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アツモリ、竜殺し(ドラゴンスレイヤー)とデスマッチをやる
第115話 ちょっといいですか?
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凄まじいまでの爆風が収まった時、人々は見た・・・
敦盛の女王親衛隊の服はボロボロといってもよく、殆ど原型を留めてないどころか髪の毛もチリヂリになっていて全身のあちこちに凄まじいまでの火傷を負っていた事に。しかも敦盛は左膝をついている・・・
ユーノスは立っていた。だが、その右手に持っていたはずの剣は消し飛び、握っていた柄の部分しか残ってない。しかも敦盛の『草薙剣』はユーノスの左肩から先を切り落とした上に左胸に深々と食い込んでいる事に・・・
「・・・サムライさんよお、俺様の勝ちだな」
「・・・寝言は寝てから言え」
「だってお前、膝をついてるだろ?しかも剣を動かすだけの力も残ってないだろー」
「俺がお情けで心臓の手前で止めてやったのを感謝しろ」
「完全決着に情けをかけた時点でサムライさんの負けだ。俺様がチョコンと突き飛ばすだけでぶっ倒れてジ・エンドだぞ」
「そういう竜殺しさんは武器を失ったんだろ?武器を失ったら完全決着以前に負けだ」
敦盛もユーノスも互いに『ニヤリ』としたが、お互い、これ以上は戦えないというのが分かっていたから強がっているのは見え見えだ。
「・・・なあサムライさん」
「ん?」
「引き分けでいいか?」
「俺は異論は・・・ない」
そう敦盛が言った瞬間、敦盛はグラッとなってそのままぶっ倒れた。右手に『草薙剣』を握ったまま。
ユーノスは相当呼吸が苦しいらしく、顔は真っ青だから何とか踏ん張っているような感じだ。だが、失った左腕からの出血は止まらない。
アキュラは右手で眼鏡を治しながらヨロヨロと立ち上がり、サッと右手を上げた。左手も上げようとしたのだが、どうやら左肩の骨を折ったようで、上げたくても上げられないようだ。
「この試合、引き分け」
アキュラはそう宣言したけど、その瞬間、アキュラもぶっ倒れた。
「アツモリ!」
ルシーダが試合場に飛び込んできた。敦盛の火傷は誰が見ても致命傷だから、早く治療してやらないと本当に教会行きになりそうだ。。
ルシーダは敦盛の前で両膝をつくと、そのまま両手を合わせ、精神を集中した始めた。以前、敦盛が『霜の巨人』から受けた凍傷の比ではない重症だ。重度の火傷で大半は赤どころか真っ白だ。ルシーダの『完治』では治せないかもしれないけど、やるしかないのだ。
「どけ!」
いきなりルシーダを突き飛ばすようにして入ってきた人物がいた。それはシエナだった。
そのままシエナは自分のパーティの司祭プリメーラに目で合図したから、プリメーラは黙って頷くと敦盛に『完治』を使った。さすが白金クラスの司祭だけあって、敦盛の火傷も出血も一瞬のうちに消し飛び、敦盛は何事もなかったかのように目を開けた。
ユーノスの傷はユーノスのパーティの司祭アコードが『完治』を使った。こちらも白金クラスだけあって切り落とされた左腕を繋げただけでなく、額の傷や肋骨の骨折も治ったけど、ユーノスは「サンキュー」と軽く言って右手を上げただけで、その後は「はーー」とため息をついて上空を見上げていた。アキュラの怪我もアコードが治療したけど、レクサス支部長に「治療費は請求するぞ」と念押ししていたから、レクサス支部長も苦笑混じりに右手を軽く上げた。
ミニカは大慌てでギルドの建物に駆け込み、そこから大きなバスタオルを持ってきて敦盛に手渡したから、敦盛は「ありがとう」と言って、立ちあがってからバスタオルを肩から掛けた。
この試合、ルールを厳格に適用すれば武器を失ったユーノスの負けだ。だが、敦盛はアキュラが試合終了を宣言する前にぶっ倒れて戦闘能力を喪失したも同然だから、ユーノスの勝ちとも解釈できる。両者が『引き分け』で合意した後に敦盛がぶっ倒れた事とアキュラが『引き分け』の判定をしたから、立ち会い人のレクサス支部長は「引き分け」を宣言し、公式記録は引き分けだ。
