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一年生
寒くなってきました……
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「とまあそういうわけで、俺の応援券を買ってくれないかとお願いしたんだ。本当に買ってくれるかどうか分からなかったけど信じてくれてありがとうございます」
「いやいや、失ったと思っておった夢に光が差し、実現できることになったのは君のおかげじゃ。こちらこそありがとう」
俺は昨日の出来事を全て話すことで腰と左腕に感じている、ぎゅぅぅぅっとした痛みから解放された。
はぁ……痛かった……
説明を始める前から俺は冷たい目で睨んでくるフレアたち三人に思いっきりつねられていたのだ。
話が進んでいく内にドンドンと力が抜けていき、今ではにっこりと微笑みを浮かべている。
「ふっ……私は信じていたぞ。カイのことをな?」
「ええ、二人が出会えたのはきっと神のお導きですね」
「ぐっじょぶ」
何もなかったかのように振る舞う三人だが、俺の身体は悲鳴を上げている。
「……腕と腰が痛いんだが?」
「気のせいだ」
「気のせいです」
「気のせい」
声を揃える三人に俺は思う。
一生勝てる気がしねぇ……
ふふふ、男女とはそういうものじゃないですか?
……詳しくは知りませんがね?
自分の発言で不機嫌になるのはやめてほしいものだ。
「ほほほ、よい友人たちを持っておるのう。うらやましい限りじゃわい!」
「お友達、ねぇ……」
なにやら含みのある言い方でシルヴィさんはニマニマとフレアたちをのぞき込んだ。
「ず、ずいぶんと距離が近いのですが?」
「な、なんでしょうか?」
「むむむ……照れる」
「なるほど、なるほど。ところでカイ君はどう思ってるのかな?お友達?」
「「「!?」」」
突然シルヴィさんから俺の方に話を振られた。
「もちろん友達ではありますが、それだけではありません」
「なっ!?」
「ほぇ!?」
「にゃ?」
「俺にとって彼女たちは大切な……」
ん?なんだか周囲に緊張感が走ったような気がするのだが?
いいですから言葉を続けてください!
わ、わかったよ……
ファーナの気迫に押される形で俺は言葉を続けた。
「大切なライバルです!」
「「「……」」」
あれ?急に寒くなってない?
その場に沈黙が漂い、急激に俺の身体は冷えてしまう。
それはきっと高低差のせいでしょうね……
どういうこと?
上げて落とすというか……まあすぐに分かると思いますよ?
ぎゅぅぅぅぅぅぅ!!!
「いだぁぁぁ!?」
先ほどの比ではないほどの痛みが突然俺の腰や腕を襲う。
しかも今回は先ほどよりも痛む場所が増えている。
「えっどうして!?ていうかなんでルースまで!?」
「友人としての注意だよ」
「そういうことは言葉で言ってほしいが!?体罰反対!」
「言われて気づいちゃダメだからね。それに言い方がひどいなぁ?これは体罰じゃなくてストレッチだよ?とぉぉぉってもにぶいみたいだし」
「にぶくないよ!?鮮明な痛みが俺を襲っているんだがぁぁぁ!?」
俺の絶叫も虚しく、四人からの攻撃は収まることはなかった。
「人に優しい人ほど、自分に向けられる好意に気づかないものよねぇ……」
「ほっほっほっ、お主もそうだったからのう。たっぷりと身に染みておるようじゃな」
「……うるさい」
「おお、怖い怖い……まるでばあ様のようじゃわ……」
じろりと睨まれたおじいさんは、身体を小さくして目を背けていた。
「はぁ……闘いに関すること以外はにぶい奴だな」
「ははは、彼はきっと召喚獣のことの方が詳しいのでしょう。ルナ先生もそう思いませんか?」
「……私は良く分からないのですが、どうしてフレアさんたちは怒っているのですか?」
「「えっ?」」
「はい?」
呆然とする男性教師二人に、きょとんとするルナ先生。
「ルナ、お前……そうやって男たちの心を弄んできたんだな!?」
「はぁ!?どうしてそうなるのですか!?」
「絶対に学生時代モテただろう!?召喚師の学園は圧倒的に男子が多いんだからな!」
「まったくモテてませんが!?こんなこと言わさないでください!哀しくなるでしょう!?」
「……ルナ先生?質問よろしいでしょうか?」
白熱する言い争いの中、冷静さを保っているサフィール先生が口を挟んだ。
「なんですか!?」
「一緒に訓練しようとか、休日のお出かけのお誘いはありませんでしたか?」
「ああ、それならよくありました」
「……それでどうされてました?」
「訓練はしましたよ?申し込んできた人を全員まとめて。ですが、休日に出かけるのは好きではないので全部断ってましたね」
「……やっぱり弄んでるじゃねぇか!このハートブレイカーめ!」
「はぁ!?変な呼び方しないでくれませんか!?」
「ふぅ……春は遠そうですねぇ……そのせいか秋の夜にしてはより寒く感じます……」
なぜ俺がこんな目にあうのか……
マスターの自業自得ですね。
なぜなんだぁぁぁぁぁぁ!?
俺の純粋な疑問に答えてくれる人は、誰もいないのだった……
「いやいや、失ったと思っておった夢に光が差し、実現できることになったのは君のおかげじゃ。こちらこそありがとう」
俺は昨日の出来事を全て話すことで腰と左腕に感じている、ぎゅぅぅぅっとした痛みから解放された。
はぁ……痛かった……
説明を始める前から俺は冷たい目で睨んでくるフレアたち三人に思いっきりつねられていたのだ。
話が進んでいく内にドンドンと力が抜けていき、今ではにっこりと微笑みを浮かべている。
「ふっ……私は信じていたぞ。カイのことをな?」
「ええ、二人が出会えたのはきっと神のお導きですね」
「ぐっじょぶ」
何もなかったかのように振る舞う三人だが、俺の身体は悲鳴を上げている。
「……腕と腰が痛いんだが?」
「気のせいだ」
「気のせいです」
「気のせい」
声を揃える三人に俺は思う。
一生勝てる気がしねぇ……
ふふふ、男女とはそういうものじゃないですか?
……詳しくは知りませんがね?
自分の発言で不機嫌になるのはやめてほしいものだ。
「ほほほ、よい友人たちを持っておるのう。うらやましい限りじゃわい!」
「お友達、ねぇ……」
なにやら含みのある言い方でシルヴィさんはニマニマとフレアたちをのぞき込んだ。
「ず、ずいぶんと距離が近いのですが?」
「な、なんでしょうか?」
「むむむ……照れる」
「なるほど、なるほど。ところでカイ君はどう思ってるのかな?お友達?」
「「「!?」」」
突然シルヴィさんから俺の方に話を振られた。
「もちろん友達ではありますが、それだけではありません」
「なっ!?」
「ほぇ!?」
「にゃ?」
「俺にとって彼女たちは大切な……」
ん?なんだか周囲に緊張感が走ったような気がするのだが?
いいですから言葉を続けてください!
わ、わかったよ……
ファーナの気迫に押される形で俺は言葉を続けた。
「大切なライバルです!」
「「「……」」」
あれ?急に寒くなってない?
その場に沈黙が漂い、急激に俺の身体は冷えてしまう。
それはきっと高低差のせいでしょうね……
どういうこと?
上げて落とすというか……まあすぐに分かると思いますよ?
ぎゅぅぅぅぅぅぅ!!!
「いだぁぁぁ!?」
先ほどの比ではないほどの痛みが突然俺の腰や腕を襲う。
しかも今回は先ほどよりも痛む場所が増えている。
「えっどうして!?ていうかなんでルースまで!?」
「友人としての注意だよ」
「そういうことは言葉で言ってほしいが!?体罰反対!」
「言われて気づいちゃダメだからね。それに言い方がひどいなぁ?これは体罰じゃなくてストレッチだよ?とぉぉぉってもにぶいみたいだし」
「にぶくないよ!?鮮明な痛みが俺を襲っているんだがぁぁぁ!?」
俺の絶叫も虚しく、四人からの攻撃は収まることはなかった。
「人に優しい人ほど、自分に向けられる好意に気づかないものよねぇ……」
「ほっほっほっ、お主もそうだったからのう。たっぷりと身に染みておるようじゃな」
「……うるさい」
「おお、怖い怖い……まるでばあ様のようじゃわ……」
じろりと睨まれたおじいさんは、身体を小さくして目を背けていた。
「はぁ……闘いに関すること以外はにぶい奴だな」
「ははは、彼はきっと召喚獣のことの方が詳しいのでしょう。ルナ先生もそう思いませんか?」
「……私は良く分からないのですが、どうしてフレアさんたちは怒っているのですか?」
「「えっ?」」
「はい?」
呆然とする男性教師二人に、きょとんとするルナ先生。
「ルナ、お前……そうやって男たちの心を弄んできたんだな!?」
「はぁ!?どうしてそうなるのですか!?」
「絶対に学生時代モテただろう!?召喚師の学園は圧倒的に男子が多いんだからな!」
「まったくモテてませんが!?こんなこと言わさないでください!哀しくなるでしょう!?」
「……ルナ先生?質問よろしいでしょうか?」
白熱する言い争いの中、冷静さを保っているサフィール先生が口を挟んだ。
「なんですか!?」
「一緒に訓練しようとか、休日のお出かけのお誘いはありませんでしたか?」
「ああ、それならよくありました」
「……それでどうされてました?」
「訓練はしましたよ?申し込んできた人を全員まとめて。ですが、休日に出かけるのは好きではないので全部断ってましたね」
「……やっぱり弄んでるじゃねぇか!このハートブレイカーめ!」
「はぁ!?変な呼び方しないでくれませんか!?」
「ふぅ……春は遠そうですねぇ……そのせいか秋の夜にしてはより寒く感じます……」
なぜ俺がこんな目にあうのか……
マスターの自業自得ですね。
なぜなんだぁぁぁぁぁぁ!?
俺の純粋な疑問に答えてくれる人は、誰もいないのだった……
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