上 下
13 / 77

性癖と功績は別のもの

しおりを挟む
「マヤ、馬車の揺れに任せてでもどうかね?」

 どうかね? ってよかねーよ。

 しかも、この状況では声や音がハンス・ユーホルトに聞かれる。

 俺は見られて興奮する性癖は持ってない!


 オーケルマンに跨り、耳打ちする。

「だぁめ。でもこれだけはして差し上げますね」


 オーケルマンのズボンを脱がし、ゲンナリしたソレを口に咥えた。

「んほぉ!」

 すぐに口を離して

「声を出したら終わりです。どこまで我慢できるか見せてくださいね」


 無言で首をカクカクと縦に振るオーケルマン。

 こんな感じでカクカク腰を振ってくるんだから、殺意しか沸かない。


 フィニッシュは口内発射からの――。

 しまった!

 ここは王宮じゃないから、水を無駄にするわけにはいかない。

 吐き出して見せることも、水で口直しでもできないのだ。


 仕方なく、オーケルマンに見せつけるように、喉をゴクリと鳴らした。

 喉の奥に張り付く感じ。

 これからの旅が思いやられる……。



 馬車で連れられたのは、人々が行き交う街。

 野菜や果物、衣服など、様々な店が並んでいる。

 どうやらここはラムハリ王国ではなく、まだロマーリア王国内らしい。


「先は長いからの。ここらで一旦食糧と水を確保しておこう。モルク、お前はここで待っておれ。マヤ、お前はどうする? 馬車に残るか?」

 モルクは御者の名前だ。

 もちろん、俺も行きたい!!


 オーケルマンと俺、そしてハンス・ユーホルトという全然気の合わない3人。

「宰相様、食い物をお探しですかい? これなんかどうだい?」

 羽をむしり取られた、皮の色目が強烈な鶏丸々1羽。

「最近、家畜の調子はどうだ? 流行病が出たら、一刻も早く伝えるのだ」

「ええ、大丈夫ですよ。私等あっしらは、王様の加護に守られていますから。もちろん宰相様からいただいた見舞金も助かりました。あれがなけりゃ、家族が飢え死にするところでしたよ!」

「そうか、そうか。民の幸福が王国の安寧を支えておるからの。では、その鶏とハーブを数種類もらおうか」


 オーケルマンも案外仕事してるんだな。

 俺は王国のことを何も知らないが、この街の店は繁盛しているし、人々はエネルギッシュだ。

 あのボケた王様も、この街では偉大なんだろう。

 王と宰相という立場に敬意がなさ過ぎたかな。


 ハンス・ユーホルトは黙って俺たちの後ろを付いて来ている。

 買った荷物を全部押し付けられているが、俺たちが歩いた後は街の女性たちがざわつく。


「まあ! 騎士団長様だわ!!」

「黒髪が素敵ね~」


 俺もなかなかの美男子のはずなんだけど。

 慣れない男性服を着て周りをキョロキョロする観光客気分の俺。

 方や、武装せずとも腰から剣を提げ、腕の血管を浮かび上がらせながら荷物を持つハンス・ユーホルト。


 そりゃ、圧倒的に格が違いますねぇ。

 この胸元の高貴なフリフリも、俺とハンス・ユーホルトでは印象が違うんじゃないか。


「……フンッ」

 オーケルマンと気が合うようだ。

 俺も今、そんな気持ち。


 必要な物を買い込んで馬車へ戻ろうとした時、女性たちが群れになって押し寄せて来た。 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

潜入した僕、専属メイドとしてラブラブセックスしまくる話

ずー子
BL
敵陣にスパイ潜入した美少年がそのままボスに気に入られて女装でラブラブセックスしまくる話です。冒頭とエピローグだけ載せました。 悪のイケオジ×スパイ美少年。魔王×勇者がお好きな方は多分好きだと思います。女装シーン書くのとっても楽しかったです。可愛い男の娘、最強。 本編気になる方はPixivのページをチェックしてみてくださいませ! https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=21381209

騎士さま、むっつりユニコーンに襲われる

雲丹はち
BL
ユニコーンの角を採取しにいったらゴブリンに襲われかけ、むっつりすけべなユニコーンに処女を奪われてしまう騎士団長のお話。

何故か正妻になった男の僕。

selen
BL
『側妻になった男の僕。』の続きです(⌒▽⌒) blさいこう✩.*˚主従らぶさいこう✩.*˚✩.*˚

捨てられ子供は愛される

やらぎはら響
BL
奴隷のリッカはある日富豪のセルフィルトに出会い買われた。 リッカの愛され生活が始まる。 タイトルを【奴隷の子供は愛される】から改題しました。

【完結・BL】DT騎士団員は、騎士団長様に告白したい!【騎士団員×騎士団長】

彩華
BL
とある平和な国。「ある日」を境に、この国を守る騎士団へ入団することを夢見ていたトーマは、無事にその夢を叶えた。それもこれも、あの日の初恋。騎士団長・アランに一目惚れしたため。年若いトーマの恋心は、日々募っていくばかり。自身の気持ちを、アランに伝えるべきか? そんな悶々とする騎士団員の話。 「好きだって言えるなら、言いたい。いや、でもやっぱ、言わなくても良いな……。ああ゛―!でも、アラン様が好きだって言いてぇよー!!」

日本一のイケメン俳優に惚れられてしまったんですが

五右衛門
BL
 月井晴彦は過去のトラウマから自信を失い、人と距離を置きながら高校生活を送っていた。ある日、帰り道で少女が複数の男子からナンパされている場面に遭遇する。普段は関わりを避ける晴彦だが、僅かばかりの勇気を出して、手が震えながらも必死に少女を助けた。  しかし、その少女は実は美男子俳優の白銀玲央だった。彼は日本一有名な高校生俳優で、高い演技力と美しすぎる美貌も相まって多くの賞を受賞している天才である。玲央は何かお礼がしたいと言うも、晴彦は動揺してしまい逃げるように立ち去る。しかし数日後、体育館に集まった全校生徒の前で現れたのは、あの時の青年だった──

番だと言われて囲われました。

BL
戦時中のある日、特攻隊として選ばれた私は友人と別れて仲間と共に敵陣へ飛び込んだ。 死を覚悟したその時、光に包み込まれ機体ごと何かに引き寄せられて、異世界に。 そこは魔力持ちも世界であり、私を番いと呼ぶ物に囲われた。

オメガに転化したアルファ騎士は王の寵愛に戸惑う

hina
BL
国王を護るαの護衛騎士ルカは最近続く体調不良に悩まされていた。 それはビッチングによるものだった。 幼い頃から共に育ってきたαの国王イゼフといつからか身体の関係を持っていたが、それが原因とは思ってもみなかった。 国王から寵愛され戸惑うルカの行方は。 ※不定期更新になります。

処理中です...