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68話 ビチビチビタンビタン

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 その後も三十二階層でダイアウルフなる狼が現れるも、エンチャンターの拘束魔法〈バインド〉を用いて捕縛し話しかけたが、全く言葉を理解せず。
 ただただ充血した目と鋭い牙を剥いて吠えたててくる。
 仲間にするのを諦め進軍を続けると、数匹倒したところでスライムMAPと同じくあっと言う間にボス部屋だ。
 ボスもグレイウルフなるダイアウルフを二回りほど大きくした狼で、登場即突撃してきたところをククが大盾で受け止め、トトのハルバードが横から腹部を掻っ捌くと、最後にメリティエのナックルが顔面をぶん殴り、大狼の顎が消失した。

「ここまで狂暴ですと、やはり仲間にするのは難しいでしょうな」
「聞く耳持たないって感じで襲ってくるからね」

 ユニスにそう答え、深々と溜息を吐いた。



 三十三階層では体長10メートルは優にあろうかという大きなサメ型のモンスターが現れ、その歯の鋭さと大きな顎に背筋が寒くなる。
 

 キラーシャークLv33
 属性:水
 耐性:打撃軽減。
 弱点:雷ダメージ2倍。火ダメージ1.5倍。
 状態異常:なし
  

 ビチビチビチビチビチビチビチビチビチビチビチ!!!

 巨体を跳ねさせ長い尾びれがビタンビタンと左右の壁に打ち付けられる。

「お前こんな水の無い所になんで出て来たん……」

 このシュール過ぎる状況にこそ戦慄を覚えるわ。

 倒せば経験値になるしボーナスステージと思えば有り難いが、丘に揚げられてるのに何で生きてるのかが不思議で仕方がない。

「トト、見つけ次第とどめを刺してくれ。一応危ないから気を付けてね」
「あーい」
「私も良いか?」
「メリティエはやめといて、もし噛まれでもしたらシャレにならないから」
「……わかった」

 俺の心配に和風美幼女が少し思案顔になるも、何やら納得したように引き下がってくれた。

 サメ映画なら足生えたり頭増えたり竜巻に乗ったりして襲ってくるところなんだがなぁ。
 てかホント、こいつどうやって生きてますん?
 よくよく考えれば、こいつに限らず他の魔物も餌とかどうしてるんだろうか。
 やっぱり迷宮から養分的な何かを補充しているとかかな?

「……ファンタジーだしこんなものか」

 気にはなるが、ここは戦闘区域。
 今はその一言で割り切っておく。

 三十三階層のボスはメガシャーク。
 キラーシャークの4倍くらいのでかさを誇ったが、こいつも御多分に漏れず床を相手にドッタンバッタン大騒ぎ。
 スタッフが(経験値を)美味しく頂きました。
 そして昼前に四階層も攻略と、ペースは上々。
 ボスの居なくなった部屋で一旦休憩を挟み、三十四階層へと足を延ばした。
 
 新たな戦力となる未知なる魔物、あわよくばモンスター娘を求めて。
 
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