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一年生
最後の決め手は!?
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「武装変化」
キィィィ!
フレアがセツカ先輩との闘いで見せたスキルにより、フェニックスの身体が剣と鎧へ変化させていく。
前回のときよりも剣は一回り大きくなり、装飾も美しい。
そして鎧はライトメイルというよりも、ファーナのようなフルアーマーに近い重装備となっていた。
スキルレベルが上がったのだろう。
滑らかな曲線と女性らしいフォルムの紅い兜の装備まで増えている。
これは手数で圧すサリアにはきついか?
なんだか私のようになってきましたね。
きっとファーナをイメージしたんだろうな。
サリアさんには悪いですが、フレアさんを応援したくなります。
ははは、まあそうなるよな。
「行くぞ!」
空中に浮かんでいた紅い剣を手にすると、完全武装のフレアがサリアに突進していく。
重装備の見た目に反して、速度は前回よりも落ちていない。
さて、しっかりと防備を固めたフレアに対してサリアの方はどうするつもりなのか。
サリアは真正面から受け止めるかのように動かない。
それは無茶な気もするが……
「……合体」
ガウッ!
ロゼルがサリアの背中に乗ると、みるみるとロゼルの身体が溶けだしていく。
するとサリアの身体が変化していき、
「がおー」
のんびりした声で長い毛皮に覆われた腕をフレアへと突き出した。
サリアの頭に狼の耳が、腰からは大きな尻尾が生えている。
可愛いぃぃぃ!?
サ、サリアさんがとっても可愛いですよ!?
ファーナさんは大興奮である。
マスター!私はどちらを応援すればいいのでしょうか!?
どっちも応援すればいいと思うよ?
それは素晴らしいお考えですね!
頑張れ!フレアさんにサリアさん!
獣化サリアは真正面からフレアへと突進し、瞬く間に二人の距離はお互いの間合いへと近づいていく。
「面白い!私と接近戦をするつもりか!」
「何度も考えた。遠くから攻撃しても良くて引き分け。なら、わたしは多くのリスクを払ってでも勝ちにいく」
「その意気や良し!」
フレアはおおきく振りかぶって剣を上段から振り下ろした。
「とぉ」
紅い軌道を残しつつ、フレアの剣がサリアへと襲い掛かるが、両手で挟み込むとその一撃を止めた。
「何っ!?」
サリアの妙技に闘技場が湧き上がる。
あんなの出来るの!?
どうやらサリアさんは筋力だけではなく、動体視力も強化されているようですね。
今の彼女にとってはそれほど速いと感じるものではなかったのでしょう。
それでも恐怖心なんてものはあるだろうに……
信頼しているのでしょう、自分の召喚獣のことを。
だからこそ恐れずに前を向けるのだと思います。
……強くなったな。
初めて闘ったときはがむしゃらに前へ向かってきていたサリアが、今はしっかりと地に足をつけてフレアの攻撃を受け止めている。
その成長ぶりには感心するしかなかった。
「やるではないか。だが、いつまでも抑えられると思うな!」
紅い刀身がほのかに輝きを放つ。
「あつい……」
どうやらフレアの剣が熱を帯びていっているようだ。
「から、こうする」
「くっ!?」
フレアは掴まれている剣を前へと引っ張られたようで、自分の押し込めている力と相まって前方へとバランスを崩す。
「そりゃあ」
倒れまいと左手で床を掴むが、剣を抜き取られる。
あっ!あれ!クリス先輩に出来ない!?
無理ですね。
私の目では剣で受け止めることは可能でも、手で抑えるのは不可能です。
そうかぁ……
クリス先輩の攻略の糸口になるかと思ったが、無理なら仕方ない。
他の手を考えるとしよう。
サリアは奪った剣の柄を取り、構えようとするが、
「あついまま。良く持てるね、こんなの」
柄の部分も熱を感じるようで、大きく横へと投げ捨てた。
キィン!
カラカラ、カラァン……
「愛剣を随分と粗末に扱ってくれるではないか。簡単な話だ、私以外が触れると熱を放つ。元は私のフェザーだからな」
「なるほど。でも剣がない今ならわたしが有利」
サリアの右拳が兜で覆ったフレアの顔を目掛け、切れ味鋭く放たれる。
「言っただろう?この剣は私のフェザーだと」
「ほんとうにやっかい」
遠くへ飛ばされたはずの紅い剣は、まるで意志を持つかのようにフレアの左手へと戻ってきた。
「ふんっ!」
ゴツッ!
