クラスメイトのＳ君は 【声劇台本】【１人用】

シャーペンのシャー子

S君は、不思議な生き物を拾った・・・ことにした、お話。




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：ある日。

：道端で、不思議な生き物に出会った。

：・・・ことにした。

：そして僕は、その生き物を拾って家に連れて帰った。

：・・・ことにした。



：名前をつけてあげよう。


：そうだな・・・

：なんとなくだけど、グリップのところが女子っぽい気がする。

：・・・決まり！今日からお前はシャー子だ。

：まぁ・・・なんの変哲も無い、いつも使ってるシャーペンなんだけど。

：

：その日から僕らはいつも一緒にいた。

：シャー子の定位置は制服の胸ポケット。


：縁にチョコンと手を掛けて、僕を見上げながらいつも楽しそうに話しかけてくれる。




：ある日のこと。

：手を洗おうと、蛇口をひねったとき。

：手を滑らせたのか・・・シャー子がポケットから滑り落ちてしまった。

：ずぶ濡れのシャー子。

：急いで拾い上げてハンカチで包んだけど、寒そうに震えている。

：僕は急いで教室に連れ帰った。

：幸いにも僕の席は窓際で、日光がよく当たる。

：もう寒くないよと言いながら、シャー子を手に乗せて、優しく包み込んだり、撫でてみたり。

：不思議と心が安らいだ。


：・・・本当に小さな女の子と生活してるみたいだ。



：

：ふと。

：目の端に、カッターが映った。いつもペンケースに入れてるやつだ。

：そうだ。

：証を刻もう。

：僕のシャー子だっていう証だよ。

：恥ずかしがりながらも、シャー子はそっと背中を差しだしてくれた。

：僕は右手にカッターを持った。

：あぁ、シャー子・・・そんなに震えないで。

：怖くないよ。

：ん？誰かに見られてる気がする？

：そんなことないよ。