となると・・・賭けは不成立、賭け金は全て払戻しとなる・・・はずなのだが・・・
「・・・ちょっといいですか?」
敦盛の女王親衛隊の服はボロボロといってもよく、殆ど原型を留めてないどころか髪の毛もチリヂリになっていて全身のあちこちに凄まじいまでの火傷を負っていた事に。しかも敦盛は左膝をついている・・・
ユーノスは立っていた。だが、その右手に持っていたはずの剣は消し飛び、握っていた柄の部分しか残ってない。しかも敦盛の『草薙剣』はユーノスの左肩から先を切り落とした上に左胸に深々と食い込んでいる事に・・・
「・・・サムライさんよお、俺様の勝ちだな」
「・・・寝言は寝てから言え」
「だってお前、膝をついてるだろ?しかも剣を動かすだけの力も残ってないだろー」
「俺がお情けで心臓の手前で止めてやったのを感謝しろ」
「完全決着に情けをかけた時点でサムライさんの負けだ。俺様がチョコンと突き飛ばすだけでぶっ倒れてジ・エンドだぞ」
「そういう竜殺しさんは武器を失ったんだろ?武器を失ったら完全決着以前に負けだ」
敦盛もユーノスも互いに『ニヤリ』としたが、お互い、これ以上は戦えないというのが分かっていたから強がっているのは見え見えだ。
「・・・なあサムライさん」
「ん?」
「引き分けでいいか?」
「俺は異論は・・・ない」
そう敦盛が言った瞬間、敦盛はグラッとなってそのままぶっ倒れた。右手に『草薙剣』を握ったまま。
ユーノスは相当呼吸が苦しいらしく、顔は真っ青だから何とか踏ん張っているような感じだ。だが、失った左腕からの出血は止まらない。
アキュラは右手で眼鏡を治しながらヨロヨロと立ち上がり、サッと右手を上げた。左手も上げようとしたのだが、どうやら左肩の骨を折ったようで、上げたくても上げられないようだ。
「この試合、引き分け」
アキュラはそう宣言したけど、その瞬間、アキュラもぶっ倒れた。
「アツモリ!」
ルシーダが試合場に飛び込んできた。敦盛の火傷は誰が見ても致命傷だから、早く治療してやらないと本当に教会行きになりそうだ。。
ルシーダは敦盛の前で両膝をつくと、そのまま両手を合わせ、精神を集中した始めた。以前、敦盛が『霜の巨人』から受けた凍傷の比ではない重症だ。重度の火傷で大半は赤どころか真っ白だ。ルシーダの『完治』では治せないかもしれないけど、やるしかないのだ。
「どけ!」
いきなりルシーダを突き飛ばすようにして入ってきた人物がいた。それはシエナだった。
そのままシエナは自分のパーティの司祭プリメーラに目で合図したから、プリメーラは黙って頷くと敦盛に『完治』を使った。さすが白金クラスの司祭だけあって、敦盛の火傷も出血も一瞬のうちに消し飛び、敦盛は何事もなかったかのように目を開けた。
ユーノスの傷はユーノスのパーティの司祭アコードが『完治』を使った。こちらも白金クラスだけあって切り落とされた左腕を繋げただけでなく、額の傷や肋骨の骨折も治ったけど、ユーノスは「サンキュー」と軽く言って右手を上げただけで、その後は「はーー」とため息をついて上空を見上げていた。アキュラの怪我もアコードが治療したけど、レクサス支部長に「治療費は請求するぞ」と念押ししていたから、レクサス支部長も苦笑混じりに右手を軽く上げた。
ミニカは大慌てでギルドの建物に駆け込み、そこから大きなバスタオルを持ってきて敦盛に手渡したから、敦盛は「ありがとう」と言って、立ちあがってからバスタオルを肩から掛けた。
この試合、ルールを厳格に適用すれば武器を失ったユーノスの負けだ。だが、敦盛はアキュラが試合終了を宣言する前にぶっ倒れて戦闘能力を喪失したも同然だから、ユーノスの勝ちとも解釈できる。両者が『引き分け』で合意した後に敦盛がぶっ倒れた事とアキュラが『引き分け』の判定をしたから、立ち会い人のレクサス支部長は「引き分け」を宣言し、公式記録は引き分けだ。
となると・・・賭けは不成立、賭け金は全て払戻しとなる・・・はずなのだが・・・
「・・・ちょっといいですか?」
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