110 / 127
アツモリ、竜殺し(ドラゴンスレイヤー)とデスマッチをやる
第110話 奇妙な違和感
しおりを挟む
「始め!」
その声と共にユーノスは左腰に吊るした片手半剣を鞘から抜くと両手に持って敦盛に向かって駆け出し、敦盛も大太刀『大蛇丸』を抜くと同時に両手で持って駆け出した。
そのまま二人は試合場の中央付近で激突した!
“ ガッキーーーーーーーーーン ”
金属が擦れる音がしたかと思ったら、ユーノスが持っている片手半剣から青白い火花が上がった。さっきの『海』の騎士4人とやりあった時と同様、青白い火花が飛び散っているけど、敦盛の大蛇丸からは青白い火花が上がる事はない。
敦盛とユーノスはそのまま20合以上も互いの剣をぶつけ合ったが、見た目はほぼ互角だ。
「・・・ヒュー!噂通りの片方にしか刃がない剣。しかも魔法の剣とやりあっても折れないとは伝説級の名剣かあ?」
「当たり前だ!俺の大蛇丸をナマクラと同じにするな!」
「さすが『至高の構え 十字軍』を使っただけの事はあるな、褒めてやるぜ」
「余裕かあ?というより、どうして知ってる」
「仕事の関係でマイヤーの街へ行った時に伯爵と会う機会があったから、その時に聞いただけだ。もっとも、試合は俺様の圧勝だ」
「マジかよ!?俺はあの技には相当苦戦させらたんだからさあ」
「当たり前だ。俺様の辞書には『苦戦』などという文字はない」
「じゃあ、俺が勝手に書き加えてもいいかあ?」
「竜殺しの称号を持つ『熱血の勇者』ユーノス様に勝てたら勝手に書き加えろ!」
「そうさせてもらいます!」
周囲にいた者たちは、敦盛とユーノスは互角に勝負していると思っていた。
だが、当事者はそう思ってないのだ!
敦盛は自分の持っている技術を全力でユーノスにぶつけているが、ユーノスは平然と受け流し、あるいは打ち返している。しかもユーノスは終始笑みを浮かべながら敦盛に次々と剣を繰り出してくる。
それに敦盛は奇妙な違和感を感じていたのだ。
それは試合の様子をハラハラした表情で見ていた満里奈も気付いていた。
「・・・おかしい」
「ん?マリナ、どうした?」
エミーナは満里奈の呟きを聞きとめて満里奈の方を振り向いたけど、満里奈もエミーナも額から汗を流し、手の平は汗でびっしょりだった。
「・・・あのユーノスさんの剣筋、どう考えてもおかしい」
「・・・マリナは何を言いたいんだあ?」
「うーん・・・こういう表現が合ってるかどうか分からないけど、剣術の素人がやみくもに武器を振り回してる感じだけど、その一撃が素早くて重いから、お兄ちゃんは受けるのが精一杯で反撃もままならない」
「マリナの言ってる事は100%正解だ」
「嘘でしょー!」
満里奈は思わず大声を出してしまったけど、エミーナは満里奈を見る事なく敦盛とユーノスの試合をジッと見ている。
「・・・ロードスター家というのは、代々リーバイス王国の宮廷魔術師や魔術師隊の隊長、他にも魔術師協会の最高導師を輩出するなど、武門の家柄ではなく魔術の家柄として他国にも知られている。兄貴はそんな名門にありながら魔術ではなく剣に秀でている、というより異端児だから魔術の研究ではなく剣を振る事に没頭してたから、魔術の師とも言える人どころか兄貴に剣を教えた人は誰もいない」
「つまり、独学で剣を学んだにも関わらず、古代竜と戦って生き残ったって言いたいの?」
「簡単に言えばそうなる。正規の剣術を学んでないから構えも剣の振りも足裁きも目茶苦茶で、同じ剣筋で振るう事も出来ないけど、逆に言えば正規の剣術を学んでる人から見たら、どこから剣が出てくるのか全く分からない、摩訶不思議な剣の使い手だから試合では勝てない。盗賊とか海賊とか、本当の意味での死線を乗り越えてきた人でも兄貴の剣からは殺気以外の何も感じないって言うから、逆にシエナさんみたいに、どんな敵が相手でも圧倒出来るくらいの技量がないと、兄貴に勝てないのさ」
「・・・(ゴクリ)・・・」
「素人が自分の生まれつき持っている技術だけで剣を振るってるのと同じだけど、その才能が達人級どころか神にも匹敵するから、古代竜を倒せたんだよ。これでアツモリではなく兄貴が勝つって予想した理由が分かっただろ?アツモリはボクから見たら異界の剣術だけど正規の訓練をしてるのには違いない。つまり、アツモリが苦戦するのは当たり前であり、よく耐えてるなあというのが正直な感想だよ。魔術師のボクがそう思ってる位だから、恐らくレクサス支部長やシエナさんもボクと同じ感想を持ってるに違いない」
「・・・(ゴクリ)・・・」
“ ギーーーーーーン ”
その何十回目か打ちあった時、突然、ユーノスは後ろに飛び跳ねるようにして距離を取ったから、互いに武器が届かない距離にまで離れた格好になった。
そのユーノスは左手を離して右手1本に持ち替えたかと思ったら、そのまま軽く両手を開いて、おどけたような仕草で
「いやー、その年齢で俺様とほぼ互角に渡り合うとは、さすがシエナさんに勝っただけの事はある。思った以上に楽しめそうだぞー」
その声と共にユーノスは左腰に吊るした片手半剣を鞘から抜くと両手に持って敦盛に向かって駆け出し、敦盛も大太刀『大蛇丸』を抜くと同時に両手で持って駆け出した。
そのまま二人は試合場の中央付近で激突した!
