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第7話 依頼の達成と生じた謎
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「本日は急に屋敷を訪れる形となってしまいまして、大変申し訳ありません領主様」
「いや、構わん。冒険者ギルドのギルド長自ら火急の用件で参ったのであればそれを無下にする訳にはいかぬからな。それで・・・共に居る者は一体誰だ?」
「初めまして、グエンバルム伯爵。私は商業ギルド、ルピナス支部の支部長補佐をしておりますアグナードと申します。以後、お見知りおきを」
「その商業ギルドの支部長補佐が冒険者ギルドのギルド長と共に何用で来たのだ?」
「最近耳にしたのですが、伯爵様は近々侯爵になられるかもしれないと。公爵家の血を引く娘を正妃として迎え姻戚関係を結ばれるからと聞き及んでおります」
領主のグエンバルムはアグナードの言葉を聞いて、ぎょっとした。
「ど、どこからそんな根も葉もない噂が流れているのだ!?伯爵の私に嫁いでくる様な娘など居る筈が無かろう!」
「はい、確かにその通りです」
アグナードの目が光った。
「ただし強引に婚姻関係を結んだ場合は例外です、公爵家当主の了解を得ずに娘に宣誓書にサインをさせようとしていた事が露見すれば伯爵もただでは済みませんからね。簡単に認める事など出来る筈がございません」
「貴様は私が公爵家の娘を無理やり妃にしようとしているとでも言いたいのか!?」
伯爵が屋敷の守備を任せていた私兵達を応接間まで呼び出すとミリンダとアグナートの周りを囲ませた。
「これは一体どういうつもりですか、領主様?」
「五月蝿い!お前らは2人でグルになって私を陥れようとしているな!?共謀罪で裁いてくれる!」
すると応接間に並べられている書棚の1つから白い煙が出てきた。
「領主様、そこの書棚から煙が出ておりますが火を消さなくてよろしいのですか?」
「そ、それはきっと地下の厨房で火の不始末でもしたのであろう。料理長を後で叱っておく」
「後で叱るのでは無く、今すぐ火を消すべきなのでは?それとも火を消しに行けない理由でも有るのですか?」
ミリンダがニヤニヤしながら領主に尋ねる、明らかに何が原因か知っている顔だ。
「どうやらこの煙はどこかと繋がっていて、そこから流れてきているみたいですね。1度、確かめさせて頂いてもよろしいですか?」
ミリンダが席を立とうとしたので領主が慌てて前に立ちはだかる。
「さっきも言っているだろうが!そこは地下の厨房と繋がっているんだ、だから私が問題無いと言っているのだから問題無い!!」
「猿芝居はいい加減そこまでにしなさいな、正直にベルンウッドの屋敷と地下で繋がっていると言えばまだ公爵の前で弁明する機会を与えられるかもしれませんのに・・・」
見下した様な目でミリンダから見られた事に激昂したグエンバルムは私兵達に命令した。
「この場には我々しか居ない。この2人を今すぐ殺せ、殺せ~!!」
「うふふ、既に手遅れなのですよ。あなた方は♪」
ミリンダが首の後ろに手を回して何かを引くと私兵達の首が一斉に落ちた。
「ひっ、ひぃっ!?」
「この場に居る連中位軽く始末出来なくて冒険者ギルドのギルド長が務まるとでも思っていたのですか?そもそも、天井に潜んでいる筈の密偵の気配が無くなった時点であなたに勝ち目は無かったのですよ、領主様。いや、グエンバルム」
グエンバルムは心の中を見透かされていた、私兵達を呼んだのも天井裏に潜ませていた密偵達の気配が消えていたからなのだがいつの間にそんな芸当をしてのけたのだろうか?
