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手料理 5
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布団を一式受け取り私の部屋に戻ると辺りは暗くなってきた。
夕食はいつも騎士団の食堂で食べているが今日はレイ様の夕食も考えないといけないので、どうしたものか悩んでいた。
「街に食べに行こうか。世話になっているし、わたしが奢るよ」
「そんな、客人に奢らせるわけにはいきません。もし、よろしければ私の手料理でも構いませんか?」
「手料理?」
「はい、何が食べられない物などありますか?」
独り暮らしが長かったので実は手料理は得意である。
この世界の食材は私が元いた世界と似ている所があり、発酵食品や旨味や風味を出せる食材もある。
絶対目立つレイ様と街に出れば、余計な揉め事を引き寄せる気がするので避けたい。
私は冷蔵庫の中を確認して手際よく料理を始めた。
レイ様は物珍しいのか、私の後ろに立ってじっと私の動きを見ている。
「包丁で切るのは難しいのか?」
「いえ、慣れればなんて事ないです」
「そうか…」
興味津々に眺めているレイ様に私は冗談半分に「やってみますか?」と言った。
すると、レイ様は目を輝かせて「やる」と言って野菜を包丁で切ることにチャレンジした。
天才肌なのか、最初こそぎこちなかったがすぐにコツを掴み野菜を切っていく。
「初めて料理をしたよ」
嬉しそうにしているレイ様を不覚にも少しだけ可愛いと思ってしまった。
やっぱり女の子?
二人で作った料理はお米と肉と野菜炒めと葉物のお浸しと根菜とつみれのお吸い物、ごく普通の夕食だ。
レイ様は初めて作った料理に感動しながら食べていた。
「美味しすぎる…あーどうしよう」
「どうかしましたか?」
ごはんの途中でレイ様は急に頭を抱え出した。
そして、チラッと私を見て何か考えている。
「あのー?」
「…よし、決めた。」
「何をですか?」
「サナ、キミの恋を手伝ってあげよう。こんな美味しい手料理をご馳走してくれたお礼だ」
「は?いや、別に普通の料理ですし。」
というか、これ以上余計な問題を起こして欲しくない。
そんな私の思いを無視してレイ様はやる気満々のようだった。
騎士団宿舎には各部屋ちょっとしたシャワールームがついており、私とレイ様はそれぞれシャワーを浴びて床についた。
そして次の日、朝ごはんをふるまっても感動され、私の出勤にレイ様も同行していた。
「あ、あれ」
レイ様が指差した先に訓練に向かうジレンがいた。
私は胸が飛びはね遠くにいる彼をただ黙ってじっと見つめてトキめいた。
そんな私を横目にレイ様は大きな声でジレンに話かけ近づいた。
「おーい!おはよう!」
「?おはようございます」
私は焦ってレイ様を追いかけた
夕食はいつも騎士団の食堂で食べているが今日はレイ様の夕食も考えないといけないので、どうしたものか悩んでいた。
「街に食べに行こうか。世話になっているし、わたしが奢るよ」
「そんな、客人に奢らせるわけにはいきません。もし、よろしければ私の手料理でも構いませんか?」
「手料理?」
「はい、何が食べられない物などありますか?」
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絶対目立つレイ様と街に出れば、余計な揉め事を引き寄せる気がするので避けたい。
私は冷蔵庫の中を確認して手際よく料理を始めた。
レイ様は物珍しいのか、私の後ろに立ってじっと私の動きを見ている。
「包丁で切るのは難しいのか?」
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「そうか…」
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すると、レイ様は目を輝かせて「やる」と言って野菜を包丁で切ることにチャレンジした。
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「初めて料理をしたよ」
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やっぱり女の子?
二人で作った料理はお米と肉と野菜炒めと葉物のお浸しと根菜とつみれのお吸い物、ごく普通の夕食だ。
レイ様は初めて作った料理に感動しながら食べていた。
「美味しすぎる…あーどうしよう」
「どうかしましたか?」
ごはんの途中でレイ様は急に頭を抱え出した。
そして、チラッと私を見て何か考えている。
「あのー?」
「…よし、決めた。」
「何をですか?」
「サナ、キミの恋を手伝ってあげよう。こんな美味しい手料理をご馳走してくれたお礼だ」
「は?いや、別に普通の料理ですし。」
というか、これ以上余計な問題を起こして欲しくない。
そんな私の思いを無視してレイ様はやる気満々のようだった。
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そして次の日、朝ごはんをふるまっても感動され、私の出勤にレイ様も同行していた。
「あ、あれ」
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私は胸が飛びはね遠くにいる彼をただ黙ってじっと見つめてトキめいた。
そんな私を横目にレイ様は大きな声でジレンに話かけ近づいた。
「おーい!おはよう!」
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私は焦ってレイ様を追いかけた
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