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一年生
休暇中も訓練です!
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俺たちはレリアントを出発し、学園のあるルードリアへと無事に到着することができた。
「お見送りありがとうございます」
「お兄ちゃんのお墓参りして帰ってくる」
「お土産いっぱい買ってくるからね!」
「ああ、二人とも気をつけてな。クリス先輩も一応気をつけてください」
まあ何があってもクリス先輩なら大丈夫だろう。
「一応ってなに!?私だってか弱い乙女なのに!」
「ははは、ご冗談を」
「カイ君ってばひどい!三人ともなんか言ってやってよ!」
「そ、そうです!乙女ではありますよ!」
「ただ、か弱くはない」
「あははは……クリス先輩もお気をつけてください」
「うぅ……優しいのはルース君だけだよ……」
そして寮で一日を過ごしたリーナ、サリア、クリス先輩が実家のある場所へと帰っていく。
その見送りにルースとともにやってきた。
「名残惜しいですが、そろそろ乗車時刻ギリギリですね」
「それじゃバイバイ」
「またね!」
三人とも途中までは道のりが一緒らしく、同じ馬車へと乗り込んだ。
俺たちの目の前で扉が閉められると、馬に鞭がはいりゆっくりと進み始めていく。
やがて、大きな馬車の姿をは消えていった。
「行っちゃったね……」
「ああ、寂しくなるな」
残された俺とルースの今後の予定は何もない。
俺もじいちゃんの墓参りのため帰ろうかと思ったのだが、反対を押し切ったのだから一人前になるまで帰ってくるな。と両親からお手紙をいただいたので、寮に残りトレーニングを行うことにしている。
それにルースも俺と同じような境遇のようで、帰りづらいそうだ。
ルースの祖父は有名な召喚師だったが、その息子であるルースの父はあまり召喚師という職業を好ましく思っていないという。
「傷だらけで帰ってくるおじいちゃんのことが心配だったんだって。だから僕が召喚師になるって言ったらすごく反対されたよ」
「はぁ……俺たちは親不孝コンビだな」
「あんまり褒められないコンビだね……」
ルースとは昨日の浴場でそんな話をしていた。
見送りを終えて学園へと戻っていると、ファーナがウキウキした様子で話しかけてくる。
それでは早速訓練と参りましょう!
私のプリンセシオンが待っていますからね!
はぁ……わかったわかった……
なんですかその返事は!遊んだ分は取り戻す必要があるのです!
昨日帰ってきたばかりだというのに、厳しい教官だこと。
「俺は寮に帰ったら訓練に入るけど、ルースはどうするんだ?」
「良かったら僕も一緒にいい?剣をもっと使えるようになりたいから、ファーナさんに教わりたいんだけど」
おお!ルース君も剣の魅力に気づきましたか!
もちろんいいですとも!
「ファーナもいいって言ってるし、一緒にやるか」
「うん!よろしくお願いします!」
「ただし……めちゃくちゃ厳しいからあとで後悔するなよ?」
「……頑張る」
マスター、人聞きの悪いことを言わないでください。
素振りとランニングぐらいで何を言うのですか。
量が問題なんだよ!
素振り千回にランニングはグラウンドのコースを百周だぞ!?
あっルース君も参加するんでしたら、木剣での打ち合いも組み込みましょうか。
素振りでは緊張感がありませんからね。
増えたぁぁぁ!?
寮に戻った俺とルースは運動着に着替えると、まずは寮の中庭で素振りを始めた。
マスター!剣は腕で振るんではなく、腰からしっかりと力を伝えていくのです!
ルース君は打ち込んだ後に身体が流れています!
足の裏に力を入れて、直立不動の構えで打ち込むのです!
「だってさぁ!」
「わかりましたぁ!」
ファーナの教えをルースに伝えながら、一心不乱に剣を振るっていく。
「やっと終わった……」
「身体中が痛いよ……」
お疲れさまです。
休憩は十分、その後はランニングに入りますよ!
「十分後にランニングだとさ……」
「……頑張ろうね」
「おお……」
疲れた身体で学園へと移動すると、グラウンドへと向かう。
そして誰もいないグラウンドを走り始めた。
疲れているときこそ姿勢を正して走ってください!
そうすることで持久力が向上するはずです!
