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後日談

後日談:騎士団見学

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 リーディアとレティシアは予定通りに、騎士団を訪れた。名目上は息子への差し入れのためだ。きちんとリーディアは差し入れに体力、魔力回復のある薬草を使ったお菓子を持参した。

 騎士団では見学は、よほどのことがないかぎりは許可がでるため、すぐに許可がおりた。

 しかし、見学者一覧が上に届けられているとは知らない2人はすぐにジルベルトがやってきて、見学の目的を訝しまれた。

「シア・・・産後まもないのだから、家で大人しくしていないといけないじゃないか。退屈だとしても、ここはくるべき場所じゃない・・・」
 兄は全くの正論を述べる。


「ジルったら、私はジルに差し入れを持ってきたのよ?ここ数日忙しくて、帰って来れないあなたのために来たのに・・・ひどいわ」
 レティシアは兄のためにという、言い訳をきちんと考えていたようだ。

「ならば、受けとるから早く帰ってゆっくりしていてくれ、シアがいると、気になって仕事になりそうにない」

「折角来たのだし、少しくらいいいじゃない。キールの訓練ぶりだってみたいのよ。貴方が指導してたのだし、騎士の見込みがあるって言ってたでしょ。私だってお手並みみてみたいわ。そしたら帰るからいいでしょ?お願い」
 兄は、レティシアにお願いされるが、まだ頷かない。

「寂しいから、早く帰れるようにジルもお仕事頑張って来てね。私はここにいるから、お昼一緒に食べましょうね」
 レティシアは兄に、最後の一押しをして頷かせた。

 兄は頷いて訓練場をでていく。


「さすがね・・・シア。お兄様の扱いがうまいわね」

「頑固なとこもあるけど、いつも折れてはくれるし、優しいわよ。そしていい筋肉・・・」

「はいはい、そこまで聞いてないわ。それで、キールはどこかしら」
 リーディアはキールを探すためあたりを見渡す。

 丁度キールは騎士団員達と打ち合いをしているようだった。リーディアはそれを真剣に眺めながら、さすが兄が見込んだだけある。さすが私とシリウス様の息子だと思うのだった。

「これは、これは・・・。熱い視線を送る女性がいるかと思えば・・・リーディア様ではないですか。珍しいですね。あの模擬戦以来ですね」
 話しかけてきたのは、やはり、副団長のエイダン様だった。


「お久しぶりですね。お変わりありませんか」

「そうですね。私の方は何も・・・リーディア様と模擬戦をした時が懐かしいですね。どうですか?今日も良ければ打ち合いでもしていきませんか」
 エイダン様は何を考えているのか、リーディアを打ち合いに誘ってくる。

「今日は人も少ないですし、できればキールとの打ち合いをぜひみてみたいですね。どうですか?」
 エイダン様はリーディアとではなく、リーディアがキールと打ち合うのを提案される。なぜか・・・少し疑ってしまうが、もとより本当の目的はそちらだ。エイダン様が許可したとなれば兄にもいい訳ができるため、提案にのることにした。

 リーディアはレティシアが作ってくれた騎士服に着替えて、髪をまとめあげる。昔と寸分違わぬサイズだ。
 
 リーディアがキールの前に現れると、賑わっていた訓練場が静まり返る。
 キールも唖然としていた。

「母上・・・何故こんなところに、それにその格好は・・・」


「今日はキールに差し入れを持ってきたのだけれど、エイダン様がぜひ、キールと打ち合いをしてはどうかと勧めてくるものだから」
 リーディアは、決して自分から言い出したのではないということを主張しておく。

「母上に剣を向けるわけにはいきません」
キールは拒否する。

「なら、やはり私が相手をしないといけないようですね」
 エイダン様が口を挟んできた。エイダン様も仕方なしにと言った感じで言ってくる。やはり、この流れがシナリオだったのだろう。


 しかし、キールはエイダン様が口を挟んできたため、拒否の姿勢から一変して態度を変える。
「そういうことなら仕方ないですね。母の相手を他の方に譲るわけにはいきません」

 エイダン様はシナリオが崩れて苦虫を潰した様な顔をしていた。

「キールの本気がどれくらいか見てみたいわ・・・どれだけ成長したか母に見せて頂戴」
 リーディアは久しぶりに、気分が高揚した。


 キールと、リーディアは互いに剣を構える。互いが一歩踏み出し、剣が弾きあった。何度も剣を打ち合い弾きかえす。キールは、剣に魔法を纏おうとしてあるが、リーディアは隙を与えない。
 
 身体強化で、リーディアは足を部分的に強化しキールの背後をとる。しかし、キールは身体を翻してかわす。
 かわされたがリーディアは動じない。それが作戦だから・・・、キールがかわした懐に、狙っていたように、ワンステップで飛び込み急所をとらえた。

「勝負あり!それまで」
 勝敗はリーディアが勝った。キールは力の半分もだせていないだろう。魔法を使う暇がなかったのだから。


「随分と成長はしていますが・・・魔法が使えなかった理由はわかりますね」
 リーディアはキールに問う。

「魔法を繰り出す暇を与えてはもらえなかった事が敗因にあるかと・・・剣に纏うことすらままならなかった」

「そうね。あなたは両方を扱うなら、魔法、剣術の戦い方をまだ学びなさい。戦場で敵はまってはくれないわ。スピードをあげれるように鍛錬しなさい」
 リーディアはキールの不足を伝え、キールは前向きな返事をし一礼をした。


 そこへ魔法陣が光り、不機嫌な顔のシリウス様が現れた。
 リーディアはシリウスへ騎士団に来る事は伝えていなかったが、シリウスはリーディアの居場所がわかるため、絶対に来ると、レティシアが予想していた通りになるのだった。








~~続編~~
息子キールが相手の話を更新中です。
「好きな人は姉への求婚者~魔導騎士編~」
こちらも宜しければみてみてください。
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