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第一章:初めての社交で暗躍する。

第12話 面白そうなコミュニティー(2)

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 その事に気がつく時期はまちまちだが、気づけば皆一様に焦るのは同じである。
 そしてその結果が、今の目の前のぎこちない真似事の正体だ。



「顔の広さは、一種の武器だよ」

 とは、過去のキリルの言だ。
 マリーシアも

「社交の開始は10歳だというのに、2年もの間皆さん一体何をしているのか」

 と呆れ気味に言っていた。
 しかしその後に、こんな言葉のオマケ付きである。

「入学後に自分の怠慢を自覚して慌て始めた時が好機です。もしも何か同年代の方との交渉事がしたい時は、この機を狙えば簡単ですよ」

 そう言って、マリーシアはコロコロと笑った。
 しかしその実、目は全く笑っていなかったし言葉はひどく辛辣である。
 どちらかと言えば良いカモを見つけた時の目だったから、マリーシア自身その手で見事に幾つかの実績を上げたのだろう事が推察されのだが。

(あのお姉様を敵に回すなんて事、絶対にしたくない)
 
 妹にそう思わせるには十分な笑顔だっただろう。

 

 まぁそんな訳で、12歳以上の子供達が今正に切磋琢磨しているのが、お茶会会場の中でもこの区域だった。
 そしてそんな中でセシリアが探すのは、過去の怠慢という自業自得に焦る不特定多数ではなく、一部のまともな、きちんと練習台として相応しい集団である。

 大人顔負けとは言わなくても、ある程度の社交は出来ているコミュニティー。
 それが今回のセシリアの中の選定基準だった。


 そしてそのコミュニティーは、すぐに見つける事ができた。

(……あそこだけ、明らかに違う)

 一目見てそうと分かるくらいに、周りと格別して安定した交流が成されているソレを、セシリアは注視する。

 子供達の中でも、比較的年齢層が高そうなコミュニティー。
 そしてその顔ぶれは。

(……面白い)

 そんな気持ちがセシリアに最終決定を下した。

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