“ ガッキーーーーーーーーーン ”
金属が擦れる音がしたかと思ったら、ユーノスが持っている片手半剣から青白い火花が上がった。さっきの『海』の騎士4人とやりあった時と同様、青白い火花が飛び散っているけど、敦盛の大蛇丸からは青白い火花が上がる事はない。
敦盛とユーノスはそのまま20合以上も互いの剣をぶつけ合ったが、見た目はほぼ互角だ。
「・・・ヒュー!噂通りの片方にしか刃がない剣。しかも魔法の剣とやりあっても折れないとは伝説級の名剣かあ?」
「当たり前だ!俺の大蛇丸をナマクラと同じにするな!」
「さすが『至高の構え 十字軍』を使っただけの事はあるな、褒めてやるぜ」
「余裕かあ?というより、どうして知ってる」
「仕事の関係でマイヤーの街へ行った時に伯爵と会う機会があったから、その時に聞いただけだ。もっとも、試合は俺様の圧勝だ」
「マジかよ!?俺はあの技には相当苦戦させらたんだからさあ」
「当たり前だ。俺様の辞書には『苦戦』などという文字はない」
「じゃあ、俺が勝手に書き加えてもいいかあ?」
「竜殺しの称号を持つ『熱血の勇者』ユーノス様に勝てたら勝手に書き加えろ!」
「そうさせてもらいます!」
周囲にいた者たちは、敦盛とユーノスは互角に勝負していると思っていた。
だが、当事者はそう思ってないのだ!
敦盛は自分の持っている技術を全力でユーノスにぶつけているが、ユーノスは平然と受け流し、あるいは打ち返している。しかもユーノスは終始笑みを浮かべながら敦盛に次々と剣を繰り出してくる。
それに敦盛は奇妙な違和感を感じていたのだ。
それは試合の様子をハラハラした表情で見ていた満里奈も気付いていた。
「・・・おかしい」
「ん?マリナ、どうした?」
エミーナは満里奈の呟きを聞きとめて満里奈の方を振り向いたけど、満里奈もエミーナも額から汗を流し、手の平は汗でびっしょりだった。
「・・・あのユーノスさんの剣筋、どう考えてもおかしい」
「・・・マリナは何を言いたいんだあ?」
「うーん・・・こういう表現が合ってるかどうか分からないけど、剣術の素人がやみくもに武器を振り回してる感じだけど、その一撃が素早くて重いから、お兄ちゃんは受けるのが精一杯で反撃もままならない」
「マリナの言ってる事は100%正解だ」
「嘘でしょー!」
満里奈は思わず大声を出してしまったけど、エミーナは満里奈を見る事なく敦盛とユーノスの試合をジッと見ている。
「・・・ロードスター家というのは、代々リーバイス王国の宮廷魔術師や魔術師隊の隊長、他にも魔術師協会の最高導師を輩出するなど、武門の家柄ではなく魔術の家柄として他国にも知られている。兄貴はそんな名門にありながら魔術ではなく剣に秀でている、というより異端児だから魔術の研究ではなく剣を振る事に没頭してたから、魔術の師とも言える人どころか兄貴に剣を教えた人は誰もいない」
「つまり、独学で剣を学んだにも関わらず、古代竜と戦って生き残ったって言いたいの?」
「簡単に言えばそうなる。正規の剣術を学んでないから構えも剣の振りも足裁きも目茶苦茶で、同じ剣筋で振るう事も出来ないけど、逆に言えば正規の剣術を学んでる人から見たら、どこから剣が出てくるのか全く分からない、摩訶不思議な剣の使い手だから試合では勝てない。盗賊とか海賊とか、本当の意味での死線を乗り越えてきた人でも兄貴の剣からは殺気以外の何も感じないって言うから、逆にシエナさんみたいに、どんな敵が相手でも圧倒出来るくらいの技量がないと、兄貴に勝てないのさ」
「・・・(ゴクリ)・・・」
「素人が自分の生まれつき持っている技術だけで剣を振るってるのと同じだけど、その才能が達人級どころか神にも匹敵するから、古代竜を倒せたんだよ。これでアツモリではなく兄貴が勝つって予想した理由が分かっただろ?アツモリはボクから見たら異界の剣術だけど正規の訓練をしてるのには違いない。つまり、アツモリが苦戦するのは当たり前であり、よく耐えてるなあというのが正直な感想だよ。魔術師のボクがそう思ってる位だから、恐らくレクサス支部長やシエナさんもボクと同じ感想を持ってるに違いない」
「・・・(ゴクリ)・・・」
“ ギーーーーーーン ”
その何十回目か打ちあった時、突然、ユーノスは後ろに飛び跳ねるようにして距離を取ったから、互いに武器が届かない距離にまで離れた格好になった。
そのユーノスは左手を離して右手1本に持ち替えたかと思ったら、そのまま軽く両手を開いて、おどけたような仕草で
「いやー、その年齢で俺様とほぼ互角に渡り合うとは、さすがシエナさんに勝っただけの事はある。思った以上に楽しめそうだぞー」
0
お気に入りに追加
29
あなたにおすすめの小説
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
異世界で穴掘ってます!