掴んだ剣の勢いとともに、サリアの毛皮に覆われた右腕を打ち払う。
「いたい……」
「呆れるほどに硬い皮膚だな……」
サリアは左手で受け身を取ると、そのまま体を回転させて距離を取る。
「ずるい、そんなのあるなんて教えてくれなかった」
「こっちこそそんなモフモフな可愛い姿になるなんて知らなかったぞ!お互い様だ!」
まあ、お互い友人である前にライバル関係、手の内を教える間柄ではない。
そんなことは二人とも分かって言っている。
「わふっ?」
「かわわわっ!?」
サリアは首をかしげ、手を丸めて可愛らしいポーズをフレアに見せつける。
すると、あっさりと動揺した。
きゃぁぁぁぁぁ!?
「可愛いですぅぅぅ!?」
ついでにファーナとリーナも。
「すきあり」
「き、貴様ぁぁぁぁ!?」
一瞬で間合いを詰めたサリアがフレアの背後に回り込んで腰を抱え込む。
そしてそのまま後ろへと投げた。
ドゴンッ!
フレアの首の辺りが石畳へ衝突する。
鎧があるとはいえ、衝撃までは防げないはず。
「ぶい」
油断はしていないようだが、サリアは誇らしげに胸を張っている。
ただ、俺と同じ衝撃吸収スキルのようなダメージ軽減があれば……
床に倒れ込んだフレアだったが、
「ふふふ……紅蓮装具(ぐれんそうぐ)」
ゆらりと立ち上がると、紅い鎧は炎のように燃え始めた。
「可愛さ余って憎さ万倍……」
ギラッ!
兜の目の隙間から紅い光がこぼれる。
「フレア、こわい」
「悪い子には、お仕置きだ……」
ガシャン……ガシャン……
まるでリビングメイルのように、ゆったりとした動きでサリアへと向かっていく。
ファーナにそっくりだな。
私あんなに怖いですか!?
最初のころはあんなだったぞ。
なんということでしょう……
落ち込むファーナはさておき、今のフレアの状態は膨大な魔力を消費しているように見える。
サリアが回避に専念すれば、魔力切れに持ち込めそうだが果たして。
「双顎(そうがく)」
サリアは両手に青白い冷気を纏い、フレアを迎え撃つ構えを見せた。
その姿は二匹の氷狼を従える長のようだ。
「「はぁぁぁぁぁぁ!!」」
炎と氷の化身がぶつかり、発生した水蒸気が周囲を白く染めていく。
そんな中での二人の闘いは、激しいものになった。
「ぐはっ!」
炎と化した鎧だが、氷がサリアの身体を守っているおかげでフレアの身体へと拳が届く。
フレアは苦悶の声を出すが、サリアの腕を炎が絡めとり身動きできなくさせると、
「んぅっ!」
空いている懐にフレアの剣が叩きつけられる。
氷と皮膚で守られているとはいえ、ダメージは小さくないようだ。
一進一退の攻撃の応酬が、永遠に続くかと思われた。
だが、終わりの時は必ずやってくるものだ。
フレアの炎の鎧は剝げ落ち、右腕にほんの少し纏うのみとなり、そしてサリアの獣人化も解け、僅かな氷が右手に宿るのみ。
お互いに後、一撃。
そう確信した二人は、最後の攻撃を繰り出そうと前へ進む。
「ぐっ……」
だが、フレアの身体がよろけてしまう。
「そこっ……!」
その絶好のチャンスにサリアが拳を突き出した。
サリアの拳は吸い込まれるように、倒れこむフレアの顔へと向かっていく。
ギリッ!
「私のっ!」
食いしばったフレアは振り絞った声を上げると、紙一重でサリアの拳を避ける。
「ハ、ハンバーグゥゥゥ!」
そしてそのまま、サリアの大きな胸に拳をぶつけた。
「しつこい……」
むにゅぅぅぅぅぅ!
胸は衝撃を吸収しようとするが、サリアの足は耐え切れずに後方へと倒れこんだ。
「もう、立てない……わたしのまけ」
「勝者、フレアさん!」
「ハンバーグよ……敵は討ったぞ……」
前哨戦の勝利こそが、サリアの敗北の布石だったというわけか……
食べ物の恨みは恐ろしいですねぇ……
哀愁漂うフレアは、大きく拳を突き上げるのだった。
キィィィ!
フレアがセツカ先輩との闘いで見せたスキルにより、フェニックスの身体が剣と鎧へ変化させていく。
前回のときよりも剣は一回り大きくなり、装飾も美しい。
そして鎧はライトメイルというよりも、ファーナのようなフルアーマーに近い重装備となっていた。
スキルレベルが上がったのだろう。
滑らかな曲線と女性らしいフォルムの紅い兜の装備まで増えている。
これは手数で圧すサリアにはきついか?
なんだか私のようになってきましたね。
きっとファーナをイメージしたんだろうな。
サリアさんには悪いですが、フレアさんを応援したくなります。
ははは、まあそうなるよな。
「行くぞ!」
空中に浮かんでいた紅い剣を手にすると、完全武装のフレアがサリアに突進していく。
重装備の見た目に反して、速度は前回よりも落ちていない。
さて、しっかりと防備を固めたフレアに対してサリアの方はどうするつもりなのか。
サリアは真正面から受け止めるかのように動かない。
それは無茶な気もするが……
「……合体」
ガウッ!
ロゼルがサリアの背中に乗ると、みるみるとロゼルの身体が溶けだしていく。
するとサリアの身体が変化していき、
「がおー」
のんびりした声で長い毛皮に覆われた腕をフレアへと突き出した。
サリアの頭に狼の耳が、腰からは大きな尻尾が生えている。
可愛いぃぃぃ!?
サ、サリアさんがとっても可愛いですよ!?
ファーナさんは大興奮である。
マスター!私はどちらを応援すればいいのでしょうか!?
どっちも応援すればいいと思うよ?
それは素晴らしいお考えですね!
頑張れ!フレアさんにサリアさん!
獣化サリアは真正面からフレアへと突進し、瞬く間に二人の距離はお互いの間合いへと近づいていく。
「面白い!私と接近戦をするつもりか!」
「何度も考えた。遠くから攻撃しても良くて引き分け。なら、わたしは多くのリスクを払ってでも勝ちにいく」
「その意気や良し!」
フレアはおおきく振りかぶって剣を上段から振り下ろした。
「とぉ」
紅い軌道を残しつつ、フレアの剣がサリアへと襲い掛かるが、両手で挟み込むとその一撃を止めた。
「何っ!?」
サリアの妙技に闘技場が湧き上がる。
あんなの出来るの!?
どうやらサリアさんは筋力だけではなく、動体視力も強化されているようですね。
今の彼女にとってはそれほど速いと感じるものではなかったのでしょう。
それでも恐怖心なんてものはあるだろうに……
信頼しているのでしょう、自分の召喚獣のことを。
だからこそ恐れずに前を向けるのだと思います。
……強くなったな。
初めて闘ったときはがむしゃらに前へ向かってきていたサリアが、今はしっかりと地に足をつけてフレアの攻撃を受け止めている。
その成長ぶりには感心するしかなかった。
「やるではないか。だが、いつまでも抑えられると思うな!」
紅い刀身がほのかに輝きを放つ。
「あつい……」
どうやらフレアの剣が熱を帯びていっているようだ。
「から、こうする」
「くっ!?」
フレアは掴まれている剣を前へと引っ張られたようで、自分の押し込めている力と相まって前方へとバランスを崩す。
「そりゃあ」
倒れまいと左手で床を掴むが、剣を抜き取られる。
あっ!あれ!クリス先輩に出来ない!?
無理ですね。
私の目では剣で受け止めることは可能でも、手で抑えるのは不可能です。
そうかぁ……
クリス先輩の攻略の糸口になるかと思ったが、無理なら仕方ない。
他の手を考えるとしよう。
サリアは奪った剣の柄を取り、構えようとするが、
「あついまま。良く持てるね、こんなの」
柄の部分も熱を感じるようで、大きく横へと投げ捨てた。
キィン!
カラカラ、カラァン……
「愛剣を随分と粗末に扱ってくれるではないか。簡単な話だ、私以外が触れると熱を放つ。元は私のフェザーだからな」
「なるほど。でも剣がない今ならわたしが有利」
サリアの右拳が兜で覆ったフレアの顔を目掛け、切れ味鋭く放たれる。
「言っただろう?この剣は私のフェザーだと」
「ほんとうにやっかい」
遠くへ飛ばされたはずの紅い剣は、まるで意志を持つかのようにフレアの左手へと戻ってきた。
「ふんっ!」
ゴツッ!
