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アツモリ、竜殺し(ドラゴンスレイヤー)とデスマッチをやる

第114話 激突

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「・・・全ての吹き飛ばす力よ、我が剣に宿れ」

 敦盛の言葉はエウレパ語、つまりこの世界の日常語だから、ユーノスだけでなくセレナ王女にも、それに満里奈にも分かったけど、その言葉を言い終えた途端、敦盛の周囲に凄まじいまでの旋毛風つむじかぜが巻き起こった!

「いっくぜーー!」

 敦盛は叫ぶと同時にユーノスに突っ込んで行ったが、その速さは人間の疾走の常識を超えている!ユーノスは咄嗟に炎の魔法剣を構えたけど、敦盛の勢いに負けて遥か後方まで吹き飛ばされ、結界に打ち付けられて止まった!
 ユーノスは一瞬、何が起きたのかサッパリ分からなかったけど、ヨロヨロと起き上がった。
 だがその時、ユーノスは気が付いた!敦盛の右手の剣から竜巻のような風が巻き上がっている事に・・・
「くそっ!『気弾フォース』や『突風ブラスト』の呪文とは全然違う!『飛行フライ』の応用とか、そんなレベルの魔術でもない!だいたい、魔法陣も無しで古代語も使わずに魔術を使えたというのがおかしい!」
「何とでも言え!阿佐家に伝わる、秘術中の秘術だ!お前のような魔術の名門でも知らないような魔術があるという事だ!」
「ちっ!」

 ユーノスは舌打ちしたが、その横ではアキュラが『信じられない』といった表情で敦盛とユーノスを交互に見ているし、それはレクサス支部長やセレナ王女も、シエナやリベロ、フィットといった白金プラチナクラスの冒険者たちも同じで、ミアータもソアラも茫然として敦盛を見ているほどだ。平然としていたのは『ニャンニャンクラブ』の5人だけだ。
 もちろん、全部大ウソだ。ただ単に秘奥義『飛翔ひしょう』とその応用なのは満里奈はとうに気付いている。でも、こういう時はでも効果抜群なのは言うまでもない!

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」

 ユーノスは炎の魔法剣を右手に持って敦盛に突進した!
 敦盛は風をまとったままユーノスに突っ込んで行ったから、両者は試合場のほぼ中央で激突した!だが、勢いは完全に敦盛だ!ユーノスの両足が地面に徐々にめり込んでいくが、それでもユーノスは歯を食いしばって堪えている。敦盛も全力で押し込んでいるが、脇腹や腕の傷からどんどん血が噴き出している!『草薙剣くさなぎのつるぎ』で凄まじいまでの風を巻き上げている上に傷だらけなのだから、自分自身の肉体が悲鳴を上げているのだ!

「ぬおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」

 ユーノスは右手一本から両手持ちに切り替え、渾身の力で敦盛を押し返した!
 敦盛は後方へよろけたが、その隙にユーノスは後方へ大きく跳び、距離を取った。

 敦盛は全身血塗れになりながらも肩でゼーゼーと息をしているが、ユーノスは左手を自分の胸に当てながら苦しそうな表情をしている。それもそのはず、ユーノスは額や頭部から出血してるし左手の薬指と小指があらぬ方向に曲がっている上に、どうやら結界に打ち付けられた時に肋骨を何本か折ったようで、呼吸も満足に出来ないようだ。
「・・・どうやらお互い、限界が近いようだな」
「・・・そうみたいだな」
「次で決着をつけるか?」
「異論はない」
 敦盛もユーノスも互いに『ニヤリ』とすると、敦盛の竜巻も、ユーノスの炎も一段と大きくなった!その竜巻も炎もどんどん大きくなり、アキュラは指輪をしているにも関わらず熱がヒリヒリと伝わってくるから汗をダラダラとかいているし、風に吹き飛ばされそうなのを懸命に踏ん張って耐えていた。

「・・・行くぜ」
「・・・ああ」

 2人は試合場のほぼ中央で激突した!

” ずっがああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああん! ”

 二人を中心に凄まじいまで爆音が鳴り響いたと同時に爆風が吹き荒れた・・・

 アキュラはその爆風に吹き飛ばされ、結界が受け止めた格好だ。爆風が凄まじくて、敦盛とユーノスがどうなっているのか、アキュラどころか誰にも分からない・・・
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