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60.嫉妬
しおりを挟む「シリウス様、優勝おめでとうございます」
リーディアは、シリウスに近づき、祝いの言葉をのべる。レティシアもリーディアの後に続く。
「おめでとうございます。さすが私のお兄様ですわ」
リーディア達が近づき、子爵令嬢の視線がこちらに向く。
レティシアを見た後シリウス様へ話しかけた。
「まあ、シリウス様の妹様ですか。シリウス様、私に紹介して下さいませ」
シリウス様は遂に無言になられた。
「シリウス様、どうかされましたか?では、私から挨拶させてもらいますね」
子爵令嬢のありえない発言に、リーディアもレティシアも不快な表情をする。
「結構ですわ」
レティシアがピシャリと、これ以上発言させないように言い切った。
「あなたの礼儀がなっていない挨拶は不要よ。自分の身分をご理解しているの?普通は上位貴族が話しかけるまで発言はしませんわ。ましてや、自分から名乗ろうだなんて、お兄様にも気安く触らないで頂きたいわ。最初がどうであれ、こんな人目がある所でその様な振る舞い、マナーをやり直した方がよろしいわ。それともマナーレッスンを受けたことがないとはおっしゃらないわよね」
レティシアは大層怒っているようだ。リーディアとて同じ気持ちではあるが、先ずはレティシアに先行を譲った。
「あなたこそ、失礼じゃないですか、シリウス様の妹だからって言っていい事と、悪い事がありますよ。私達が話していたのに、間に入ってきたのはそちらでしょ」
子爵令嬢は、レティシアにあろうことかいい返す。
リーディアは、レティシアより一歩前へでる。
「シリウス様も、距離を保ってくれと、おっしゃられていましたが、理解できないようですね。迷惑だと言っていらっしゃるんです」
「そんな事はありません。照れていらっしゃるだけです」
「どこをどう見て、シリウス様が照れていらっしゃると思われるのか理解できません。照れたシリウス様は、困った表情などしません。もっと、可愛らしいですわ」
リーディアは、笑みをうべか、シリウス様へ視線を向ける。
「ディア嬢・・・」
シリウス様は、リーディアを情けないよな、照れた表情で見てくる。
「あなたは、シリウス様とはどうゆうご関係なんですか」
子爵令嬢は引き下がらず、シリウス様に触れている手がリーディアをさらに不快にさせる。
「シリウス様に触らないで。・・・どういう関係かは彼が答えてくれるわ」
リーディアはシリウス様へ視線を戻す。シリウス様が招いた誤解だ、自分で解いてもらわなければ。
シリウスはリーディアに、熱い視線を送りながら言葉を紡ぐ。
「彼女は・・・私の、妹の親友で。私の、気に食わない、ライバルの妹で・・・。私の、思い人・・・、これから、大切に、していきたいと思う、私が唯一、妻に望む女性だ」
一言一言、リーディアに求婚するように、言葉にした。
子爵令嬢は、シリウスとリーディアが見つめ合う中、さすがに理解したのか、失礼しますわと、去っていった。
レティシアは、まだ食いついてくるようだったら、強制的に排除も考えていたが、兄達の雰囲気に逃げ出してくれてよかったと思った。
シリウスは、リーディアの手を握り、まだ視線をそらすことなく見つめ合っている。レティシアは見ていて段々恥ずかしくなるくらい、雰囲気が甘くなりつつある。
だが背後から、レティシアのよくしる視線を感じるのだった。
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