1 / 1
プロローグ
しおりを挟む
「ハァ、ハァ、、」
腕には多数の切り傷や裂傷、肩は銃で撃たれもう動かない。血を流しすぎたのか、視界がふらつき足に力が入らない。
「だめだ!立て!」
自らに叫び意識を鮮明にしようとする。が、全身から力が抜け糸が切れたように倒れ込む。
「仲間も、信じていたものも!愛していた人も!なにもかも!全てを失った!」
この戦争で多くの仲間を失った。そして自分が信じ戦っていたことが意味のないものだと分かった。そして、愛した人を失った。
「全て、あの王のせいだ、!」
脳裏によぎる卑劣でひきょうな笑み。心の中で黒くドロっとした物が広がったような気がした。
「……しゅうだ」
決意が固まると憎しみや憎悪が止めどなく溢れてくる。
「復讐だ」
俺から全てを奪ったあの奥に復讐をする。そう言葉にして決意したがそんな心とは裏腹に意識は薄れていく。
「あぁ、、また僕は何もできずに終わるのか」
そうして少年の意識は途絶えた。
彼女はいつも小麦畑にいた。その畑は大きく育った小麦でいっぱいで夕日の光を受けて黄金色に輝いている。その中に明るい金髪、それこそ小麦のような色をした髪をしている少女を見つけた。
「レーヌ!」
僕が名前を呼ぶとレーヌはゆっくりふりむいてニコッと笑った。
「今日も来たのね、そんなにこの小麦畑が好きなの?」
そう言って不思議そうな顔をして首をかじしげるのはレーヌ・アスター。この畑の所有者の娘でありこの町に住む下級貴族の一人娘だ。
レーヌの家族は貴族だからと偉ぶらず皆に平等に接しているため町の皆からも人気だ。
「うん、この畑も好きだよ。」
「畑も?他にも何かあるの?」
「まぁね、またいつか言うよ」
「気になる、、絶対だよ!」
そう言ってむー!と今にも爆発しそうなふくれっ面をしながら小指を差し出してきた。
「約束しよ、?」
こういう姿を見るとやはり思う。僕はレーヌが好きだ。小さい頃からずっと一緒にいてこの気持ちに気付いたのは最近のことだ。
子どものような無邪気な笑顔、誰にでも手を差し伸べられる優しさ、かわいらしい顔立ち、全部が好きだ。
だから実は小麦畑を見に来ているわけではなくレーヌと会うために来ているのだ。
それから僕とレーヌは他愛もない会話をした。家で育てている花がきれいに咲いたとか、川で釣りをしたら大きな魚がつれたとか、こんな話でもレーヌとするととても楽しい。
話し込んでいると辺りが暗くなっており、帰る時間になっていた。
「もうそろそろ、帰る時間だね。」
「そうだね、家まで送るよ。」
「あら、私よりも年下なのにかっこいいこと言うのね」
「うるさい、行くぞ」
「拗ねないでよ~!待って~!」
情けない声を上げながら後を追ってくるレーヌを見て果たしてほんとに年上なのか、と疑問に思う。
レーヌは僕より2つ年上だ。だが年上の余裕?というものをレーヌから感じたことがなく僕にとっては放っておけない姉のような感じだ。
薄暗い田舎道を歩いてレーヌの家についたがレーヌは立ち止まったままで反応がない。
「どうしたんだ?」
そう聞いても反応がないので体を揺すってみるとやっと返事が帰ってきた。
「あぁごめんね!ぼーっとしてたよ~!」
レーヌは何かを取り繕うように慌てて返事をする。
少し疑問を抱きつつもこの人のことだからほんとにぼーっとしていたのだろうと結論づけてしまった。
それが全ての間違いだった。
「じゃあバイバイ!またねファンテ!」
「うん、また明日」
この時にレーヌの異変に気づいていれば。あんなことにはならなかったのだろうか。
腕には多数の切り傷や裂傷、肩は銃で撃たれもう動かない。血を流しすぎたのか、視界がふらつき足に力が入らない。
「だめだ!立て!」
自らに叫び意識を鮮明にしようとする。が、全身から力が抜け糸が切れたように倒れ込む。
「仲間も、信じていたものも!愛していた人も!なにもかも!全てを失った!」
この戦争で多くの仲間を失った。そして自分が信じ戦っていたことが意味のないものだと分かった。そして、愛した人を失った。
「全て、あの王のせいだ、!」
脳裏によぎる卑劣でひきょうな笑み。心の中で黒くドロっとした物が広がったような気がした。
「……しゅうだ」
決意が固まると憎しみや憎悪が止めどなく溢れてくる。
「復讐だ」
