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第12話 もう一度言っておきますね?(2)

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 ここまで大っぴらに『公開討論』をしたのである。
 おそらく王宮から何かしらの横槍が入るだろう。
 校内でのアレコレには基本的に王族はノータッチだが、ここまで王族の名誉に関わる問題となれば、話は別だろうから。

 しかしまぁ、それについてはきちんと逃げ道がある。
 私の心配はおそらく要らない。



 しかしここで、殿下は残弾を全て打ち終えたのか。
 返される言葉が無くなった。

 さて。
 じゃぁこの場も、そろそろ締めくくる事としよう。

「殿下。もう一度だけ、私の意思をきちんとお伝えしておきます。殿下の婚約者で無くなった今、生徒会活動に参加するつもりはもう微塵もありません。そしてどんな立場を用意されても、私が再び殿下のお側に侍る事もこの先絶対にありません」

 ここは絶対に譲れない。
 たとえ王命があっても、それは同じだ。

 ここまでの事があって王族に直接仕えるだなんて、そんな事我が公爵家のプライドが許さない。


 もし万が一そんなものを振りかざされた日には、国外にでも逃げるとしよう。
 そういう外交上の伝手なんかは、ありがたい事に今までの社交で既に得ている。

 これも真面目に婚約者としての義務を果たした成果である。
 本当に全ての王族教育とその為の努力は、何かしらの役に立つ。
 
 そんな事を思いながら踵を返し、「あぁ」と思い出して付け足しておく。

「今回殿下が行った数々の侮辱については、近日中に両親伝手で陛下のお耳に入ると思いますから、そのつもりで居てくださいね?」
「侮辱?」
「えぇ。この公衆の面前で『私が殿下を好いている』などという嘘を吹聴し、私が日々真面目にこなしてきた生徒会活動や人脈作りを『私欲のためだろう』と侮辱した上にリズリーさんを虐めたなどという濡れ衣を着せようとした。これだけの事が揃っていれば、幾ら第三王子という立場におられる殿下でも、陛下からお叱りを受ける事でしょう」

 今までのアレコレを頭の中で整理しつつ、簡単に並べ立てる。
 言いながら、私自身「うわ、これは本当にひどい」と思ったのだ。
 周りがそう思わない筈がない。
 そしてそれは、おそらく息子に甘い陛下も然りだ。


 これを聞いて、殿下もやっと自らが行った事の恐ろしさに気が付いた様である。
 顔をサッと青くした彼に、私は今度こそ満足してその場を後にする。

 流石にこの騒動の後だ。
 まだ授業は残っていたが、教師に早退を告げて私はすぐに帰路へと着いた。


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