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アツモリ、竜殺し(ドラゴンスレイヤー)と会う
第105話 俺様直々に説教してやるから感謝しろ!
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「・・・・おーい!」
いきなり遠くから聞き覚えのある声がしたから、ルシーダや敦盛だけでなく、傭兵風の男も声の方向を見たが、それはエミーナだった。しかもシルフィと一緒に駆け足でこっちへ向かっていたのだ。
そのエミーナはルシーダの前で足を止めたけど、かなり長い距離を走って来たのか肩で息をしていたほどだ。
「・・・ちょ、ちょっとエミーナ、あんた、どこへ行ってたのよ!」
「仕方ないだろ?ボクは約束の時間に約束の場所へ行ったのに、誰もいないんだぜー。こっちが勘弁して欲しいよお」
「どうしてここが分かったの?」
「いやー、ホントに偶然なんだけど、シルフィがヒョッコリ顔を出したから、シルフィに頼んで『樹木の精霊』の力でボクの頭の中を覗いてもらって、このバカヅラを描き出してもらって、それを使って風の精霊に探せたら、ここにいるって教えてくれたから全力で走って来たって訳さ」
「ふーん、それは大変だったわねえ」
「勘弁して欲しいぞー。こーんなバカヅラが兄貴かと思ったら、ボクは恥ずかしくて人前を歩けないぞ」
エミーナはそう言ったかと思ったら、傭兵風の男の足をいきなり踏みつけた。
傭兵風の男は一瞬、顔を真っ赤にしたけど大声を上げなかったのは流石だ。
「おいおいー、それが兄に対する挨拶かあ?お前の方こそ礼儀知らずだぞ」
「フン!その言葉、『兄』という部分を『妹』に置き換えてソックリそのままお返しする」
「だいたい、お前の方こそ迎えに来なかったクセに何を言ってる!」
「はあ!?約束の時間は今日の午前6時、しかもファウナの西地区、国際航路の休憩所の前だって兄貴が自分から言ってたクセに、約束の時間の30分前に行ったにも関わらず来なかった奴に言われたくなーい」
「あれっ?俺様はお前にそんな約束をした?」
「ボクの言葉が信用できないというなら、『真実』の呪文を使うか、そこにいるルシーダに『懺悔』を使ってもらうか、好きな方を選べ!」
「へえー、この姉ちゃん、『ルシーダ』という名前なのかあ」
「話を逸らすなあ!」
「まあまあ、久しぶりの兄妹の再開なんだから大目に見て欲しいなあ」
「兄貴はルーズ過ぎるんだよ!!」
エミーナはそう言って傭兵風の男を睨んでるけど、傭兵風の男は「まあまあ」とエミーナを軽くあしらっていて全然反省した素振りを見せない。ルシーダだけでなく敦盛も満里奈も、それにココアも唖然とした表情でエミーナと傭兵風の男を交互に見ていたほどだ。シルフィは相変わらずだけどニコニコしたままだ。傭兵風の男のツレのうち、3人は「やれやれ」という表情で傭兵風の男を見てるけど、ただ一人、銀髪の女だけは冷たい目をしたままエミーナを見ていた。いや、エミーナは意識して銀髪の女を無視していたのだ!
ルシーダは「はーー」とため息をついたかと思ったら、エミーナの法服の袖を強引に引っ張って引き寄せた。
「・・・ちょ、ちょっとエミーナ!」
「ん?ルシーダ、どうした?」
「どうしたもこうしたも無いわよ!あんたさあ、お兄さんがいるだなんて私に一度も言った事がなかったでしょ!」
「あー、その事か」
「『あー、その事か』じゃあないわよ!」
「わりーわりー」
「はーー、ところで、お兄さんの名前は?」
「ん?ユーノスだよ」
「ユーノス?私、超がつく有名人でユーノスという名前の人を知ってるけど、まさかねえ」
「うーん、多分、ルシーダは正解だよ」
エミーナはそう言うと右手で持っていた杖でいきなり傭兵風の男の頭を『ゴツン』と叩いたから、その傭兵風の男は「痛いだろ!」とエミーナに文句を言ったけど、エミーナはあえて無視した。
「丁度いいや、アツモリたちにもボクの兄貴を紹介する」
「「「「「 兄貴? 」」」」」
「そう、兄貴。こいつの名前はユーノス。またの名を・・・」
エミーナが言い出そうとした瞬間、エミーナの兄、ユーノスはエミーナの肩をグイッと引っ張ったかと思ったら前へ進み出た。
「・・・俺様の名前はユーノス!『熱血の勇者ユーノス』と言えば姉ちゃんたちも知ってるんじゃあないのか?」
ユーノスはそう言って胸を張ったけど、当たり前だが敦盛も満里奈も、それにシルフィも何を言ってるのか全然分からないから首を傾げているだけだ。
だが・・・ルシーダとココアは「えーーっ!」と声を上げたほどだ。
ココアは興奮したような表情になったけど、逆にルシーダは緊張したような表情になった。
