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魔王攻略の糸口
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「っという訳で、あと1週間でエルフに戻す方法を見つけないと俺は殺されることになった」
「……あなた、わたしを今すぐその魔王とかいう女のところに連れて行って下さい。
女同士で少し話し合おうと思います」
ニッコリと笑みを浮かべるクレア、ディザイアは背筋に寒気を覚える。
「それなら創造を使って、エルフになる薬を創れば済む話じゃないの?」
話を聞いていた沙織がそう答え、横にいるコージと小梅も頷いた。
「それがどうやら創造にも、出来ること出来ないことがあるみたいでな。 1度でも見たりしたものは、その姿を真似て創ることが出来るが会ったことも無いものを創造することは出来ないらしい」
そう言うとディザイアは1粒の錠剤を取り出すと、沙織に手渡す。
「今の俺の力ではそれくらいしか創れん、毒じゃないから試しに飲んでみろ」
何やら嫌な予感がしたが、沙織は渋々その錠剤を飲んでみる。
するとその効果はすぐに現れた、沙織の頭部に猫耳がそして臀部にしっぽが生えてきたのだ!
「ニャニャ、ニャによコレ!?」
「うむ、それはワーキャットになれる薬だ。 副作用で語尾などにニャと何故か言うようになるオマケ付きだ」
「ニャ……ニャんてもニョをニョませるニョ!」
沙織はしっぽの毛を逆立てて怒りだした、するとコージが変な衝動に駆られて彼女のあごを撫でてみる。
「にゃあ、ごろにゃ~ん♡」
途端にその手に頬ずりすると、彼の膝の上で丸くなる沙織。
数分後我に返った彼女は、コージの頭をポカポカと叩く。
「あニャた、私のこんニャ恥ずかしいところをみニャに見せてたニョしい?」
コージはたいして痛くもない頭を手で押さえていると、ディザイアが沙織のしっぽを指差して握ってみろとジェスチャーを送ってきた。
半分悪ノリしていたコージは、言われるまま沙織のしっぽを握りしめる。
すると……。
「ニャはぁ~ん♡」
その場にへなへなと座り込んでしまう沙織、ついでしっぽの根元辺りを指でなぞると背を仰け反らせて腰砕け状態になってしまった。
「コージ、お前の責任だ。 早く部屋に連れて行って、彼女を鎮めてやれ」
「全部、父上の所為でしょうが!?」
沙織を抱き上げたコージは、彼女の発情した身体を鎮める為自室に引き上げる。
ディザイアが愉快そうに笑っていると、背後から物凄い殺気を感じた。
「……あなた。 そんなに魔王に殺されたいのなら、私が先に楽にしてあげることも出来ますが?」
「……すまなかった、許せ」
それから2時間近くディザイアは正座して、クレアのお説教を聞く羽目になったのである……。
翌朝クレアに部屋を追い出されたディザイアが、ブレサの街を1人で歩いていると井戸の近くでフィオが水浴びをしていた。
フィオはディザイアに気付くと、身体も拭かずに裸で抱きついてくる。
「ディザイア様。 いつになったら、またわたくしを抱いてくださいますの? あのたくましいモノで貫かれる日を、心待ちにしておりますのに……」
フィオは顔を赤くしながら、身体をくねらせた。
(今抱えている問題が片付いたら、仕方ない呼んでやるか)
そんなことを考えながら、とりあえずエルフについて何か知っていることはないか彼女に聞いてみる。
「そうだフィオ、ケラド村に住んでいた頃に聞いた話でも構わない。 このブレサの近くで、エルフの娘を見かけたって話を知らないか?」
「知ってますよ」
「そうだよな、急に聞かれても困るよな……って、お前知ってるのか!?」
「はい」
こともなげに答えるフィオ、ディザイアは少しだけ不安になった。
「そのエルフはどこに住んでいるんだ? 分かる範囲で教えてくれ」
「このブレサからですと、北西に3日ほど行った先に城塞都市カルミアがあります。
そこの教会に数年前、1人のエルフが見習いで入ったという話を聞きました」
「その話、なぜお前が知っているんだ?」
理由を問い質すディザイア、彼は彼女について忘れていた事実が1つある。
「もうお忘れかもしれませんが、わたくしはシスターを目指していました。 そしてカルミアの教会で、修行をする予定だったのです」
「そのエルフはなんで急に、シスターになろうとしたんだ?」
「本人から聞いた話ではないので本当かどうかはわかりませんが、なんでも大好きな姉がダークエルフにされて連れ去られたので、元の姿に戻れるよう神に祈りを捧げているそうです」
(姉がダークエルフにされて連れ去られた?)
