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純・ザ・サード
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都合上、オーケルマンとの仲直りを体で済ませ、俺は次の作戦を立てた。
真実の愛は地下にある。
だったら、俺自ら出向いて盗む。
これでどうだ!!
地下の地図はジュンに描いてもらった。
1日中あちらこちらで働く使用人は、王宮内の構造に詳しい。
……ただし、ジュンが上手く地図を描けるかは別。
ミミズが這ったくねくねの道と四角が組み合わさった謎の絵。
これは地図とはいえない。
辛うじて、真実の愛が奥にあることだけは伝わる。
それはオーケルマンから既に聞き出していたのだが。
ジュンは行けば分かると言っていたし、何とかなるでしょ!
一生懸命描いてくれた地図は、引き出しにそっと閉まった。
多分地図が誰かに見つかっても、俺の作戦はバレないな。
オーケルマンの妾では目立ってしまうという懸念は、あまり必要なかったようだ。
地下は使用人たちの領域。
彼らは身分の高い人間と世間話をすることがないから、俺の知名度は0だった。
ジュンから使用人の服も借りた。
俺にはスケスケのネグリジェより、こっちの方が似合う。
どうにもやり切れず、オーケルマンを抹殺したくなった時は、使用人に変えてもらおう。
調理場や裁縫部屋にはたくさんの使用人が働いている。
「おい、そこ! つっ立ってねぇで、早く食材を切れ!!」
料理長らしき人物が怒鳴った。
さすが現場のリーダー。
怠け者を見つけるのが上手い。
「はいっ!」
返事だけは一丁前の俺は、ラーメン屋でバイトした経験を生かそうと思った。
台に乗ってる野菜を切ればいいのか?
俺は挙動不審だったのだろう。
おばちゃんに
「アンタ見ない顔だね。田舎はどこだい?」
とプライベートを詮索され始めた。
「あ、俺、お遣い頼まれてたんだったー! すみませんねー!」
引き止めるおばちゃんを無視して、奥へと進んだ。
ようやく宝物庫の前に来た。
宝物庫は使用人が入れないように、扉で仕切り鍵がかかっている。
そして俺はその鍵を持っている。
今朝、オーケルマンの部屋から盗んだのだ。
このために自室に戻らず一晩を共にしたのだから、ちゃんと開いてくれよ?
ガチャリ――。
運命は俺に味方している。
宝物庫の重たい扉を押し開けた。
そこに広がるのは、箱から溢れんばかりの金銀財宝!!
あまりの煌びやかさに、光が使用人たちの部屋に届くんじゃないかと思った。
急いで中に入って、扉を閉める。
宝に囲まれるなんて、生まれて初めてだ。
この中からいくつか掠め取れば、オーケルマンに従わなくても生活できるだろ。
こんな宝の山が眠っているのに、見張り1人つけないとは。
鍵だけじゃすぐに突破されるのが分からないのかなぁ?
俺にとってはロマーリア王国の手薄な警備は好機!!
真実の愛はすぐにゲットできるぞ!!
俺は宝物に後ろ髪引かれる思いで、長い長い宝物庫を歩いた。
この先に一番の宝がある。
元の世界への片道切符だ!!
そして俺は絶望にこんにちは――。
思わず声が漏れた。
「と、びら……。あぁ……」
真実の愛が収められているに違いない部屋に、もう1枚扉があったのだ。
そして当たり前のように鍵がかかっている。
俺はこの扉を開ける鍵を持って来ていない。
最後の最後でピースを1つ取り逃してしまった。
オーケルマンから盗むべき鍵はもう1本あった。
残念だが、ここは引き返すしかない。
バレないうちに帰り、また機会を伺おう。
ここでも俺のタフな精神が発揮され、心がポッキリ折れるのを防げた。
大きくため息をつき、踵を返すと、そこに――。
真実の愛は地下にある。
だったら、俺自ら出向いて盗む。
これでどうだ!!
地下の地図はジュンに描いてもらった。
1日中あちらこちらで働く使用人は、王宮内の構造に詳しい。
……ただし、ジュンが上手く地図を描けるかは別。
ミミズが這ったくねくねの道と四角が組み合わさった謎の絵。
これは地図とはいえない。
辛うじて、真実の愛が奥にあることだけは伝わる。
それはオーケルマンから既に聞き出していたのだが。
ジュンは行けば分かると言っていたし、何とかなるでしょ!
一生懸命描いてくれた地図は、引き出しにそっと閉まった。
多分地図が誰かに見つかっても、俺の作戦はバレないな。
オーケルマンの妾では目立ってしまうという懸念は、あまり必要なかったようだ。
地下は使用人たちの領域。
彼らは身分の高い人間と世間話をすることがないから、俺の知名度は0だった。
ジュンから使用人の服も借りた。
俺にはスケスケのネグリジェより、こっちの方が似合う。
どうにもやり切れず、オーケルマンを抹殺したくなった時は、使用人に変えてもらおう。
調理場や裁縫部屋にはたくさんの使用人が働いている。
「おい、そこ! つっ立ってねぇで、早く食材を切れ!!」
料理長らしき人物が怒鳴った。
さすが現場のリーダー。
怠け者を見つけるのが上手い。
「はいっ!」
返事だけは一丁前の俺は、ラーメン屋でバイトした経験を生かそうと思った。
台に乗ってる野菜を切ればいいのか?
俺は挙動不審だったのだろう。
おばちゃんに
「アンタ見ない顔だね。田舎はどこだい?」
とプライベートを詮索され始めた。
「あ、俺、お遣い頼まれてたんだったー! すみませんねー!」
引き止めるおばちゃんを無視して、奥へと進んだ。
ようやく宝物庫の前に来た。
宝物庫は使用人が入れないように、扉で仕切り鍵がかかっている。
そして俺はその鍵を持っている。
今朝、オーケルマンの部屋から盗んだのだ。
このために自室に戻らず一晩を共にしたのだから、ちゃんと開いてくれよ?
ガチャリ――。
運命は俺に味方している。
宝物庫の重たい扉を押し開けた。
そこに広がるのは、箱から溢れんばかりの金銀財宝!!
あまりの煌びやかさに、光が使用人たちの部屋に届くんじゃないかと思った。
急いで中に入って、扉を閉める。
宝に囲まれるなんて、生まれて初めてだ。
この中からいくつか掠め取れば、オーケルマンに従わなくても生活できるだろ。
こんな宝の山が眠っているのに、見張り1人つけないとは。
鍵だけじゃすぐに突破されるのが分からないのかなぁ?
俺にとってはロマーリア王国の手薄な警備は好機!!
真実の愛はすぐにゲットできるぞ!!
俺は宝物に後ろ髪引かれる思いで、長い長い宝物庫を歩いた。
この先に一番の宝がある。
元の世界への片道切符だ!!
そして俺は絶望にこんにちは――。
思わず声が漏れた。
「と、びら……。あぁ……」
真実の愛が収められているに違いない部屋に、もう1枚扉があったのだ。
そして当たり前のように鍵がかかっている。
俺はこの扉を開ける鍵を持って来ていない。
最後の最後でピースを1つ取り逃してしまった。
オーケルマンから盗むべき鍵はもう1本あった。
残念だが、ここは引き返すしかない。
バレないうちに帰り、また機会を伺おう。
ここでも俺のタフな精神が発揮され、心がポッキリ折れるのを防げた。
大きくため息をつき、踵を返すと、そこに――。
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