「冒険者と言ってもモンスターを倒す者だけしか所属していない訳じゃ無いのですよ、対人・・・すなわち暗殺の方面が得意の冒険者だって居るのです。この屋敷内に居る者は今頃あなた以外全員捕縛もしくは既に死亡しています、無駄な抵抗はしない事をお奨めしますわ」
グエンバルムがその場に崩れ落ちると煙の出ていた書棚が動いて奥からハジメが姿を現した。
「こちらの方は上手くいったかな?」
「ええ、全て順調に進んでいますわ」
妖艶な笑みを浮かべるミリンダの周囲は私兵達の死体が散乱し、部屋の中は血の臭いで充満している。この惨状を1人で行えるのだからこのギルド長を見た目で侮ると絶対に痛い思いをする、ハジメはそう確信した。
「それでハジメさんの方の成果はどうですか?」
「それなら、すぐに見せられるよ」
ハジメは手に持っていたロープを引くと、身体をロープでグルグル巻きにされたベルンウッドが姿を見せた。そして、その後ろからは囚われていた女性達も付いてきている。
「公女様はいずこに居られますか?これより私の部下がお父上の所までお返し致します、前にどうか出てきて下さい」
すると、女性達の間から美しいドレスを身に纏った女性が前に歩み出た。
「セレスティーナ様であらせられますか?」
「はい、そうです」
「表に馬車を用意してあります、すぐにこの場からお発ち下さい」
「わかりました、助けてくださってどうもありがとう」
公女は丁寧に頭を下げると応接間に入ってきたミリンダの部下に連れられて出て行った、またグエンバルムとベルンウッドの身柄も拘束され連行される。
「あと、彼女はベルンウッドの愛人なんだが俺が無理やり口を割らせた事で憔悴しきっている。出来れば穏便に済ませてやってくれないか?」
「無理よ」
ミリンダは即答した。
「彼女は被害に遭った女性達を売った金の一部を使い贅沢な暮らしをしていた、共犯とまではいかなくても内部告発をしなかった点と合わせて死罪になる可能性が高いわ」
愛人の顔が蒼白になった。
「・・・・でも、今回の件で多くの報奨金が入る事が確定の誰かさんが身元保証人になって報奨の半分を彼女が支払うべき賠償金に充てるのを許してくれるのならこのまま解放しても構わないのだけど?」
(ぐっ!やはりこの女は汚い、死罪にしたら賠償金が追いつかないから俺の報奨金を足しにしようとしていやがる!?)
「分かったよ、俺が貰う報奨の半分を彼女の賠償金に充ててくれ。あと俺が身元保証人になるから、どこか一緒に住める家でも手配してくれ」
「住む家位なら私の方で用意してあげるわ、良かったわね助けてくれる人が居て・・・」
流石に一晩だけは罪状を全て認める書面等にサインして貰う必要が有るからと愛人は留置場で過ごす事となった、被害女性とアグナードも応接間から退出し部屋に残されたのはハジメとミリンダだけとなった。
「しかし、真夜中にあなたが駆け込んで来た時は正直驚いたわ。しかも囚われていた女性の中に公女様まで居た事まで突き止めるなんてね」
「あの愛人が隠し部屋の場所まで素直に案内してくれたからだよ、でなければ潜入した翌日に領主と商人の2人を拘束する事なんて出来なかっただろうな」
少しの間2人は無言となった、そして先に口を開いたのはミリンダだった。
「先程の公女様なのだけど、正体に気付かれずに売られていれば長生き出来たかもしれないわね」
「どういう意味だ、それ?」
「彼女はまだ気付いていないけど領地に戻っても待っているのは斬首、処刑よ。罪状は皇太子からの結婚の申し込みを近隣諸国の重鎮達の目の前で断り恥をかかせた事に対する不敬罪。断った経緯は不明だけど、私達には関係無い世界の話だわ」
「つまり・・・返せば殺されるのが分かってて、彼女を送り返したと言うのかあんたは!?」
「そうよ、でもそれ以外何が出来ると言うの?わざと逃がせば今度は逃亡を手助けした罪で私達が国中の冒険者を敵に回す事になるのよ。私は全ての人間を守るだけの力は持っていない、非情に見えるかもしれないけどこのルピナスの住人や冒険者の仲間を守る為なら公女の命だって切り捨てても構わないわ」
大の為に小を切り捨てる、そんな女が何でベルンウッドの愛人には寛大な裁きを与えようとしているのだろうか?ハジメは不思議に思った。
「じゃあ、何であの愛人は見逃そうとしているんだ?代わりに俺から報奨を半分巻き上げるけどな」
「何だかんだ言って、あなたも彼女に情が移っているのでしょう?一時でも肌を重ねた女が死ぬ所を見たら、あなたは町の中で暴れそうだしね。奴隷同然に扱うのは駄目だけど、彼女の残りの一生をあなたは買い取ったの。あなたのどんな願いでも彼女はきっと叶えてくれるわ、可愛がってあげる事ね」
(こいつは悪魔の生まれ変わりか何かか!?)
