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第2話 どうしてなのさ?
しおりを挟む「心配しなくても簡単だよ? 僕を受け入れて名前をくれるだけで良いんだ」
本当は色々と制約があるのだが、今回は全て準備してきた。
だから本当に、名前をつけてくれるだけで良い。
「契約を結べば、君にも魔法が使える様になるんだよ? 色々と便利だし、周りからもチヤホヤされるよ?」
厳密に言えば魔法と精霊魔法とではその根源とかやれる事とかが微妙に異なってくるのだが、全てにおいて精霊魔法の方が効果は上だ、嬉しい事はあっても残念がる様な事は何も無い。
それなのに、何故か彼女はフルフルと顔を横に振る。
「悪者をやっつけられるし」
フルフル。
「人々の怪我を治したり出来るし」
フルフル。
「王様とかとも仲良くなれるかも」
フルフル。
彼女はどこまでも頑なな様子を崩さない。
「どうしてさ?」
良い事づくめなのになぁ。
そんな風に思いながらそう聞けば、彼女は「だって……」と口を開く。
「……怖いもの」
「怖い?」
意味が分からない。
一体何が怖いのだろう。
「悪者をやっつけられるくらい強いのに、一体何が怖いのさ」
「だって悪者さん怖いし……」
「じゃぁ良い人の怪我だけ治せば良いんじゃない?」
「だって怪我とか、痛そうで見るの怖いし……」
「王様と仲良くなるなら怖くないよ?」
「怖いよ、だって偉い人だよ?」
うーん、どうしよう。
妖精はそう思い悩む。
彼からすると全くソレの怖さが分からないのだが、少なくとも彼女の中では一応理由が成立している。
それを今すぐどうにかするのは、ちょっと難しい気がする。
実はこの後、今日の進捗を上級精霊達に報告しに行く予定にしていた。
契約だけならすぐに済むと思っていた。
だから最低限契約完了を、あわよくば「ちょっと魔法使えました」と報告するつもりだったのだ。
それなのに。
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