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アツモリ、地獄の養成所へ行く
第84話 魔法の罠(マジックトラップ)
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残すところ1部屋になった。
この部屋は間違いなくレパード子爵の執務室だ。
「エミーナさあ、本当にこの部屋に『隠し扉』があるのかあ?」
敦盛は後方にいるエミーナに半信半疑で聞いたけど、そのエミーナの表情からは自信が感じられない。
「うーん・・・多分ある、としか言えない。もしかしたら建物の外壁にあるかもしれないけど、それだと誰かに見付かる可能性があるから、普通は自分の寝室や執務室に配置するはずだ」
「でもさあ、これが最後の部屋だぞー。廊下に隠し扉が無いのはココアが確認済だぞ」
「仕方ないだろ?誰かさんの引き運の悪さとしか言いようがない」
「ここでババ抜きの話を持ってくるなあ!」
エミーナはニヤリとしながら言ったから敦盛はブーブー文句を言ったけど、そんな敦盛とエミーナのやり取りを見ていた満里奈やバネットたちも笑っている程だが、そんな事を言っても始まらない。
敦盛は大太刀を持つ右手を後ろに引いた。
「阿佐揚羽流『刺突』!」
敦盛の右手が前へ突き出された時、部屋の扉が粉々に壊れた。
「・・・不死生物はいないようですね」
「当たり前だが子爵もいない、か・・・」
ココアを先頭に部屋の中に入ったが、子爵の机や書棚があるだけの普通の部屋で、この部屋は誰かに荒らされた形跡は一切ない。
「・・・ココア、この机の引き出し、鍵が掛かってるけど開けられる?」
エミーナはココアに机の鍵を開けるように言ったから、ココアは無言で頷くとポケットからピックと針金のような物を取り出した。それを器用に使ってアッサリ鍵は開いたけど、引き出しの中からは書類や本が色々と出てきた。
敦盛は「ヒュー」と言って口笛を吹いたけど、ココアの表情は真剣そのものだ。
その引き出しの中の物を取り出したエミーナとルシーダだったが、1冊の分厚い本を手に取ったエミーナが呟いた・・・
「・・・子爵の日記?」
「だと思いますよ。ここがレパード子爵の執務室である以上、使用人の日記とは思えません」
「そう願いたいね」
エミーナはそう言うと日記を手に取ってペラペラとめくり始め、ルシーダも横から日記を見ている。
エミーナとルシーダはその日記を一生懸命読んでるが、表情は真剣そのものだ。満里奈はそんな二人の近くを離れないしモコは廊下にいて警戒を続けている。
敦盛とバネット、シルフィの3人はその間に書棚の本を全部取り除く作業をしている。どこかに隠し扉があるとしたら、それを開ける為の物があるはずだ。
ココアは書棚ではなく、壁を手で触っている。
だが、全部の本をどかしても出てこない。壁にも異常はない。
敦盛たち4人の誰もがおかしいと思って首を捻ったその時、ココアが部屋を見渡して『ハッ!』という表情になった。
「そうか、床だ!」
そう言ったかと思ったら、部屋の端のカーペットを剥がした!その場所だけカーペットが微妙にズレていたのだ!!
敦盛とバネット、シルフィはココアの後ろで興味津々と言った表情で床を見ている・・・
「「「「 あったあ! 」」」」
ココアが隠し通路の入り口と思われる物を見付けた!
ココアは扉と思われる物を手を伸ばしたのだが・・・
エミーナが「あぶない!」と叫んだ瞬間、いきなり扉が光った!
「しまった、魔法の罠!」
ココアが気付いた時には既に遅かった・・・
この部屋は間違いなくレパード子爵の執務室だ。
「エミーナさあ、本当にこの部屋に『隠し扉』があるのかあ?」
敦盛は後方にいるエミーナに半信半疑で聞いたけど、そのエミーナの表情からは自信が感じられない。
「うーん・・・多分ある、としか言えない。もしかしたら建物の外壁にあるかもしれないけど、それだと誰かに見付かる可能性があるから、普通は自分の寝室や執務室に配置するはずだ」
「でもさあ、これが最後の部屋だぞー。廊下に隠し扉が無いのはココアが確認済だぞ」
「仕方ないだろ?誰かさんの引き運の悪さとしか言いようがない」
「ここでババ抜きの話を持ってくるなあ!」
エミーナはニヤリとしながら言ったから敦盛はブーブー文句を言ったけど、そんな敦盛とエミーナのやり取りを見ていた満里奈やバネットたちも笑っている程だが、そんな事を言っても始まらない。
敦盛は大太刀を持つ右手を後ろに引いた。
「阿佐揚羽流『刺突』!」
敦盛の右手が前へ突き出された時、部屋の扉が粉々に壊れた。
「・・・不死生物はいないようですね」
「当たり前だが子爵もいない、か・・・」
ココアを先頭に部屋の中に入ったが、子爵の机や書棚があるだけの普通の部屋で、この部屋は誰かに荒らされた形跡は一切ない。
「・・・ココア、この机の引き出し、鍵が掛かってるけど開けられる?」
エミーナはココアに机の鍵を開けるように言ったから、ココアは無言で頷くとポケットからピックと針金のような物を取り出した。それを器用に使ってアッサリ鍵は開いたけど、引き出しの中からは書類や本が色々と出てきた。
敦盛は「ヒュー」と言って口笛を吹いたけど、ココアの表情は真剣そのものだ。
その引き出しの中の物を取り出したエミーナとルシーダだったが、1冊の分厚い本を手に取ったエミーナが呟いた・・・
「・・・子爵の日記?」
「だと思いますよ。ここがレパード子爵の執務室である以上、使用人の日記とは思えません」
「そう願いたいね」
エミーナはそう言うと日記を手に取ってペラペラとめくり始め、ルシーダも横から日記を見ている。
エミーナとルシーダはその日記を一生懸命読んでるが、表情は真剣そのものだ。満里奈はそんな二人の近くを離れないしモコは廊下にいて警戒を続けている。
敦盛とバネット、シルフィの3人はその間に書棚の本を全部取り除く作業をしている。どこかに隠し扉があるとしたら、それを開ける為の物があるはずだ。
ココアは書棚ではなく、壁を手で触っている。
だが、全部の本をどかしても出てこない。壁にも異常はない。
敦盛たち4人の誰もがおかしいと思って首を捻ったその時、ココアが部屋を見渡して『ハッ!』という表情になった。
「そうか、床だ!」
そう言ったかと思ったら、部屋の端のカーペットを剥がした!その場所だけカーペットが微妙にズレていたのだ!!
敦盛とバネット、シルフィはココアの後ろで興味津々と言った表情で床を見ている・・・
「「「「 あったあ! 」」」」
ココアが隠し通路の入り口と思われる物を見付けた!
ココアは扉と思われる物を手を伸ばしたのだが・・・
エミーナが「あぶない!」と叫んだ瞬間、いきなり扉が光った!
「しまった、魔法の罠!」
ココアが気付いた時には既に遅かった・・・
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