ファーナの熱い意志が頭に響く中、ルースに質問をする。
「はぁはぁ……どうして、俺の訓練に付き合おうと思ったんだ?」
「カイにこれ以上離されたくないんだよ……僕はカイに勝ちたいからね」
俺の隣で息を切らしつつ、ルースは笑って答える。
可愛い顔してとんだ負けず嫌いだ。
「俺だって絶対に負けねぇからな!どりゃぁぁぁ!」
速さを競っているわけではないのに、ついダッシュをしてしまった。
「いきなりはズルくない!?逃がさないからね!」
それに対抗してルースが追いかけてきた。
ふふふ、身近に競い合う仲間がいるということは幸せなことですね。
大いに力となることでしょう。
ああ、仲間でありライバルだからな。
今は少しだが、ルースに先んじているかもしれない。
だが、この負けず嫌いで可愛いライバルは絶対に追いかけてくる。
一番に友達になった仲だからこそ、
「負けねぇからなぁぁぁぁぁぁ!」
「待てぇぇぇ!」
負けられない気持ちは大きくなるというものだ。
「お見送りありがとうございます」
「お兄ちゃんのお墓参りして帰ってくる」
「お土産いっぱい買ってくるからね!」
「ああ、二人とも気をつけてな。クリス先輩も一応気をつけてください」
まあ何があってもクリス先輩なら大丈夫だろう。
「一応ってなに!?私だってか弱い乙女なのに!」
「ははは、ご冗談を」
「カイ君ってばひどい!三人ともなんか言ってやってよ!」
「そ、そうです!乙女ではありますよ!」
「ただ、か弱くはない」
「あははは……クリス先輩もお気をつけてください」
「うぅ……優しいのはルース君だけだよ……」
そして寮で一日を過ごしたリーナ、サリア、クリス先輩が実家のある場所へと帰っていく。
その見送りにルースとともにやってきた。
「名残惜しいですが、そろそろ乗車時刻ギリギリですね」
「それじゃバイバイ」
「またね!」
三人とも途中までは道のりが一緒らしく、同じ馬車へと乗り込んだ。
俺たちの目の前で扉が閉められると、馬に鞭がはいりゆっくりと進み始めていく。
やがて、大きな馬車の姿をは消えていった。
「行っちゃったね……」
「ああ、寂しくなるな」
残された俺とルースの今後の予定は何もない。
俺もじいちゃんの墓参りのため帰ろうかと思ったのだが、反対を押し切ったのだから一人前になるまで帰ってくるな。と両親からお手紙をいただいたので、寮に残りトレーニングを行うことにしている。
それにルースも俺と同じような境遇のようで、帰りづらいそうだ。
ルースの祖父は有名な召喚師だったが、その息子であるルースの父はあまり召喚師という職業を好ましく思っていないという。
「傷だらけで帰ってくるおじいちゃんのことが心配だったんだって。だから僕が召喚師になるって言ったらすごく反対されたよ」
「はぁ……俺たちは親不孝コンビだな」
「あんまり褒められないコンビだね……」
ルースとは昨日の浴場でそんな話をしていた。
見送りを終えて学園へと戻っていると、ファーナがウキウキした様子で話しかけてくる。
それでは早速訓練と参りましょう!
私のプリンセシオンが待っていますからね!
はぁ……わかったわかった……
なんですかその返事は!遊んだ分は取り戻す必要があるのです!
昨日帰ってきたばかりだというのに、厳しい教官だこと。
「俺は寮に帰ったら訓練に入るけど、ルースはどうするんだ?」
「良かったら僕も一緒にいい?剣をもっと使えるようになりたいから、ファーナさんに教わりたいんだけど」
おお!ルース君も剣の魅力に気づきましたか!
もちろんいいですとも!
「ファーナもいいって言ってるし、一緒にやるか」
「うん!よろしくお願いします!」
「ただし……めちゃくちゃ厳しいからあとで後悔するなよ?」
「……頑張る」
マスター、人聞きの悪いことを言わないでください。
素振りとランニングぐらいで何を言うのですか。
量が問題なんだよ!
素振り千回にランニングはグラウンドのコースを百周だぞ!?
あっルース君も参加するんでしたら、木剣での打ち合いも組み込みましょうか。
素振りでは緊張感がありませんからね。
増えたぁぁぁ!?
寮に戻った俺とルースは運動着に着替えると、まずは寮の中庭で素振りを始めた。
マスター!剣は腕で振るんではなく、腰からしっかりと力を伝えていくのです!
ルース君は打ち込んだ後に身体が流れています!
足の裏に力を入れて、直立不動の構えで打ち込むのです!
「だってさぁ!」
「わかりましたぁ!」
ファーナの教えをルースに伝えながら、一心不乱に剣を振るっていく。
「やっと終わった……」
「身体中が痛いよ……」
お疲れさまです。
休憩は十分、その後はランニングに入りますよ!
「十分後にランニングだとさ……」
「……頑張ろうね」
「おお……」
疲れた身体で学園へと移動すると、グラウンドへと向かう。
そして誰もいないグラウンドを走り始めた。
疲れているときこそ姿勢を正して走ってください!
そうすることで持久力が向上するはずです!
ファーナの熱い意志が頭に響く中、ルースに質問をする。
「はぁはぁ……どうして、俺の訓練に付き合おうと思ったんだ?」
「カイにこれ以上離されたくないんだよ……僕はカイに勝ちたいからね」
俺の隣で息を切らしつつ、ルースは笑って答える。
可愛い顔してとんだ負けず嫌いだ。
「俺だって絶対に負けねぇからな!どりゃぁぁぁ!」
速さを競っているわけではないのに、ついダッシュをしてしまった。
「いきなりはズルくない!?逃がさないからね!」
それに対抗してルースが追いかけてきた。
ふふふ、身近に競い合う仲間がいるということは幸せなことですね。
大いに力となることでしょう。
ああ、仲間でありライバルだからな。
今は少しだが、ルースに先んじているかもしれない。
だが、この負けず嫌いで可愛いライバルは絶対に追いかけてくる。
一番に友達になった仲だからこそ、
「負けねぇからなぁぁぁぁぁぁ!」
「待てぇぇぇ!」
負けられない気持ちは大きくなるというものだ。
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