ミリンダの評価が目まぐるしく変わっていく、主に悪い方向にだが・・・。しかしここで、ハジメはある事に気が付いた。
「そういえばさ、何であの公女はこんな場所で囚われていたんだ?家に帰れば処刑されるのを知らないって事は家の者が逃がした訳じゃあるまい。誰かが屋敷から連れ出したのか?」
「終わった事をいつまでも考える人なのね。でも・・・確かによく考えてみると変ね、グエンバルムも公女を妻にすれば王家に反逆したのと同じだから討伐軍が送られて内乱が起きていたかもしれない。目先の爵位で満足する様な奴がそんな危険を冒す筈が無い、もしかしたら公女が申し込みを断ったのもベルンウッドに囚われたのも誰かの差し金だったのかしら?」
「それなら、今すぐにでも公女を止めないと!」
「もう間に合わないわ、だって彼女が皇太子の申し込みを断り恥をかかせたのはれっきとした事実なのだから。それともう1つ、あなたは大事な事を忘れていないかしら?」
「大事な事?」
ミリンダはハジメがすっかり忘れていた事を語った。
「今回、救出された女性達の中にもあなたがルピナスに来る途中で助けたという方は居ませんでした。彼女が今回の件に関わっていた可能性を今後は念頭に置くべきでしょう」
後日、ミリンダとハジメも予想していなかった事態が発生した。公女が処刑されようとしていた時、突如1人の男が乱入し公女を奪い連れ去ったそうなのだ。王家に喧嘩を売り勇者を自称するその男が名乗った名前は・・・【佐藤 始】。
途中、後味悪そうな展開にしましたがここで本来召喚される筈だった方の登場です。
「いや、構わん。冒険者ギルドのギルド長自ら火急の用件で参ったのであればそれを無下にする訳にはいかぬからな。それで・・・共に居る者は一体誰だ?」
「初めまして、グエンバルム伯爵。私は商業ギルド、ルピナス支部の支部長補佐をしておりますアグナードと申します。以後、お見知りおきを」
「その商業ギルドの支部長補佐が冒険者ギルドのギルド長と共に何用で来たのだ?」
「最近耳にしたのですが、伯爵様は近々侯爵になられるかもしれないと。公爵家の血を引く娘を正妃として迎え姻戚関係を結ばれるからと聞き及んでおります」
領主のグエンバルムはアグナードの言葉を聞いて、ぎょっとした。
「ど、どこからそんな根も葉もない噂が流れているのだ!?伯爵の私に嫁いでくる様な娘など居る筈が無かろう!」
「はい、確かにその通りです」
アグナードの目が光った。
「ただし強引に婚姻関係を結んだ場合は例外です、公爵家当主の了解を得ずに娘に宣誓書にサインをさせようとしていた事が露見すれば伯爵もただでは済みませんからね。簡単に認める事など出来る筈がございません」
「貴様は私が公爵家の娘を無理やり妃にしようとしているとでも言いたいのか!?」
伯爵が屋敷の守備を任せていた私兵達を応接間まで呼び出すとミリンダとアグナートの周りを囲ませた。
「これは一体どういうつもりですか、領主様?」
「五月蝿い!お前らは2人でグルになって私を陥れようとしているな!?共謀罪で裁いてくれる!」
すると応接間に並べられている書棚の1つから白い煙が出てきた。
「領主様、そこの書棚から煙が出ておりますが火を消さなくてよろしいのですか?」
「そ、それはきっと地下の厨房で火の不始末でもしたのであろう。料理長を後で叱っておく」
「後で叱るのでは無く、今すぐ火を消すべきなのでは?それとも火を消しに行けない理由でも有るのですか?」
ミリンダがニヤニヤしながら領主に尋ねる、明らかに何が原因か知っている顔だ。
「どうやらこの煙はどこかと繋がっていて、そこから流れてきているみたいですね。1度、確かめさせて頂いてもよろしいですか?」
