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二人と一緒に生活すると決めたフィーリアは、お供を連れて街にくり出す。

第14話 不器用ディーダ(1)

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 案内された商店には、食品と鍋や食器などのキッチン用品が綺麗に整列させられていた。

 どこか訝しげな表情の店員がまるで監視でもするかのようにこちらをチラチラと見ているのが少し居心地が悪いけれど、商品自体はどれも簡素で飾りっけがない代わりに、必要最低限の機能を果たすシンプルで実用性のあるもののように見える。
 普段使いには十分だ。

「とりあえず今必要なのは、お鍋と包丁とまな板と食器類、ですかね?」

 あの家には、調理する道具が一つも置いていない。一応掃除をしながら確認してみたところ、薪で火を起こせば食材を焼いたり煮たりはできそうだった。
 だからこそ、道具が一つもないのは勿体ない。

「ったく、道具なんかなくっても、出来上がってるものを買えばいいだろが」

 興味なさげに道具を眺めるディーダに言われて苦笑する。
 たしかに今までそれで不自由に思ってこなかったのだろうから、彼等にとってはそうなのだろう。
 しかしそれはあくまでも、彼らが食事があったり無かったりする環境に慣らされているからというだけの話だ。
 今の状態が彼らの体に必ずしも問題ないのかと言うと、それはまた別の話になる。

「出来合いのものは購入後に保存がききませんが、食材であれば多少の買い置きが可能なのですよ。自炊ができるようになれば、貴方達が雨の日に食べ物を入手し損ねてお腹を減らす事も無くなりますし、出来立てホヤホヤの温かいものがいつも食べられます」

 どれくらいの期間、食材が物持ちするのかは、屋敷での生活で厨房に出入りしていて少し知っている。
 少なくとも出来合いのものを貯蔵するよりは、よほど持つ。やはり育ち盛りの彼らには、毎日きちんと食べてほしい――と考えて、私はふと二人についてまだ知らない事があったと気がついた。

「そういえば、お二人って今おいくつですか?」
「あぁ? 何だよ急に」
「いえ、ふと気になって」

 お互いに年齢を明かす事はなかった。
 それどころか私は、二人に自分の素性を何も話していない。
 それでも彼らは「関係ない」と言わんばかりに聞かずにいてくれている。もしかしたら単に私に興味がないだけなのかもしれないけれど、私はとても助かっている。

 そんなだから、二人の年を私は知らない。
 外見から見るに、十二歳くらいだろうか。ちょうど私の息子・マイゼルと同じ年頃のように見える。
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