俺から全てを奪ったあの奥に復讐をする。そう言葉にして決意したがそんな心とは裏腹に意識は薄れていく。
「あぁ、、また僕は何もできずに終わるのか」
そうして少年の意識は途絶えた。
彼女はいつも小麦畑にいた。その畑は大きく育った小麦でいっぱいで夕日の光を受けて黄金色に輝いている。その中に明るい金髪、それこそ小麦のような色をした髪をしている少女を見つけた。
「レーヌ!」
僕が名前を呼ぶとレーヌはゆっくりふりむいてニコッと笑った。
「今日も来たのね、そんなにこの小麦畑が好きなの?」
そう言って不思議そうな顔をして首をかじしげるのはレーヌ・アスター。この畑の所有者の娘でありこの町に住む下級貴族の一人娘だ。
レーヌの家族は貴族だからと偉ぶらず皆に平等に接しているため町の皆からも人気だ。
「うん、この畑も好きだよ。」
「畑も?他にも何かあるの?」
「まぁね、またいつか言うよ」
「気になる、、絶対だよ!」
そう言ってむー!と今にも爆発しそうなふくれっ面をしながら小指を差し出してきた。
「約束しよ、?」
こういう姿を見るとやはり思う。僕はレーヌが好きだ。小さい頃からずっと一緒にいてこの気持ちに気付いたのは最近のことだ。
子どものような無邪気な笑顔、誰にでも手を差し伸べられる優しさ、かわいらしい顔立ち、全部が好きだ。
だから実は小麦畑を見に来ているわけではなくレーヌと会うために来ているのだ。
それから僕とレーヌは他愛もない会話をした。家で育てている花がきれいに咲いたとか、川で釣りをしたら大きな魚がつれたとか、こんな話でもレーヌとするととても楽しい。
話し込んでいると辺りが暗くなっており、帰る時間になっていた。
「もうそろそろ、帰る時間だね。」
「そうだね、家まで送るよ。」
「あら、私よりも年下なのにかっこいいこと言うのね」
「うるさい、行くぞ」
「拗ねないでよ~!待って~!」
情けない声を上げながら後を追ってくるレーヌを見て果たしてほんとに年上なのか、と疑問に思う。
レーヌは僕より2つ年上だ。だが年上の余裕?というものをレーヌから感じたことがなく僕にとっては放っておけない姉のような感じだ。
薄暗い田舎道を歩いてレーヌの家についたがレーヌは立ち止まったままで反応がない。
「どうしたんだ?」
そう聞いても反応がないので体を揺すってみるとやっと返事が帰ってきた。
「あぁごめんね!ぼーっとしてたよ~!」
レーヌは何かを取り繕うように慌てて返事をする。
少し疑問を抱きつつもこの人のことだからほんとにぼーっとしていたのだろうと結論づけてしまった。
それが全ての間違いだった。
「じゃあバイバイ!またねファンテ!」
「うん、また明日」
この時にレーヌの異変に気づいていれば。あんなことにはならなかったのだろうか。
0
お気に入りに追加
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
スキル【疲れ知らず】を会得した俺は、人々を救う。
あおいろ
ファンタジー
主人公ーヒルフェは、唯一の家族である祖母を失くした。
彼女の葬式の真っ只中で、蒸発した両親の借金を取り立てに来た男に連れ去られてしまい、齢五歳で奴隷と成り果てる。
それから彼は、十年も劣悪な環境で働かされた。
だが、ある日に突然、そんな地獄から解放され、一度も会った事もなかった祖父のもとに引き取られていく。
その身には、奇妙なスキル【疲れ知らず】を宿して。
動物に好かれまくる体質の少年、ダンジョンを探索する 配信中にレッドドラゴンを手懐けたら大バズりしました!
海夏世もみじ
ファンタジー
旧題:動物に好かれまくる体質の少年、ダンジョン配信中にレッドドラゴン手懐けたら大バズりしました
動物に好かれまくる体質を持つ主人公、藍堂咲太《あいどう・さくた》は、友人にダンジョンカメラというものをもらった。
そのカメラで暇つぶしにダンジョン配信をしようということでダンジョンに向かったのだが、イレギュラーのレッドドラゴンが現れてしまう。
しかし主人公に攻撃は一切せず、喉を鳴らして好意的な様子。その様子が全て配信されており、拡散され、大バズりしてしまった!
戦闘力ミジンコ主人公が魔物や幻獣を手懐けながらダンジョンを進む配信のスタート!
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる