雑文エッセイ

越川千太郎

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9、光化学スモッグ

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昔「光化学スモッグ」という公害があった。自動車がまき散らしたさまざまな有害物質が、郊外の夏の強烈な太陽光線を浴びて勝手に化学反応を起こし、 毒ガスになって人を襲う。つまり、排気ガスと紫外線とによる目に見えない毒ガス工場が空中で突然うごき出したのだった。
校庭で運動をしていた女子高校生が、急にばたばたと倒れた。木の葉が薄茶色にちぢれて、紙のように散った。
日本では何が起こるかわからないという事で各国の公害学者が日本に駐在して資料を集めていたらしい。珍しい人体実験例を自国の安全の参考にすむかし炭鉱で坑夫がよくカナリアを持って坑道にはいった。採掘現場でガスが発生すると、まず、カナリアが止まり木から落ちて死ぬ。落鳥という。 落鳥を見て坑夫は逃げるのだ。 
昔は日本人全体が実験動物のようであった。
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