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一年生

フレアさんちの露天風呂!

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「ふぅ……お腹いっぱいですぅ……」

「わたしも」

「うふふ、いっぱい食べてくれて嬉しいわ」

食事後、まったりと過ごしていると、

「我が家にはちょっとした天然の露天風呂があるのだが、入るか?」

「お肌に良くて、風が気持ちいいわよ?」

フレアとシャルネさんがなんとも魅力的なことを言いだした。

「は、入りたいです!」

「自然のおふろ、たのしみ」

「みんなでお風呂♪お風呂♪」

いいなぁ……

「言っておくがカイたちは遠慮してもらうぞ」

俺も入りたいという欲望が顔に出ていたのか、フレアに釘を刺されてしまった。

「い、言われんでも分かってるし!」

「そうか。ならばいい」

それからも女性陣は楽しそうに話を続けていく。
なんとも居心地が悪いのは俺だけではないようだ。

「……まったく話に入れませんね」

「うむ……この悲しみを分かち合えることができて嬉しいぞ」

「あはは……化粧品とかファッションとかよく分からないですからね」

「ところで、うちの娘は学園ではどんなふうに過ごしているのかな?」

「俺たちのまとめ役みたいな感じです」

「リーダーシップがあってボクも見習っています」

「そうか、そうか……」

俺たちの話にクレドさんはしみじみと肯く。
男三人にはまったくついていけない話の中で、こそこそとフレアの学園での話をしていたとき。

「それじゃあお腹も落ち着いたことですし、お風呂にいきましょうか?」

「はい!」

「れっつごー」

「それでは一度荷物を取りに行ってきます」

「ママ!一緒にいこ!」

「あなたはカイ君たちを中のお風呂に案内してあげてくださいね」

「ああ、わかった」

そして女性陣はうきうきで広間から出ていく。
その後も俺とルースとクレドさんの三人は居間でくつろいでいた。

「しかし、我が妻や娘も含めて可愛らしい女性ばかりだな」

いきなりのろけかと思ったが、事実ではあるので俺は肯定をする。

「間違いありません」

「ぼ、僕もそう思います……」

「……覗きに興味はないかね」

クレドさんは両ひじをテーブルにつけ、目を輝かせた。

このおっさんは全然懲りてない。
先祖の行いを悔やんでいたんじゃないのかよ。

やはりそっくりじゃありませんか!
どうしようもありませんね!
マスターも注意してください!

「クレドさん?なんてことを言い出すのですか……大変興味あります」

「僕も少し……」

マスターにルース君!?

仕方ないじゃないか!少年のロマンなんだ!

こうなったら力づくでも!
私がみなさんの柔肌を守ります!

ええい!引っ込んでなさい!

なっ!?身体を具現化できない!?

ふふふ、召喚許可を取り消した……
そこで黙って見ているんだな!
ふはははははは!

そ、そんな……
みなさん、申し訳ございません……

なんだか非道な悪役のような気分になってきたが、ひとまず置いておこう。
大事の前の小事だ。

「それでこそ男子である。露天風呂は裏庭にあってな。三階からならバッチリと覗けるはずだ」

「……クレドさん、ついていきます」

「ふふふ、君ならそう言ってくれると思ったよ」

「僕は遠慮しておきます……」

「そうかね、無理には誘いはせん。風呂に案内するのでゆっくりと身体を休めるといい」

ルースの慎重になる気持ちも分かるが、俺は前に進む!
そう!どちらの判断にも正義はあるのだ!

マスターには一切の正義などありませんが!?

「いざ!美しき芸術を観賞しに行きましょう!」

「そうだ!我らは美の探求者なのだ!ポイントは三階の部屋!向かうぞ!カイ君!」

「はい!クレドさん!」

「いいのかなぁ……?」

こんなクラルドの悪癖は残ってほしくなかったです……

ファーナ、仕方ないんだ。
男からエロを抜いたらなにも残らないんだから……

食事のときの私の感動を返してください。

こうして、俺とクレドさんは芸術の観賞に向かった。

そのころ、露天風呂では、

「相変わらず、気持ちいいな……」

「そうですねぇ……」

「きもちいい……」

「うふふ、喜んでもらえて嬉しいわ」

「ママ、お星さまがキレイだよ!」

「そうね、とってもキレイだわ」

五人はお湯に浸かりながら、満天の星空を堪能していた。

「しかし、サリアちゃんのお胸は直接見るとすごいですね……」

「うん……お星さまよりもキレイかも……」

「あんまり見たら……ダメ」

透明なお湯からのぞく裸体を腕で隠す。

「かわいいわぁ……」
「かわいいですぅ……」
「サリアちゃんってかわいい!」
「くっ……これが愛くるしさというものか……」

俺とクレドさんが三階の倉庫の窓に張り付いていると、楽しげな会話が聞こえる。

「心の準備は良いかね?」

「当然です!」

「良い答えだ!」

「開け!美を封印する扉よ!」

俺が窓を開くと同時に目の前で魔方陣が輝く!

「しまった!罠だ!シャルネが仕掛けたんだな!」

奥様は魔導士なんですか!?
その情報、早く知っておきたかった!

「くっ!ここまで来てやられてたまるか!」

「おお!カイ君やるな!罠の発動を止めるとは!」

「止めたわけではありません!あくまで遅らせているだけです!」

俺は魔方陣に自分の魔力を流し、発動を遅らせる。
そして構成を読み取っていき、罠の解除を試みていく。

その技術をもっと世の中に活かしてほしいものです……

(あら?ネズミが引っかかったようね?でも発動を遅らせるなんて恐らくカイ君だろうけど、なかなかやるじゃない。だけどお仕置きよ)

シャルネは上空で光る魔方陣を見つけると瞬時に状況を見抜き、自分の魔力を魔方陣へ飛ばした。

「しまった!もう発動を止められません!クレドさん!すぐに逃げてください!」

「私一人、逃げられるものか!我が魂は、君と共にある!」

「クレドさ……」

俺が感動の言葉を向けようとしたとき。

キィィィン!バチバチバチバチ!

電撃の罠が発動した。

「ギャァァァァァァ!」

とてつもないダメージを喰らった俺達は、

「クレドさん……」

「カイ君……」

「「無念だ……」」

その場で倒れ、力尽きた……

「あら?何か悲鳴が聞こえたような?」

「大きな鼠が罠にかかったのでしょう」

「ねずみいるの?」

「いや?私は見かけたことはないが?」

「ママは見たことあるの?」

「ええ、いつも見てますよ」

不思議そうに首をかしげる少女たちを見つめながら、シャルネはにっこりと微笑んだ。

……後悔はない。
だが未練はある。
一目……一目だけでも見たかった。

マスターは反省してください!

申し訳ございません……

窓からこぼれる月明かりが目に染み、涙がこぼれてしまうのだった。
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