「・・・俺様はカリスト大陸冒険者ギルド、リーバイス王国のメルクリウス支部所属のユーノス。『熱血の勇者ユーノス』と名乗ってるけど、それ以上に『竜殺し』ユーノスを知らない奴は俺様直々に説教してやるから感謝しろ!」
いきなり遠くから聞き覚えのある声がしたから、ルシーダや敦盛だけでなく、傭兵風の男も声の方向を見たが、それはエミーナだった。しかもシルフィと一緒に駆け足でこっちへ向かっていたのだ。
そのエミーナはルシーダの前で足を止めたけど、かなり長い距離を走って来たのか肩で息をしていたほどだ。
「・・・ちょ、ちょっとエミーナ、あんた、どこへ行ってたのよ!」
「仕方ないだろ?ボクは約束の時間に約束の場所へ行ったのに、誰もいないんだぜー。こっちが勘弁して欲しいよお」
「どうしてここが分かったの?」
「いやー、ホントに偶然なんだけど、シルフィがヒョッコリ顔を出したから、シルフィに頼んで『樹木の精霊』の力でボクの頭の中を覗いてもらって、このバカヅラを描き出してもらって、それを使って風の精霊に探せたら、ここにいるって教えてくれたから全力で走って来たって訳さ」
「ふーん、それは大変だったわねえ」
「勘弁して欲しいぞー。こーんなバカヅラが兄貴かと思ったら、ボクは恥ずかしくて人前を歩けないぞ」
エミーナはそう言ったかと思ったら、傭兵風の男の足をいきなり踏みつけた。
傭兵風の男は一瞬、顔を真っ赤にしたけど大声を上げなかったのは流石だ。
「おいおいー、それが兄に対する挨拶かあ?お前の方こそ礼儀知らずだぞ」
「フン!その言葉、『兄』という部分を『妹』に置き換えてソックリそのままお返しする」
「だいたい、お前の方こそ迎えに来なかったクセに何を言ってる!」
「はあ!?約束の時間は今日の午前6時、しかもファウナの西地区、国際航路の休憩所の前だって兄貴が自分から言ってたクセに、約束の時間の30分前に行ったにも関わらず来なかった奴に言われたくなーい」
「あれっ?俺様はお前にそんな約束をした?」
「ボクの言葉が信用できないというなら、『真実』の呪文を使うか、そこにいるルシーダに『懺悔』を使ってもらうか、好きな方を選べ!」
「へえー、この姉ちゃん、『ルシーダ』という名前なのかあ」
「話を逸らすなあ!」
「まあまあ、久しぶりの兄妹の再開なんだから大目に見て欲しいなあ」
「兄貴はルーズ過ぎるんだよ!!」
エミーナはそう言って傭兵風の男を睨んでるけど、傭兵風の男は「まあまあ」とエミーナを軽くあしらっていて全然反省した素振りを見せない。ルシーダだけでなく敦盛も満里奈も、それにココアも唖然とした表情でエミーナと傭兵風の男を交互に見ていたほどだ。シルフィは相変わらずだけどニコニコしたままだ。傭兵風の男のツレのうち、3人は「やれやれ」という表情で傭兵風の男を見てるけど、ただ一人、銀髪の女だけは冷たい目をしたままエミーナを見ていた。いや、エミーナは意識して銀髪の女を無視していたのだ!
ルシーダは「はーー」とため息をついたかと思ったら、エミーナの法服の袖を強引に引っ張って引き寄せた。
「・・・ちょ、ちょっとエミーナ!」
「ん?ルシーダ、どうした?」
「どうしたもこうしたも無いわよ!あんたさあ、お兄さんがいるだなんて私に一度も言った事がなかったでしょ!」
「あー、その事か」
「『あー、その事か』じゃあないわよ!」
「わりーわりー」
「はーー、ところで、お兄さんの名前は?」
「ん?ユーノスだよ」
「ユーノス?私、超がつく有名人でユーノスという名前の人を知ってるけど、まさかねえ」
「うーん、多分、ルシーダは正解だよ」
エミーナはそう言うと右手で持っていた杖でいきなり傭兵風の男の頭を『ゴツン』と叩いたから、その傭兵風の男は「痛いだろ!」とエミーナに文句を言ったけど、エミーナはあえて無視した。
「丁度いいや、アツモリたちにもボクの兄貴を紹介する」
「「「「「 兄貴? 」」」」」
「そう、兄貴。こいつの名前はユーノス。またの名を・・・」
エミーナが言い出そうとした瞬間、エミーナの兄、ユーノスはエミーナの肩をグイッと引っ張ったかと思ったら前へ進み出た。
「・・・俺様の名前はユーノス!『熱血の勇者ユーノス』と言えば姉ちゃんたちも知ってるんじゃあないのか?」
ユーノスはそう言って胸を張ったけど、当たり前だが敦盛も満里奈も、それにシルフィも何を言ってるのか全然分からないから首を傾げているだけだ。
だが・・・ルシーダとココアは「えーーっ!」と声を上げたほどだ。
ココアは興奮したような表情になったけど、逆にルシーダは緊張したような表情になった。
「・・・俺様はカリスト大陸冒険者ギルド、リーバイス王国のメルクリウス支部所属のユーノス。『熱血の勇者ユーノス』と名乗ってるけど、それ以上に『竜殺し』ユーノスを知らない奴は俺様直々に説教してやるから感謝しろ!」
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