ミリンダが席を立とうとしたので領主が慌てて前に立ちはだかる。
「さっきも言っているだろうが!そこは地下の厨房と繋がっているんだ、だから私が問題無いと言っているのだから問題無い!!」
「猿芝居はいい加減そこまでにしなさいな、正直にベルンウッドの屋敷と地下で繋がっていると言えばまだ公爵の前で弁明する機会を与えられるかもしれませんのに・・・」
見下した様な目でミリンダから見られた事に激昂したグエンバルムは私兵達に命令した。
「この場には我々しか居ない。この2人を今すぐ殺せ、殺せ~!!」
「うふふ、既に手遅れなのですよ。あなた方は♪」
ミリンダが首の後ろに手を回して何かを引くと私兵達の首が一斉に落ちた。
「ひっ、ひぃっ!?」
「この場に居る連中位軽く始末出来なくて冒険者ギルドのギルド長が務まるとでも思っていたのですか?そもそも、天井に潜んでいる筈の密偵の気配が無くなった時点であなたに勝ち目は無かったのですよ、領主様。いや、グエンバルム」
グエンバルムは心の中を見透かされていた、私兵達を呼んだのも天井裏に潜ませていた密偵達の気配が消えていたからなのだがいつの間にそんな芸当をしてのけたのだろうか?
「冒険者と言ってもモンスターを倒す者だけしか所属していない訳じゃ無いのですよ、対人・・・すなわち暗殺の方面が得意の冒険者だって居るのです。この屋敷内に居る者は今頃あなた以外全員捕縛もしくは既に死亡しています、無駄な抵抗はしない事をお奨めしますわ」
グエンバルムがその場に崩れ落ちると煙の出ていた書棚が動いて奥からハジメが姿を現した。
「こちらの方は上手くいったかな?」
「ええ、全て順調に進んでいますわ」
妖艶な笑みを浮かべるミリンダの周囲は私兵達の死体が散乱し、部屋の中は血の臭いで充満している。この惨状を1人で行えるのだからこのギルド長を見た目で侮ると絶対に痛い思いをする、ハジメはそう確信した。
「それでハジメさんの方の成果はどうですか?」
「それなら、すぐに見せられるよ」
ハジメは手に持っていたロープを引くと、身体をロープでグルグル巻きにされたベルンウッドが姿を見せた。そして、その後ろからは囚われていた女性達も付いてきている。
「公女様はいずこに居られますか?これより私の部下がお父上の所までお返し致します、前にどうか出てきて下さい」
すると、女性達の間から美しいドレスを身に纏った女性が前に歩み出た。
「セレスティーナ様であらせられますか?」
「はい、そうです」
「表に馬車を用意してあります、すぐにこの場からお発ち下さい」
「わかりました、助けてくださってどうもありがとう」
公女は丁寧に頭を下げると応接間に入ってきたミリンダの部下に連れられて出て行った、またグエンバルムとベルンウッドの身柄も拘束され連行される。
「あと、彼女はベルンウッドの愛人なんだが俺が無理やり口を割らせた事で憔悴しきっている。出来れば穏便に済ませてやってくれないか?」
「無理よ」
ミリンダは即答した。
「彼女は被害に遭った女性達を売った金の一部を使い贅沢な暮らしをしていた、共犯とまではいかなくても内部告発をしなかった点と合わせて死罪になる可能性が高いわ」
愛人の顔が蒼白になった。
「・・・・でも、今回の件で多くの報奨金が入る事が確定の誰かさんが身元保証人になって報奨の半分を彼女が支払うべき賠償金に充てるのを許してくれるのならこのまま解放しても構わないのだけど?」
(ぐっ!やはりこの女は汚い、死罪にしたら賠償金が追いつかないから俺の報奨金を足しにしようとしていやがる!?)