掴んだ剣の勢いとともに、サリアの毛皮に覆われた右腕を打ち払う。
「いたい……」
「呆れるほどに硬い皮膚だな……」
サリアは左手で受け身を取ると、そのまま体を回転させて距離を取る。
「ずるい、そんなのあるなんて教えてくれなかった」
「こっちこそそんなモフモフな可愛い姿になるなんて知らなかったぞ!お互い様だ!」
まあ、お互い友人である前にライバル関係、手の内を教える間柄ではない。
そんなことは二人とも分かって言っている。
「わふっ?」
「かわわわっ!?」
サリアは首をかしげ、手を丸めて可愛らしいポーズをフレアに見せつける。
すると、あっさりと動揺した。
きゃぁぁぁぁぁ!?
「可愛いですぅぅぅ!?」
ついでにファーナとリーナも。
「すきあり」
「き、貴様ぁぁぁぁ!?」
一瞬で間合いを詰めたサリアがフレアの背後に回り込んで腰を抱え込む。
そしてそのまま後ろへと投げた。
ドゴンッ!
フレアの首の辺りが石畳へ衝突する。
鎧があるとはいえ、衝撃までは防げないはず。
「ぶい」
油断はしていないようだが、サリアは誇らしげに胸を張っている。
ただ、俺と同じ衝撃吸収スキルのようなダメージ軽減があれば……
床に倒れ込んだフレアだったが、
「ふふふ……紅蓮装具(ぐれんそうぐ)」
ゆらりと立ち上がると、紅い鎧は炎のように燃え始めた。
「可愛さ余って憎さ万倍……」
ギラッ!
兜の目の隙間から紅い光がこぼれる。
「フレア、こわい」
「悪い子には、お仕置きだ……」
ガシャン……ガシャン……
まるでリビングメイルのように、ゆったりとした動きでサリアへと向かっていく。
ファーナにそっくりだな。
私あんなに怖いですか!?
最初のころはあんなだったぞ。
なんということでしょう……
落ち込むファーナはさておき、今のフレアの状態は膨大な魔力を消費しているように見える。
サリアが回避に専念すれば、魔力切れに持ち込めそうだが果たして。
「双顎(そうがく)」
サリアは両手に青白い冷気を纏い、フレアを迎え撃つ構えを見せた。
その姿は二匹の氷狼を従える長のようだ。
「「はぁぁぁぁぁぁ!!」」
炎と氷の化身がぶつかり、発生した水蒸気が周囲を白く染めていく。
そんな中での二人の闘いは、激しいものになった。
「ぐはっ!」
炎と化した鎧だが、氷がサリアの身体を守っているおかげでフレアの身体へと拳が届く。
フレアは苦悶の声を出すが、サリアの腕を炎が絡めとり身動きできなくさせると、
「んぅっ!」
空いている懐にフレアの剣が叩きつけられる。
氷と皮膚で守られているとはいえ、ダメージは小さくないようだ。
一進一退の攻撃の応酬が、永遠に続くかと思われた。
だが、終わりの時は必ずやってくるものだ。
フレアの炎の鎧は剝げ落ち、右腕にほんの少し纏うのみとなり、そしてサリアの獣人化も解け、僅かな氷が右手に宿るのみ。
お互いに後、一撃。
そう確信した二人は、最後の攻撃を繰り出そうと前へ進む。
「ぐっ……」
だが、フレアの身体がよろけてしまう。
「そこっ……!」
その絶好のチャンスにサリアが拳を突き出した。
サリアの拳は吸い込まれるように、倒れこむフレアの顔へと向かっていく。
ギリッ!
「私のっ!」
食いしばったフレアは振り絞った声を上げると、紙一重でサリアの拳を避ける。
「ハ、ハンバーグゥゥゥ!」
そしてそのまま、サリアの大きな胸に拳をぶつけた。
「しつこい……」
むにゅぅぅぅぅぅ!
胸は衝撃を吸収しようとするが、サリアの足は耐え切れずに後方へと倒れこんだ。
「もう、立てない……わたしのまけ」
「勝者、フレアさん!」
「ハンバーグよ……敵は討ったぞ……」
前哨戦の勝利こそが、サリアの敗北の布石だったというわけか……
食べ物の恨みは恐ろしいですねぇ……
哀愁漂うフレアは、大きく拳を突き上げるのだった。
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