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30.交換
しおりを挟むシルヴィア様は引きずるように、くっついているレティシアとリーディアを引っ張っていく。
シルヴィア様は強引な方のようだ。危機感を感じるが、シリウスと似た見た目をしているシルヴィア様を拒むような行為はできなかった。
もしかしたら、義理の母になる可能性があった方だ、邪険にはできない。
対して、レティシアはかなり必死だ。とうとう、叫び出してしまった。
「お兄様ー!!助けて!!攫われるー!!」
攫われそうになっているのは、リーディアだが、レティシアが叫んだ事で、魔法陣が現れ光る。
「シア!大丈夫か!」
やはり、魔法陣からはシリウスが現れた。
シリウスは現状を見て、一瞬で把握した。
「母上、何をなさっているのですか・・・。シアから緊急の知らせが来たかと思えば、誘拐犯のような行動をしていますよ」
「あら、シリウス。相変わらず妹に甘いこと。なのに母に対しては辛口ではなくて?」
シルヴィア様は眉を顰めて、皮肉を言われている。
「自分そっくりな人には甘くなどなりませんし、令嬢を攫いそうな者が自分の母となれば、辛口にもなりますよ。いい加減手を離してあげて下さい。赤くなってしまいますよ」
シリウスはリーディアに手をさしだした。
シルヴィア様は今度は悪い顔をしている。
「おやおや、王子様気取りかい?お前こそ、私の獲物を横から掻っ攫おうとしている、極悪人だろう。私を止められると思っているのか?こんないい素材を見つけてしまったんだ。隅々まで調べなくては気がすまないわ」
シルヴィア様はリーディアの手を離してはくれたが、レティシアをはがして、腰を引き寄せ、身体をベタベタ触ってくる。
「この子は素晴らしい逸材よ。プロポーションをごらん!私にはない胸・・・羨ましい!シアとはまた違う可愛らしさッ!うちの子におなりなさい!もうすぐシアは嫁いでいなくなってしまうから」
「ならば、嫁になどやらなければ、いいのです。私は反対なんですから、白紙に戻して婿養子にきてくれる優しい相手を探したらいい」
シリウスは母も反対派になってくれないかと期待しているようだ。
「反対したら、シアは出て行く勢いだぞ。それにもともと、着飾るより、着飾らせたい側だからな、どっちみち私の相手はしてくれない。ならば!お前の嫁を着飾ればいい!お前の嫁は絶対に私が認めた者でないと駄目だからな!そして、孫は女の子を頼む。」
「私は結婚する気はないですよ」
「お前もいい歳だ。そろそろ相手を見つけろ。それこそこの娘はどうだ・・・。シアを嫁にやるのだから、交換したら良いではないか!私はなんていい事を思いついたんだ!」
シルヴィア様は大変興奮されている。
「ほら、どうだお前も悪い話では無いだろう。こんなに魅力的なんだぞ。」
後からリディアの胸を持ち上げて谷間を強調される。
「ほら見ろ!この娘はお前の嫁だ!嫁にすればこの身体もお前のものだぞ!そして私の」
だが、シルヴィア様が全ていい終わる前に、シリウスはリーディアを引き寄せ、転移魔法を展開した。
「あっこら、まちなさい!逃げるな」
シリウスはレティシアに目で合図し、姿を消した。レティシアには、兄のいいたいことはなんとなく察しがつき頷いた。
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