「分かったよ、俺が貰う報奨の半分を彼女の賠償金に充ててくれ。あと俺が身元保証人になるから、どこか一緒に住める家でも手配してくれ」
「住む家位なら私の方で用意してあげるわ、良かったわね助けてくれる人が居て・・・」
流石に一晩だけは罪状を全て認める書面等にサインして貰う必要が有るからと愛人は留置場で過ごす事となった、被害女性とアグナードも応接間から退出し部屋に残されたのはハジメとミリンダだけとなった。
「しかし、真夜中にあなたが駆け込んで来た時は正直驚いたわ。しかも囚われていた女性の中に公女様まで居た事まで突き止めるなんてね」
「あの愛人が隠し部屋の場所まで素直に案内してくれたからだよ、でなければ潜入した翌日に領主と商人の2人を拘束する事なんて出来なかっただろうな」
少しの間2人は無言となった、そして先に口を開いたのはミリンダだった。
「先程の公女様なのだけど、正体に気付かれずに売られていれば長生き出来たかもしれないわね」
「どういう意味だ、それ?」
「彼女はまだ気付いていないけど領地に戻っても待っているのは斬首、処刑よ。罪状は皇太子からの結婚の申し込みを近隣諸国の重鎮達の目の前で断り恥をかかせた事に対する不敬罪。断った経緯は不明だけど、私達には関係無い世界の話だわ」
「つまり・・・返せば殺されるのが分かってて、彼女を送り返したと言うのかあんたは!?」
「そうよ、でもそれ以外何が出来ると言うの?わざと逃がせば今度は逃亡を手助けした罪で私達が国中の冒険者を敵に回す事になるのよ。私は全ての人間を守るだけの力は持っていない、非情に見えるかもしれないけどこのルピナスの住人や冒険者の仲間を守る為なら公女の命だって切り捨てても構わないわ」
大の為に小を切り捨てる、そんな女が何でベルンウッドの愛人には寛大な裁きを与えようとしているのだろうか?ハジメは不思議に思った。
「じゃあ、何であの愛人は見逃そうとしているんだ?代わりに俺から報奨を半分巻き上げるけどな」
「何だかんだ言って、あなたも彼女に情が移っているのでしょう?一時でも肌を重ねた女が死ぬ所を見たら、あなたは町の中で暴れそうだしね。奴隷同然に扱うのは駄目だけど、彼女の残りの一生をあなたは買い取ったの。あなたのどんな願いでも彼女はきっと叶えてくれるわ、可愛がってあげる事ね」
(こいつは悪魔の生まれ変わりか何かか!?)
ミリンダの評価が目まぐるしく変わっていく、主に悪い方向にだが・・・。しかしここで、ハジメはある事に気が付いた。
「そういえばさ、何であの公女はこんな場所で囚われていたんだ?家に帰れば処刑されるのを知らないって事は家の者が逃がした訳じゃあるまい。誰かが屋敷から連れ出したのか?」
「終わった事をいつまでも考える人なのね。でも・・・確かによく考えてみると変ね、グエンバルムも公女を妻にすれば王家に反逆したのと同じだから討伐軍が送られて内乱が起きていたかもしれない。目先の爵位で満足する様な奴がそんな危険を冒す筈が無い、もしかしたら公女が申し込みを断ったのもベルンウッドに囚われたのも誰かの差し金だったのかしら?」
「それなら、今すぐにでも公女を止めないと!」
「もう間に合わないわ、だって彼女が皇太子の申し込みを断り恥をかかせたのはれっきとした事実なのだから。それともう1つ、あなたは大事な事を忘れていないかしら?」
「大事な事?」
ミリンダはハジメがすっかり忘れていた事を語った。
「今回、救出された女性達の中にもあなたがルピナスに来る途中で助けたという方は居ませんでした。彼女が今回の件に関わっていた可能性を今後は念頭に置くべきでしょう」
後日、ミリンダとハジメも予想していなかった事態が発生した。公女が処刑されようとしていた時、突如1人の男が乱入し公女を奪い連れ去ったそうなのだ。王家に喧嘩を売り勇者を自称するその男が名乗った名前は・・・【佐藤 始】。
途中、後味悪そうな展開にしましたがここで本来召喚される筈だった方の登場です。
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※小説家になろう様でも掲載しています。
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