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45.お誘い
しおりを挟むリンジェーラ達は露店をまわり、休憩のためにテラス席があるお店に入った。時間は、昼が過ぎた辺りで人が減ったタイミングのため、席には余裕がある。
2人は次は何処に行こうかと、相談しながら昼食を食べ終え、食後の飲み物を飲んでいると、知らない男性が話しかけてきた。
「こんにちは。君たち、さっき露店でブレスレットを買っていただろう?実はあれ、僕が作ったんだよ。なんだか気に入って貰えたみたいだったから、嬉しくて。つい声をかけたんだけど。まだつけてはいないんだね」
話しかけてきた男性は、先程リンジェーラ達が買ったアンクレットの事を言っているのだろう・・・。
だが、2人が買ったのはブレスレットではなくアンクレットだ。似てはいるが、作成者であれば、あれがアンクレットだとわかっているはずだ・・・。
なのにブレスレットだと言う事は、この男性はただ単に話しかけて来たのではなく、別の目的があって近づいてきたのだと、リンジェーラは容易に想像ができた。
リンジェーラとディミドラは顔を見合わせ、アイコンタクトで示し合わせる。とりあえずは様子を見るために、話を合わせてみることにした。
「そうなんですか?アレを作っただなんて、センスがありますね。私達見た瞬間気に入っちゃっいました」
リンジェーラは、まずは普通に相手を褒めてみた。
「いや~嬉しいね。君たちみたいな美少女達に気に入られて、とても嬉しいよ。そうだ、今君たちみたいな美人に似合いそうな作品を作っているんだけど、よかったら見に来ないかい?近くにアトリエがあるんだ」
彼はリンジェーラ達をアトリエに来るように誘ってきた。アトリエに来れば、もっと素敵な作品があると言って・・・。
「普段は誰にも教えないんだけど・・・。君たちが魅力的だからね、作品を気に入ってもらえたらプレゼントするよ」
彼はリンジェーラ達を誘うように、提案をしてくる。
「ん~どうしようかしら・・・」
「行ってもいいけど・・・、丁度お化粧直ししたかったから、ちょっと待っていてもらえるなら」
ディミドラが彼に待つように言うと、彼は了承する。
2人で化粧室に入ると、あの男は怪しいと意見が合う。ただのナンパではなく、何かあるなと推測し、わざとついて行って、確認してみる事に話しはまとまった。
ディミドラは武器はきちんと暗器を仕込んでいると、見せてくれる。リンジェーラは獣人対策もあったが、この前の事もあり、人にも有効な催涙スプレーや、催眠スプレーを持っていた。因みに防壁魔法も習得していた。攻撃も防御も完璧だ。
「ばっちりね。何かありそうだし、家に伝言を伝えるようにしとくわ」
リンジェーラは一応念には念を入れるため、会計を済ませる際に店員にメモを渡しておくのだった。
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