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美容Day
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ハンス率いるソール騎士団が南東の地へ出発してから数日が経過した。
俺にできることは安全を祈願することくらいで、基本的には暇を満喫している。
オーケルマンは相変わらず新しいお気に入りアイシャにベッタリのようだ。
俺は疎まれることが少なくないから、王宮を我が物顔で利用することはできない。
人目を避けて夜に散歩に出る以外は、ずっと自室に篭っている。
今の俺を孤独から救ってくれるのは、ジュンだけだ。
「失礼します!」
「いらっしゃい」
ジュンは休日の真っ最中である。
貴族たちは使用人を働かせるだけ働かせ、休日などくれてやらん、の傲慢な態度かと思っていたが、ちゃんと休みを与えている。
何でも使用人が大反乱を起こし、王宮の機能が停止しかけた事件の教訓だとか。
使用人は休日を実家で過ごすのが一般的だが、身寄りのないジュンは王宮以外行くところがない。
そこで俺の遊び相手になってもらった。
「マヤ様、右耳のピアスがとってもきれいですね!」
おっ、さすが!
ジュンは将来、違いの分かる男になりそうだな~。
このピアスはハンスが出発前に俺にくれたんだ。
右耳につけると「私には心に決めた人がいます」という意味になる。
変なムシが寄り付かないように、恋人に贈るのが流行っているらしい。
心に決めた人っていうのはもちろん……!
「オーケルマン様ですか?」
「えっ!!」
ジュンは俺とハンスの関係を知らない。
言いふらすことでもないし、知らずに俺と仲良くするのと、知っていて黙っているのでは、万が一の時にジュンの身に及ぶ危険度が違う。
「ああ、うん……ハハハー。結構前にもらったんだ~」
オーケルマンも何をやったかなど覚えているまい。
「オーケルマン様は多くのお妾様をお迎えしていらっしゃいますが、マヤ様は特別です。こんなにたくさんのご寵愛は見たことありません!!」
俺の部屋には開けてすらいないオーケルマンからの贈り物が山ほどある。
一応は俺の機嫌をとっておきたいようだ。
だが、オーケルマンからのどんな高価な品物も、ハンスからもらったコレに勝てないんだ。
「それはそうと……、その荷物は?」
ジュンはパンパンになった布袋を持っている。
そんなになるまで、一体何を詰め込んだ?
ジュンはハツラツとした笑顔で答えた。
「これはマヤ様に!!」
俺にプレゼント!?
何て良い子なんだ……!
「マヤ様はオーケルマン様のために、日々磨きをかけていらっしゃいます。先日もどうしたら肌の調子が良くなるかとお悩みでした」
それはハンスが戻った時に備えて、少しでも良い状態で触って欲しかったんだ。
それとなく相談したんだが、心清らかなジュンは俺がオーケルマンのために努力していると認識している。
ますます本当のことを言いづらくなった。
「そこで、皆から教えてもらった物を色々と持ってきました。庶民の知恵ですが、きっとマヤ様にも効果テキメンですよ!」
皆ってのは使用人の面々だよな。
ジュンは見たことない美容グッズを次から次へと取り出した。
「へえー、これ準備するの大変だっただろ?」
「皆が協力してくれたので、あっという間でしたよ!」
使用人たちになんて言ったのか気になるなあ……。
「では、服を脱いでベッドにうつ伏せになってください!」
「ん? 今何と?」
「? 服を脱いでベッドに……」
顔に使うんじゃなくて!?
しかもうつ伏せってことは……。
俺にできることは安全を祈願することくらいで、基本的には暇を満喫している。
オーケルマンは相変わらず新しいお気に入りアイシャにベッタリのようだ。
俺は疎まれることが少なくないから、王宮を我が物顔で利用することはできない。
人目を避けて夜に散歩に出る以外は、ずっと自室に篭っている。
今の俺を孤独から救ってくれるのは、ジュンだけだ。
「失礼します!」
「いらっしゃい」
ジュンは休日の真っ最中である。
貴族たちは使用人を働かせるだけ働かせ、休日などくれてやらん、の傲慢な態度かと思っていたが、ちゃんと休みを与えている。
何でも使用人が大反乱を起こし、王宮の機能が停止しかけた事件の教訓だとか。
使用人は休日を実家で過ごすのが一般的だが、身寄りのないジュンは王宮以外行くところがない。
そこで俺の遊び相手になってもらった。
「マヤ様、右耳のピアスがとってもきれいですね!」
おっ、さすが!
ジュンは将来、違いの分かる男になりそうだな~。
このピアスはハンスが出発前に俺にくれたんだ。
右耳につけると「私には心に決めた人がいます」という意味になる。
変なムシが寄り付かないように、恋人に贈るのが流行っているらしい。
心に決めた人っていうのはもちろん……!
「オーケルマン様ですか?」
「えっ!!」
ジュンは俺とハンスの関係を知らない。
言いふらすことでもないし、知らずに俺と仲良くするのと、知っていて黙っているのでは、万が一の時にジュンの身に及ぶ危険度が違う。
「ああ、うん……ハハハー。結構前にもらったんだ~」
オーケルマンも何をやったかなど覚えているまい。
「オーケルマン様は多くのお妾様をお迎えしていらっしゃいますが、マヤ様は特別です。こんなにたくさんのご寵愛は見たことありません!!」
俺の部屋には開けてすらいないオーケルマンからの贈り物が山ほどある。
一応は俺の機嫌をとっておきたいようだ。
だが、オーケルマンからのどんな高価な品物も、ハンスからもらったコレに勝てないんだ。
「それはそうと……、その荷物は?」
ジュンはパンパンになった布袋を持っている。
そんなになるまで、一体何を詰め込んだ?
ジュンはハツラツとした笑顔で答えた。
「これはマヤ様に!!」
俺にプレゼント!?
何て良い子なんだ……!
「マヤ様はオーケルマン様のために、日々磨きをかけていらっしゃいます。先日もどうしたら肌の調子が良くなるかとお悩みでした」
それはハンスが戻った時に備えて、少しでも良い状態で触って欲しかったんだ。
それとなく相談したんだが、心清らかなジュンは俺がオーケルマンのために努力していると認識している。
ますます本当のことを言いづらくなった。
「そこで、皆から教えてもらった物を色々と持ってきました。庶民の知恵ですが、きっとマヤ様にも効果テキメンですよ!」
皆ってのは使用人の面々だよな。
ジュンは見たことない美容グッズを次から次へと取り出した。
「へえー、これ準備するの大変だっただろ?」
「皆が協力してくれたので、あっという間でしたよ!」
使用人たちになんて言ったのか気になるなあ……。
「では、服を脱いでベッドにうつ伏せになってください!」
「ん? 今何と?」
「? 服を脱いでベッドに……」
顔に使うんじゃなくて!?
しかもうつ伏せってことは……。
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