KeyBow
ファンタジー
修学旅行中のバスにいた筈が、異世界召喚にバスの全員が突如されてしまう。主人公の聡太が得たスキルは穴掘り。外れスキルとされ、屑の外れ者として抹殺されそうになるもしぶとく生き残り、救ってくれた少女と成り上がって行く。不遇といわれるギフトを駆使して日の目を見ようとする物語
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
ブラックギルドマスターへ、社畜以下の道具として扱ってくれてあざーす!お陰で転職した俺は初日にSランクハンターに成り上がりました!
仁徳
ファンタジー
あらすじ
リュシアン・プライムはブラックハンターギルドの一員だった。
彼はギルドマスターやギルド仲間から、常人ではこなせない量の依頼を押し付けられていたが、夜遅くまで働くことで全ての依頼を一日で終わらせていた。
ある日、リュシアンは仲間の罠に嵌められ、依頼を終わらせることができなかった。その一度の失敗をきっかけに、ギルドマスターから無能ハンターの烙印を押され、クビになる。
途方に暮れていると、モンスターに襲われている女性を彼は見つけてしまう。
ハンターとして襲われている人を見過ごせないリュシアンは、モンスターから女性を守った。
彼は助けた女性が、隣町にあるハンターギルドのギルドマスターであることを知る。
リュシアンの才能に目をつけたギルドマスターは、彼をスカウトした。
一方ブラックギルドでは、リュシアンがいないことで依頼達成の効率が悪くなり、依頼は溜まっていく一方だった。ついにブラックギルドは町の住民たちからのクレームなどが殺到して町民たちから見放されることになる。
そんな彼らに反してリュシアンは新しい職場、新しい仲間と出会い、ブッラックギルドの経験を活かして最速でギルドランキング一位を獲得し、ギルドマスターや町の住民たちから一目置かれるようになった。
これはブラックな環境で働いていた主人公が一人の女性を助けたことがきっかけで人生が一変し、ホワイトなギルド環境で最強、無双、ときどきスローライフをしていく物語!
レベルを上げて通販で殴る~囮にされて落とし穴に落とされたが大幅レベルアップしてざまぁする。危険な封印ダンジョンも俺にかかればちょろいもんさ~
喰寝丸太
ファンタジー
異世界に転移した山田(やまだ) 無二(むに)はポーターの仕事をして早6年。
おっさんになってからも、冒険者になれずくすぶっていた。
ある日、モンスター無限増殖装置を誤って作動させたパーティは無二を囮にして逃げ出す。
落とし穴にも落とされ絶体絶命の無二。
機転を利かせ助かるも、そこはダンジョンボスの扉の前。
覚悟を決めてボスに挑む無二。
通販能力でからくも勝利する。
そして、ダンジョンコアの魔力を吸出し大幅レベルアップ。
アンデッドには聖水代わりに殺菌剤、光魔法代わりに紫外線ライト。
霧のモンスターには掃除機が大活躍。
異世界モンスターを現代製品の通販で殴る快進撃が始まった。
カクヨム、小説家になろう、アルファポリスに掲載しております。
無限に進化を続けて最強に至る
お寿司食べたい
ファンタジー
突然、居眠り運転をしているトラックに轢かれて異世界に転生した春風 宝。そこで女神からもらった特典は「倒したモンスターの力を奪って無限に強くなる」だった。
※よくある転生ものです。良ければ読んでください。 不定期更新 初作 小説家になろうでも投稿してます。 文章力がないので悪しからず。優しくアドバイスしてください。
改稿したので、しばらくしたら消します
現代ダンジョンで成り上がり!
カメ
ファンタジー
現代ダンジョンで成り上がる!
現代の世界に大きな地震が全世界同時に起こると共に、全世界にダンジョンが現れた。
舞台はその後の世界。ダンジョンの出現とともに、ステータスが見れる様になり、多くの能力、スキルを持つ人たちが現れる。その人達は冒険者と呼ばれる様になり、ダンジョンから得られる貴重な資源のおかげで稼ぎが多い冒険者は、多くの人から憧れる職業となった。
四ノ宮翔には、いいスキルもステータスもない。ましてや呪いをその身に受ける、呪われた子の称号を持つ存在だ。そんな彼がこの世界でどう生き、成り上がるのか、その冒険が今始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる