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アツモリ、地上の妖精に会う
第53話 堕天使(だてんし)
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「オーッホッホッホッホーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!」
いきなり、女性の甲高い笑い声が鳴り響いた!
敦盛は咄嗟にシルフィを見たけど、そのシルフィは『ぽかーん』とした表情で声の主を見ている。
空を見上げて高々と笑っているのは・・・フレア主任だ!
「愚かなエルフの娘ねー。素直に掟に従っていれば良かった物を、アッサリ教えてくれるとは、ホント、素直でいいわねー」
そう言うとフレア主任は正面を向いたが、その視線の先にあるのは幹に人為的な傷がある大木・・・世界樹の木だ!
だが、その時、敦盛は気付いた!フレア主任の体から異様な『気』が沸き上がっている事に。それも・・・人間ではない!!
「貴様、何者だ!」
そう言って敦盛は大太刀を一気に抜くとフレア主任に斬りかかったが、フレア主任は避けようともしない!たちまち周囲に鮮血が飛び散ったが、それでもフレア主任は「オーッホッホッホッホーーッ」と高笑いをしたままだ!
この時点でルシーダたちも『おかしい!』と気付いた。どう考えても致命的な傷を受けたにも関わらずフレア主任が笑い続けている!シルフィは事態が飲み込めずアタフタしてるが、その顔は真っ青だ!!
当たり前だが、荷馬車の付近にいたエミーナや御者、周囲にいたエルフたちも異様な光景を目の当たりにして緊張の色を隠せない!!
「土人形、あいつを倒せ!」
エミーナは土人形に攻撃を命じたと同時に自分も駆け出した!その土人形はフレア主任に突進したが、フレア主任は高笑いをしたまま動こうともしない!土人形が右腕を繰り出したからフレア主任の細い体が吹き飛ばされ右半身が粉々になったが、それでもフレア主任は「オーッホッホッホッホーーッ」と高笑いをしたままだ。
そのフレア主任は『ニヤリ』として敦盛を見た!その表情は・・・妖艶だった。
「フン!世界樹の場所を知るまでは大人しくしていたけど、場所が分かった以上、もう人間の体など必要ない!」
そうフレア主任は言ったかと思ったら、いきなり体が爆発した!
あたり一面にフレア主任の肉と骨、血が飛び散ったから敦盛たちは思わず手で顔を覆って防いだけど、その手を下げた瞬間、敦盛たちは信じられない物を見た!
そこに立っていたのは・・・フレア主任ではない!
なぜなら・・・髪は栗色からブロンドに変わり、白い法衣を着ていて、なにより、背中には真っ黒い翼が生えていたからだ!
妖艶なその姿は悍ましいとしか言いようがない!その妖艶な女が土人形に右手を軽く当てた瞬間、土人形は粉々に吹き飛んだから、エミーナも自分の目を疑った。
その妖艶な女は黒い翼を羽ばたかせて宙に舞った。
「我が名はリーザ!堕天使リーザ!!魔王ウーノ様の妻にして四天王の紅一点、女王プレヴィア様の右腕である!」
その堕天使リーザは宣言するかのように上空から敦盛たちを見下ろしてるけど、エミーナは敦盛の右側に並ぶようにして魔術師の杖を構えて立った。
「・・・四天王?女王プレヴィア?そんな名前は聞いた事がないぞ!」
「フン!知らなくて当たり前だ!なぜなら、魔王ウーノ様の軍団の事は機密事項に等しいのだ。だが、どうせお前たちはこの場で死ぬのだから冥土の土産に教えてやる。魔王ウーノ様を支える4人の王、それが四天王であり、妖精族の頂点に君臨するのがウーノ様の妻プレヴィア様であり、妖精女王でもあるのだ。竜王、魔人王、獣王と並ぶ四天王プレヴィア様の命により、世界樹の木はわたしが頂くぞ。大人しく世界樹の木を引き渡すというのなら、命だけは助けてやらぬ事はないが、プレヴィア様の元で命尽きるまで奴隷として使ってやるから感謝するが良かろう」
「世界樹?どうしてそんな物を欲しがるのだ!?」
「お前に話す必要はない。魔王ウーノ様だけでなく、プレヴィア様も是が非でも欲しがっているのだ。栄光ある魔王軍にとって必要不可欠な物だからだ」
そのまま堕天使リーザは「オーッホッホッホッホーーーッ!」と笑い始めた。
だが、そのリーザの様子を見ていたエミーナは『ハッ!』とした表情になった!!
「そ、そうか、どうして魔王が世界樹の木を欲しがっているのか、その理由が分かったぞ!ボクも仮定の話として考えてたし、なによりも諸国王会議でも仮説の話として討論された程の最大の疑問、それは、魔王軍はなぜ人間を一気に滅ぼさないんだという事だ!その理由はズバリ、帝国軍と決戦をした時に、戦力を著しく消耗したんだ!ヴェルサーチェ教だけでなく他の教団の古い書物にも書かれているけど、魔族や妖精族は寿命が人間より長い。という事は逆に考えれば絶対的な数が少ない!帝国軍をほぼ壊滅させたほどの戦力を保有しながら、あの決戦の後は集団戦を避け、わざとゲリラ戦のような事ばかりしているのが何よりの証拠だ!世界樹の木は生命力に溢れているから、その力を解放すれば生命体を簡単に作れるのは、世界樹の葉から魔法生物を簡単に作れる事からも証明されている!魔王軍は世界樹の木を使って、失った軍団を補充して一気に人間を攻め滅ぼすつもりなんだ!!」
エミーナが左手をリーザに突き出しながら叫んだ時、リーザは高笑いを止め『チッ!』と一瞬だけ表情を変えたが、再び妖艶な笑みでエミーナを見た。
「人間の女、これだけの発言でウーノ様の考えを見抜いたという点は誉めてやろう。だが、お前のその知力は危険すぎる。それが分かった以上、お前だけは何が何でも生かしておかぬ!それだけは決まった!!先ほどの発言は訂正させてもらう!!!」
そう言うとリーザは上空からニヤリとしたけど、その微笑みは見る物全てをあざ笑うかのような微笑みだった。
「・・・プレヴィア様より世界樹の奪取とエルフ族殲滅の命を受けたが、我が力をもってしても結界が破れなかった故、人間として結界内に入り込んだが、そこにいる愚かなエルフの娘が正直に喋ってくれたから大助かりじゃ。そこのエルフの娘には感謝の意を込めて、お前だけは命尽きるまでプレヴィア様の元で働かせてやる。殺されなくて済む事を感謝するがよかろう」
そう言ってリーザはニヤリとしたから、シルフィは完全に気が動転して後ろにひっくり返りそうになり、慌ててルシーダとココアがシルフィを支えたくらいだ。
「プレヴィア様の命により、世界樹を魔王ウーノ様に捧げる!『深層の森』のエルフに告げる!残る生涯をウーノ様に捧げよ!ウーノ様に捧げるが嫌なら、このわたしが直々にお前たちに死を与えてやるから、感謝しながら死ぬがよかろう!」
そう高々と宣言したリーザは「オーッホッホッホッホー」と再び高笑いをした!
「貴様、いつから入れ替わっていた!」
敦盛はそう怒鳴ったけど、相手は宙に浮いているから直接攻撃できない!殆ど歯軋りをしているに等しい。
「ん?聞きたいか?聞きたいか?」
「同じ事を二度も言わんでいい!さっさと質問に答えろ!」
敦盛は再び怒鳴ったが、リーザはニヤニヤしたまま敦盛を見下している。
「正確に言えばお前に会う3日前さ」
「どういう事だ?」
「ミゼット商会がエルフ族と定期的に交易しているのはかなり前から気付いていた。我は女ゆえに男の肉体には入り込めぬ。だが、ミゼット商会のあの女は、かなり確率でエルフ族との交易の時に行くときに同行しているから、あの女が別の交易に同行して王都に戻る時に女の肉体に入り込んだ。人間はエルフの集落の結界に入れるというのが分かってたから、あの女を使えばエルフの集落の結界に入れる事に気付いて使わせてもらった。我ら天使族は、魂が残れば肉体はいくらでも再生できるから、自分で自分の肉体を破壊して人間の中に入り込むなど容易い!1つの肉体に2つの魂は存在できぬ故、あの女の魂など、我が存在の前にあっという間に消え去ったから、後はあの女の残存思念を読み取って成り済ましていただけだ。つまり、お前の目の前に現れた時は既に人間フレアではなく、堕天使リーザだったという訳さ」
そう言うとリーザは5度目の「オーッホッホッホッホー」と高笑いした。明らかに人間を馬鹿にしているから完全に敦盛は頭に血が上った!
「魂以外は人間だったから、お前の体からは人間の『気』を発していたという事か!!」
「お前、人間と人間以外の見極めが出来るのか?ま、それを確かめている暇はないから正直に言ってやるけど、まさにその通り!後はあの女の残存思念を読み取って、あの女のフリをしていたに過ぎぬ!」
「くっそー、やられた!!」
「ただ、1つだけ、お前たちに正直に言ってやる。昨日、そこにいる神官が魔術師に反省させようとした時に呪文を使わなかった。本当に唱えたら、それは魔術師ではなく我に降りかかった筈だから、正体がバレそうになって内心焦ったのは認めるぞ。情けなどかけず、本当に反省の呪文を使えば良かったのに、ホント、人間というのは愚かな存在よのお」
そう言うとリーザは「オーッホッホッホッホー」と6度目の高笑いをしたから、敦盛は完全にブチ切れた!でも、空を飛んでる相手に何も出来ないから歯軋りをするしかなかったのだ。
” ビューーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ ! ”
突然、あたり一面に突風が巻き起こって立っているのも難しいくらいになった!空を見たら、体が半透明の巨人が立っていて左手を前にかざしていたのだ。
「あー!あれは風の上位精霊ジンよ!!」
ルシーダはそう言って右手で4大上位精霊の1つ、風の王を指差した。エルフの誰かが風の王を召喚してリーザに攻撃したようで、その突風はリーザの体や羽根を傷つけたが、たちまちリーザの肉体は再生していく!その凄まじいまでの再生力の前には風の王の攻撃は無意味だ!
「フン!我に風の攻撃など無意味だ!」
そう言ったかと思ったら、口を動かし始めた。何を言ってるか分からなかったが、やがて、左手の先の空間が歪み、黒い穴があいた。その穴に左手を突っ込んだかと思ったら、その手には1本の剣が握られていた。その大きさは長剣と言っても過言ではないくらいの剣だ!
リーザはその剣の柄を右手で持って鞘から一気に引き抜いた!白銀に煌めくその剣を両手に持ち替えて、風の王に突進した。
「「「「「「「「「「 !!!!! 」」」」」」」」」」
リーザが長剣を一閃した時、風の王の体が真っ二つになり霧散した!
リーザは「オーッホッホッホッホー」と7度目の高笑いをしたが、敦盛たちは茫然としながら霧散した風の王を見ているしか出来なかった。
いきなり、女性の甲高い笑い声が鳴り響いた!
敦盛は咄嗟にシルフィを見たけど、そのシルフィは『ぽかーん』とした表情で声の主を見ている。
空を見上げて高々と笑っているのは・・・フレア主任だ!
「愚かなエルフの娘ねー。素直に掟に従っていれば良かった物を、アッサリ教えてくれるとは、ホント、素直でいいわねー」
そう言うとフレア主任は正面を向いたが、その視線の先にあるのは幹に人為的な傷がある大木・・・世界樹の木だ!
だが、その時、敦盛は気付いた!フレア主任の体から異様な『気』が沸き上がっている事に。それも・・・人間ではない!!
「貴様、何者だ!」
そう言って敦盛は大太刀を一気に抜くとフレア主任に斬りかかったが、フレア主任は避けようともしない!たちまち周囲に鮮血が飛び散ったが、それでもフレア主任は「オーッホッホッホッホーーッ」と高笑いをしたままだ!
この時点でルシーダたちも『おかしい!』と気付いた。どう考えても致命的な傷を受けたにも関わらずフレア主任が笑い続けている!シルフィは事態が飲み込めずアタフタしてるが、その顔は真っ青だ!!
当たり前だが、荷馬車の付近にいたエミーナや御者、周囲にいたエルフたちも異様な光景を目の当たりにして緊張の色を隠せない!!
「土人形、あいつを倒せ!」
エミーナは土人形に攻撃を命じたと同時に自分も駆け出した!その土人形はフレア主任に突進したが、フレア主任は高笑いをしたまま動こうともしない!土人形が右腕を繰り出したからフレア主任の細い体が吹き飛ばされ右半身が粉々になったが、それでもフレア主任は「オーッホッホッホッホーーッ」と高笑いをしたままだ。
そのフレア主任は『ニヤリ』として敦盛を見た!その表情は・・・妖艶だった。
「フン!世界樹の場所を知るまでは大人しくしていたけど、場所が分かった以上、もう人間の体など必要ない!」
そうフレア主任は言ったかと思ったら、いきなり体が爆発した!
あたり一面にフレア主任の肉と骨、血が飛び散ったから敦盛たちは思わず手で顔を覆って防いだけど、その手を下げた瞬間、敦盛たちは信じられない物を見た!
そこに立っていたのは・・・フレア主任ではない!
なぜなら・・・髪は栗色からブロンドに変わり、白い法衣を着ていて、なにより、背中には真っ黒い翼が生えていたからだ!
妖艶なその姿は悍ましいとしか言いようがない!その妖艶な女が土人形に右手を軽く当てた瞬間、土人形は粉々に吹き飛んだから、エミーナも自分の目を疑った。
その妖艶な女は黒い翼を羽ばたかせて宙に舞った。
「我が名はリーザ!堕天使リーザ!!魔王ウーノ様の妻にして四天王の紅一点、女王プレヴィア様の右腕である!」
その堕天使リーザは宣言するかのように上空から敦盛たちを見下ろしてるけど、エミーナは敦盛の右側に並ぶようにして魔術師の杖を構えて立った。
「・・・四天王?女王プレヴィア?そんな名前は聞いた事がないぞ!」
「フン!知らなくて当たり前だ!なぜなら、魔王ウーノ様の軍団の事は機密事項に等しいのだ。だが、どうせお前たちはこの場で死ぬのだから冥土の土産に教えてやる。魔王ウーノ様を支える4人の王、それが四天王であり、妖精族の頂点に君臨するのがウーノ様の妻プレヴィア様であり、妖精女王でもあるのだ。竜王、魔人王、獣王と並ぶ四天王プレヴィア様の命により、世界樹の木はわたしが頂くぞ。大人しく世界樹の木を引き渡すというのなら、命だけは助けてやらぬ事はないが、プレヴィア様の元で命尽きるまで奴隷として使ってやるから感謝するが良かろう」
「世界樹?どうしてそんな物を欲しがるのだ!?」
「お前に話す必要はない。魔王ウーノ様だけでなく、プレヴィア様も是が非でも欲しがっているのだ。栄光ある魔王軍にとって必要不可欠な物だからだ」
そのまま堕天使リーザは「オーッホッホッホッホーーーッ!」と笑い始めた。
だが、そのリーザの様子を見ていたエミーナは『ハッ!』とした表情になった!!
「そ、そうか、どうして魔王が世界樹の木を欲しがっているのか、その理由が分かったぞ!ボクも仮定の話として考えてたし、なによりも諸国王会議でも仮説の話として討論された程の最大の疑問、それは、魔王軍はなぜ人間を一気に滅ぼさないんだという事だ!その理由はズバリ、帝国軍と決戦をした時に、戦力を著しく消耗したんだ!ヴェルサーチェ教だけでなく他の教団の古い書物にも書かれているけど、魔族や妖精族は寿命が人間より長い。という事は逆に考えれば絶対的な数が少ない!帝国軍をほぼ壊滅させたほどの戦力を保有しながら、あの決戦の後は集団戦を避け、わざとゲリラ戦のような事ばかりしているのが何よりの証拠だ!世界樹の木は生命力に溢れているから、その力を解放すれば生命体を簡単に作れるのは、世界樹の葉から魔法生物を簡単に作れる事からも証明されている!魔王軍は世界樹の木を使って、失った軍団を補充して一気に人間を攻め滅ぼすつもりなんだ!!」
エミーナが左手をリーザに突き出しながら叫んだ時、リーザは高笑いを止め『チッ!』と一瞬だけ表情を変えたが、再び妖艶な笑みでエミーナを見た。
「人間の女、これだけの発言でウーノ様の考えを見抜いたという点は誉めてやろう。だが、お前のその知力は危険すぎる。それが分かった以上、お前だけは何が何でも生かしておかぬ!それだけは決まった!!先ほどの発言は訂正させてもらう!!!」
そう言うとリーザは上空からニヤリとしたけど、その微笑みは見る物全てをあざ笑うかのような微笑みだった。
「・・・プレヴィア様より世界樹の奪取とエルフ族殲滅の命を受けたが、我が力をもってしても結界が破れなかった故、人間として結界内に入り込んだが、そこにいる愚かなエルフの娘が正直に喋ってくれたから大助かりじゃ。そこのエルフの娘には感謝の意を込めて、お前だけは命尽きるまでプレヴィア様の元で働かせてやる。殺されなくて済む事を感謝するがよかろう」
そう言ってリーザはニヤリとしたから、シルフィは完全に気が動転して後ろにひっくり返りそうになり、慌ててルシーダとココアがシルフィを支えたくらいだ。
「プレヴィア様の命により、世界樹を魔王ウーノ様に捧げる!『深層の森』のエルフに告げる!残る生涯をウーノ様に捧げよ!ウーノ様に捧げるが嫌なら、このわたしが直々にお前たちに死を与えてやるから、感謝しながら死ぬがよかろう!」
そう高々と宣言したリーザは「オーッホッホッホッホー」と再び高笑いをした!
