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後日談
後日談:不安
しおりを挟むシリウス様は、あれから直ぐに魔力循環が元に戻ったようで、仕事に復帰してしまった。
リーディアを避けるように、シリウス様は顔を合わせようとはされず、帰ってくる時間も遅かった。
リーディアは、避けられているのがわかり、悲しくなった。きっと、やり過ぎてシリウスに嫌われてしまったのだろうと・・・。
帰ってきても、同じベッドでは寝るが、シリウス様は一言二言、言葉を交わすと、すぐに背を向けて眠ってしまわれる。
リーディアは、そんなシリウス様の背中を見て、涙がでないように、こらえていた。
そんな日が数日続き、リーディアの食欲は落ちていた。シリウスは朝も早くに、仕事に行ってしまわれるため気づく事はない。
リーディアは孤独に感じる。何もかも・・・シリウス様が自分に幻滅されてしまったのだと感じていた。
大好きだったミルクティーを飲んでも、おいしいと感じない・・・それどころか、気持ち悪くなってしまい、最近ではさっぱりしたレモンティーを飲むようになった。
好きなものは変わってしまう。このことにリーディアはさらに気分が沈むようだった。
シリウス様がいても、いなくても、触れ合えなければ同じ寂しさが、リーディアを襲った。
昼を過ぎた頃、屋敷に誰か来たようで馬車がとまっている。馬車からは、シリウス様が誰かの手を引いて降りてきた。顔は帽子で見えないが、シリウスの表情は見えた。
笑顔だ・・・。最近は見る事がなかった笑顔を、違う女性に向けている。リーディアは座り込んでしまう。
自分は、シリウス様にやはり、みかぎられたのだと視界が暗くなった。
「ディア!ディアッ!」
誰かが呼ぶ声がした・・・。
「あまり揺すったらダメよ!呼びかけるだけにして」
レティシアの声もする。
リーディアは、くらくらとする視界の中にレティシアとシリウスを映した。
「よかった、目を覚まして」
レティシアがリーディアの手を握る。
「どうして、シアがここに・・・?」
さきほどの女性はレティシアだったのかと、リーディアは安堵する。
「あなたが元気がないってきいたからよ・・・お兄様からね」
リーディアは、シリウス様が気にかけてくれた事を嬉しく思うが、何故自分に直接聞かないのだろうと思う。
「ディアッ、大丈夫か?具合はどうだ?」
リーディアは久しぶりに、答えを求めらる質問をされたなと思った。
だが、シリウスの顔を見てリーディアは、泣きそうになり顔を背けた。
その様子に、シリウスはショックを受けたようだ。レティシアがシリウス様を部屋から一旦でるように、リーディアから遠ざけ、退室させた。
「ディア・・・?どうしたの?お兄様ならもういないから、話してみない?」
レティシアはリーディアに寄り添ってくれる。
リーディアはレティシアの優しさに、こらえていた涙がこぼれてしまった。
レティシアは急に泣き出したリーディアを出し決めてくれる。
「お兄様が何かしたの?・・・元気がないのは何かあったからなの?」
レティシアは優しく聞いてくれる。
「わからないのッ・・・、シリウス様にッ避けられててッ、なんでッ、避けられるのかも・・・私がやり過ぎて嫌われたのかと思ってッ、聞けなくて・・・どうしたらいいかッ考えても、シリウス様が素っ気ないから、やっぱり嫌われたとしか思えなくてッ・・・」
リーディアは、たどたどしく、まとまらない言葉をレティシアに伝える。
「んー、お兄様が素っ気ない。やりすぎたからディアを嫌う・・・ね。それはやっぱり、お兄様に直接聞かないと答えがでないようね」
レティシアが呟くと、シリウスが部屋へ入ってくる。どうやら盗み聞きをしていたようだ。
シリウスは、リーディアの側に行き膝をつき、手を握る。
「ディアッ・・・誤解だ。・・・素っ気なく感じさせてしまったのは謝る。だか、嫌ったからじゃない・・・ディアを見るとどうしても、押さられない衝動にかられてしまって・・・。また、手を出すと止まらないだろうから、我慢するために一緒にいる時間を減らしたんだ・・・。そのせいで不安にさせたんだな・・・。正直に話せばよかった。すまない」
リーディアは、シリウスが何を我慢していたのかわからなかった・・・、レティシアは何かを察して、部屋から退室して行く。
シリウスはレティシアが部屋をでたのを確認して話しだす。
「つまり・・・ディアを抱きたいのを我慢していた。魔力は使えるようになったが・・・まだ万全ではない。この前のように、ディアにも影響はでる。だか、ディアが側にいれば襲いそうになるからだな・・・距離をおいていたんだ」
「私はッ、シリウス様になら襲われたっていいんです!素っ気なくされた方が嫌ですッ。ちゃんと理由を話してくれないとッ、私はすぐ不安になりますッ。」
リーディアは我慢していた分シリウスに、自分の思っていることを伝える。
シリウスはリーディアを抱き寄せ、キスをしてくれた。
「すまなかった。次は間違わないように約束する。いえなかったのは、もう一つ理由がある。あんな風になって、私も恥ずかしかったんだ・・・」
リーディアは、シリウス様の言葉でやっと安心できた。
「だか、倒れたのは医師を呼んだから、みてもらうんだ。私が不安にさせたからなんだろうが・・・食事をあまりたべていないようじゃないか」
リーディアは頷き、医師の診察を受けるのだった。
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