似たような話を、昨日連れ去られた本人から聞かされた。
もしかすると上手く利用出来るかもしれない、ディザイアは近くで監視しているであろう魔王に声をかける。
「お~い、魔王。 俺が逃亡しないか、どうせ近くで見張っているんだろ? すこし質問がある、姿を見せてくれないか?」
「こういう時のカンだけは働くのね、私を元の姿に戻す件と関係あるのよね?」
近くの建物の屋根から飛び降りる魔王、一晩中外に居たのか身体が震えていた。
「……おい、まさか一晩中外に居たのか? 言えば部屋くらい用意したのに」
「ふんだ! 豚から哀れに思われるようじゃ、魔王失格だわ。 質問があるのよね? 早く言いなさい」
(いちいち癪に障ることを口にする女だ)
イライラしながら問いかけようとした時、魔王の腹が物凄い音を立てて鳴る。
「……黙って俺に付いてこい、大事な質問を腹の音に邪魔されたら迷惑だ。 朝飯位喰わしてやる」
顔を真っ赤にしている魔王を、ディザイアは呆れながら銀鷲亭(ぎんわしてい)へ連れていった……。
「……あなた、わたしを今すぐその魔王とかいう女のところに連れて行って下さい。
女同士で少し話し合おうと思います」
ニッコリと笑みを浮かべるクレア、ディザイアは背筋に寒気を覚える。
「それなら創造を使って、エルフになる薬を創れば済む話じゃないの?」
話を聞いていた沙織がそう答え、横にいるコージと小梅も頷いた。
「それがどうやら創造にも、出来ること出来ないことがあるみたいでな。 1度でも見たりしたものは、その姿を真似て創ることが出来るが会ったことも無いものを創造することは出来ないらしい」
そう言うとディザイアは1粒の錠剤を取り出すと、沙織に手渡す。
「今の俺の力ではそれくらいしか創れん、毒じゃないから試しに飲んでみろ」
何やら嫌な予感がしたが、沙織は渋々その錠剤を飲んでみる。
するとその効果はすぐに現れた、沙織の頭部に猫耳がそして臀部にしっぽが生えてきたのだ!
「ニャニャ、ニャによコレ!?」
「うむ、それはワーキャットになれる薬だ。 副作用で語尾などにニャと何故か言うようになるオマケ付きだ」
「ニャ……ニャんてもニョをニョませるニョ!」
沙織はしっぽの毛を逆立てて怒りだした、するとコージが変な衝動に駆られて彼女のあごを撫でてみる。
「にゃあ、ごろにゃ~ん♡」
途端にその手に頬ずりすると、彼の膝の上で丸くなる沙織。
数分後我に返った彼女は、コージの頭をポカポカと叩く。
「あニャた、私のこんニャ恥ずかしいところをみニャに見せてたニョしい?」
コージはたいして痛くもない頭を手で押さえていると、ディザイアが沙織のしっぽを指差して握ってみろとジェスチャーを送ってきた。
半分悪ノリしていたコージは、言われるまま沙織のしっぽを握りしめる。
すると……。
「ニャはぁ~ん♡」
その場にへなへなと座り込んでしまう沙織、ついでしっぽの根元辺りを指でなぞると背を仰け反らせて腰砕け状態になってしまった。
「コージ、お前の責任だ。 早く部屋に連れて行って、彼女を鎮めてやれ」
「全部、父上の所為でしょうが!?」
沙織を抱き上げたコージは、彼女の発情した身体を鎮める為自室に引き上げる。
ディザイアが愉快そうに笑っていると、背後から物凄い殺気を感じた。
「……あなた。 そんなに魔王に殺されたいのなら、私が先に楽にしてあげることも出来ますが?」
「……すまなかった、許せ」
それから2時間近くディザイアは正座して、クレアのお説教を聞く羽目になったのである……。
翌朝クレアに部屋を追い出されたディザイアが、ブレサの街を1人で歩いていると井戸の近くでフィオが水浴びをしていた。
フィオはディザイアに気付くと、身体も拭かずに裸で抱きついてくる。
「ディザイア様。 いつになったら、またわたくしを抱いてくださいますの? あのたくましいモノで貫かれる日を、心待ちにしておりますのに……」
フィオは顔を赤くしながら、身体をくねらせた。
(今抱えている問題が片付いたら、仕方ない呼んでやるか)
そんなことを考えながら、とりあえずエルフについて何か知っていることはないか彼女に聞いてみる。
「そうだフィオ、ケラド村に住んでいた頃に聞いた話でも構わない。 このブレサの近くで、エルフの娘を見かけたって話を知らないか?」
「知ってますよ」
「そうだよな、急に聞かれても困るよな……って、お前知ってるのか!?」
「はい」
こともなげに答えるフィオ、ディザイアは少しだけ不安になった。
「そのエルフはどこに住んでいるんだ? 分かる範囲で教えてくれ」
「このブレサからですと、北西に3日ほど行った先に城塞都市カルミアがあります。
そこの教会に数年前、1人のエルフが見習いで入ったという話を聞きました」
「その話、なぜお前が知っているんだ?」
理由を問い質すディザイア、彼は彼女について忘れていた事実が1つある。
「もうお忘れかもしれませんが、わたくしはシスターを目指していました。 そしてカルミアの教会で、修行をする予定だったのです」
「そのエルフはなんで急に、シスターになろうとしたんだ?」
「本人から聞いた話ではないので本当かどうかはわかりませんが、なんでも大好きな姉がダークエルフにされて連れ去られたので、元の姿に戻れるよう神に祈りを捧げているそうです」
(姉がダークエルフにされて連れ去られた?)
似たような話を、昨日連れ去られた本人から聞かされた。
もしかすると上手く利用出来るかもしれない、ディザイアは近くで監視しているであろう魔王に声をかける。
「お~い、魔王。 俺が逃亡しないか、どうせ近くで見張っているんだろ? すこし質問がある、姿を見せてくれないか?」
「こういう時のカンだけは働くのね、私を元の姿に戻す件と関係あるのよね?」
近くの建物の屋根から飛び降りる魔王、一晩中外に居たのか身体が震えていた。
「……おい、まさか一晩中外に居たのか? 言えば部屋くらい用意したのに」
「ふんだ! 豚から哀れに思われるようじゃ、魔王失格だわ。 質問があるのよね? 早く言いなさい」
(いちいち癪に障ることを口にする女だ)
イライラしながら問いかけようとした時、魔王の腹が物凄い音を立てて鳴る。
「……黙って俺に付いてこい、大事な質問を腹の音に邪魔されたら迷惑だ。 朝飯位喰わしてやる」
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