ」と言って一度店の奥へと引っ込む。

 逃げたなあのヤロウ……と思ったんだが、出てきた時の手元を見て、納得した。

「あの嬢ちゃんにちゃんと言っとけ。こんな大金、おいそれと他人に預けるなって」

 呆れ気味に言いながら渡されたのは、泥を拭った後が僅かに残る革袋。

 あー、そうだった。あの時はあまりの剣幕に口を挟む余裕が無かったが、あの女、財布ごと全部この店に置いてきやがったんだ。

 本当に、警戒心がガバガバかよ。ったく、帰ったらすぐに説教だ。

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