「貴様、いつから入れ替わっていた!」
敦盛はそう怒鳴ったけど、相手は宙に浮いているから直接攻撃できない!殆ど歯軋りをしているに等しい。
「ん?聞きたいか?聞きたいか?」
「同じ事を二度も言わんでいい!さっさと質問に答えろ!」
敦盛は再び怒鳴ったが、リーザはニヤニヤしたまま敦盛を見下している。
「正確に言えばお前に会う3日前さ」
「どういう事だ?」
「ミゼット商会がエルフ族と定期的に交易しているのはかなり前から気付いていた。我は女ゆえに男の肉体には入り込めぬ。だが、ミゼット商会のあの女は、かなり確率でエルフ族との交易の時に行くときに同行しているから、あの女が別の交易に同行して王都に戻る時に女の肉体に入り込んだ。人間はエルフの集落の結界に入れるというのが分かってたから、あの女を使えばエルフの集落の結界に入れる事に気付いて使わせてもらった。我ら天使族は、魂が残れば肉体はいくらでも再生できるから、自分で自分の肉体を破壊して人間の中に入り込むなど容易い!1つの肉体に2つの魂は存在できぬ故、あの女の魂など、我が存在の前にあっという間に消え去ったから、後はあの女の残存思念を読み取って成り済ましていただけだ。つまり、お前の目の前に現れた時は既に人間フレアではなく、堕天使リーザだったという訳さ」
そう言うとリーザは5度目の「オーッホッホッホッホー」と高笑いした。明らかに人間を馬鹿にしているから完全に敦盛は頭に血が上った!
「魂以外は人間だったから、お前の体からは人間の『気』を発していたという事か!!」
「お前、人間と人間以外の見極めが出来るのか?ま、それを確かめている暇はないから正直に言ってやるけど、まさにその通り!後はあの女の残存思念を読み取って、あの女のフリをしていたに過ぎぬ!」
「くっそー、やられた!!」
「ただ、1つだけ、お前たちに正直に言ってやる。昨日、そこにいる神官が魔術師に反省させようとした時に呪文を使わなかった。本当に唱えたら、それは魔術師ではなく我に降りかかった筈だから、正体がバレそうになって内心焦ったのは認めるぞ。情けなどかけず、本当に反省の呪文を使えば良かったのに、ホント、人間というのは愚かな存在よのお」
そう言うとリーザは「オーッホッホッホッホー」と6度目の高笑いをしたから、敦盛は完全にブチ切れた!でも、空を飛んでる相手に何も出来ないから歯軋りをするしかなかったのだ。
” ビューーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ ! ”
突然、あたり一面に突風が巻き起こって立っているのも難しいくらいになった!空を見たら、体が半透明の巨人が立っていて左手を前にかざしていたのだ。
「あー!あれは風の上位精霊ジンよ!!」
ルシーダはそう言って右手で4大上位精霊の1つ、風の王を指差した。エルフの誰かが風の王を召喚してリーザに攻撃したようで、その突風はリーザの体や羽根を傷つけたが、たちまちリーザの肉体は再生していく!その凄まじいまでの再生力の前には風の王の攻撃は無意味だ!
「フン!我に風の攻撃など無意味だ!」
そう言ったかと思ったら、口を動かし始めた。何を言ってるか分からなかったが、やがて、左手の先の空間が歪み、黒い穴があいた。その穴に左手を突っ込んだかと思ったら、その手には1本の剣が握られていた。その大きさは長剣と言っても過言ではないくらいの剣だ!
リーザはその剣の柄を右手で持って鞘から一気に引き抜いた!白銀に煌めくその剣を両手に持ち替えて、風の王に突進した。
「「「「「「「「「「 !!!!! 」」」」」」」」」」
リーザが長剣を一閃した時、風の王の体が真っ二つになり霧散した!
リーザは「オーッホッホッホッホー」と7度目の高笑いをしたが、敦盛たちは茫然としながら霧散した風の王を見ているしか出来なかった。
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