160 / 437
第160話 異世界人の視察(2)
しおりを挟む
ルイーズさんと、エメラスさんの会話を聞いていたアロイスさんが話に加わっているが、避けられるとか避けられないという話をしていて、銃弾って避ける物じゃないからと突っ込みを入れたくなったが――、「五郎、次だ」と、言う田口村長からの電話で俺はすぐに次の発砲が開始される事を伝える。
次は、猟師100人によるハンティングライフルの一斉射撃。
一瞬で、辺境伯に用意してもらった全ての盾が粉々に粉砕され――、盾としての用途を示さない。
「なんという……。これを……、これだけの武器を持つ兵士をゴロウは抱えているというのか」
「些細な物です。以前に御見せしたものと比べれば――」
「そうであるな……。だが――、これだけの兵力を一領主が持っているとすれば……」
一応、たいした武力ではありませんよ? と、いうフォローをしておく。
あまり脅威を持たれても困るからな。
「――こ、これが大した物では……な……い?」
震えた声で、すでにアルコール酔いは何処かに吹き飛んでしまったのかノーマン辺境伯ではなく俺に詰め寄ってくるリコード卿。
「はい。ごく、ありふれた物です。アレを見てください」
俺はショットガンを構える猟師を指差す。
全員の視線が、猟師に向かったところで銃声と共に一撃で鎧を蜂の巣にする。
「――な!」
その様子に、絶句しつつたたらを踏むエメラスさん。
「どうかしたのですか?」
「はい。いま一度の雷鳴を思わせる音の後に、無数の金属の塊のような物が兵士の持つ杖のような物から放たれました。アレでは、回避すら――」
「そんなに?」
「あれを――、いえ――、ここにいる兵士だけでも我が国は落とされます……」
「――ッ! 滅多な事を言うべきではないぞ!」
「――ですが!」
リコード卿が怒りを露わにしてエメラスさんに近寄るが――、
「やめないか! それより……、ゴロウ殿」
「何でしょうか? ヴェルナー卿」
「あの銃は、融通して頂くことは……」
「できません」
「そうか……。それでは最後に質問だが……」
「何でしょうか?」
「先ほど、ゴロウ殿は辺境伯殿に些細な物だと言っておったが、それでは些細ではない武器とはどのような物なのだ?」
「そうですね……」
俺が知っている最大の武器と言えば一つしかない。
「核爆弾でしょうか?」
「かく……ばくだん? どういう魔法なのだ?」
「――いえ。魔法ではありません。戦術核兵器の一つで、一発で100万人規模の死傷者を出すことができる武器です」
「……ひ、ひゃく……ひゃくまん? それだけの人を殺す? つまり……、それだけの人数が居るということか? ……す、すまないが、ゴロウ殿の領地は人口数百人と聞いていたのだが……」
「ああ、それはその通りですが、兵士は別なので」
「それでは、ゴロウ殿が所属している国は一体……」
「自分が所属しているのは日本国で人口は1億2千万人、自衛隊つまり兵士の数は22万人います」
俺の説明にヴェルナー卿は、表情を青くすると、そのまま後ろ向きに倒れてしまった。
リコード卿の「ヴェルナー卿!」と、言う声も、異世界の鎧や盾を破壊するというイベントに熱狂した見学者たちの声に掻き消されてしまっていたのは、不幸中の幸いなのかも知れない。
予定していた異世界人向けの予定が全て終わったあとは、母屋へと移動する。
倒れたヴェルナー卿に関してはアロイスさんが担いで下まで運んでくれたので本当に助かった。
俺では、ヴェルナー卿を背負って梯子を下りるのは無理だっただろうから。
現在、ノーマン辺境伯をはじめとして、男性陣は居間で――、女性陣は来客室で寛いでいる。
ちなみに、もうすぐ御昼と言う事もあり本来なら和美ちゃんの母親である恵美さんは休憩時間に母屋を使って休んでもらう事になっていたが、本日は異世界の人が来ている関係上、猟友会の方々が設置した天幕で休んでもらっていた。
「ううっ……」
「ヴェルナー卿!」
「ここは……」
「ゴロウ殿の――」
「ああ、そうか……」
室内を見渡すヴェルナー卿と目が合う。
「あれは……、本当のことだったのか……」
「本当のこと?」
「ゴロウ殿、兵士が22万人いると聞いたが、それは真か?」
「はい。有事の際に、すぐに動ける職業軍人が22万人おります」
「職業軍人というのは?」
「エルム王国風に言えば、騎士団と考えて頂ければよろしいかと――」
「つまり、戦争や治安維持に特化した部隊ということか」
「そうお考えいただければ――」
「なるほど……」
ヴェルナー卿は、何やら考え事をしているようだが、ふと何かに気が付いたのか――、
「ところでゴロウ殿」
「何でしょうか?」
「たとえば――、たとえばでいいのだが……」
「例えばですか?」
「うむ。ゴロウ殿が、すぐに動かせる軍隊というのは、どのくらいの数がいるか教えてもらえるか?」
すぐに動かせる数か……。
そんなのはゼロだが! 正直に、それを伝えたら藤和さんに怒られそうだ。
とりあえず、猟友会の会員数を提示しておけばいいか。
「そうですね。すぐに動かせる軍の数は少ないですが、一般人……平民を徴用するのでしたら13万5千人程度は用意できるかと――」
日本全体の猟友会会員の数。
完全なるハッタリも良い所だが――、
「ば、馬鹿な! 日本国全体で22万にでは!?」
「それは、専門の軍人なので。あと、先ほど説明し忘れていましたが治安を維持しているのは警察と呼ばれる組織です」
「警察組織というのは、町の治安を守る兵士みたいなものかの?」
「その通りです」
リコード卿と、俺が話している間に割って入ってきたノーマン辺境伯が問いかけてきたので助け船と思い肯定する。
「ちなみに警察組織というのは、どのくらいの規模が存在するのかの?」
「大体30万人程度と見てもらえれば――」
たしか、以前に調べた時にそのくらいだったはず。
「…………さ、さんじゅう……まん……」
リコード卿絶句。
そしてノーマン辺境伯も大きく溜息をついている。
「――と、いうことはだ。少なくとも60万人以上の兵士が居ると言う事になるのか……」
「戦える者と考えるのでしたら、潜在的に戦うことができるのは数百万人近いと思います」
完全なブラフだが、まぁ戦える者という括りで考えるのなら、空手や剣道などの武術も戦う事ができる。
それらを加味するなら嘘ではない。
「ヴェルナー卿、リコード卿。異世界の戦力は理解しましたか?」
「ああ……人数はな」
「人数は?」
「そうだ。ゴロウ殿、あの杖のような武器は全員に渡されている訳ではないのだろう?」
「そうですが、本日参加したのは普段は別の仕事をしている者達ですので」
「つまり、平民があれだけの武器を所持していると……そういうことか?」
「そうなります」
「なん……だと……」
どこに驚く要素があるのか俺には甚だ疑問に思ってしまう。
「ヴェルナー卿、私は異世界の常識というのが分からなくなりました」
「私もだ。リコード卿」
「これは、例の演習に連れていったら失神しそうだのう」
「例の?」
「そうだ。国の正規兵による演習もあるのだ。それは、今日、ゴロウが集めた私兵の演習など児戯に思えるほどの物であった。まさしく天変地異と言わんばかりの迫力があった」
「……い、いまよりも?」
「そうである。ヴェルナー卿」
「ゴロウ殿! 出来れば国の正規兵の演習を見せて貰いたいのだが!」
「それは無理です。時期が外れていますので」
「そうか……」
何とも言えない表情のヴェルナー卿。
「五郎さん、用意が終わりました」
何とも気まずい雰囲気が室内に立ち込めたところで、部屋には異世界風の町娘らしい服装に着替えたルイーズさんとエメラスさんが入ってきた。
次は、猟師100人によるハンティングライフルの一斉射撃。
一瞬で、辺境伯に用意してもらった全ての盾が粉々に粉砕され――、盾としての用途を示さない。
「なんという……。これを……、これだけの武器を持つ兵士をゴロウは抱えているというのか」
「些細な物です。以前に御見せしたものと比べれば――」
「そうであるな……。だが――、これだけの兵力を一領主が持っているとすれば……」
一応、たいした武力ではありませんよ? と、いうフォローをしておく。
あまり脅威を持たれても困るからな。
「――こ、これが大した物では……な……い?」
震えた声で、すでにアルコール酔いは何処かに吹き飛んでしまったのかノーマン辺境伯ではなく俺に詰め寄ってくるリコード卿。
「はい。ごく、ありふれた物です。アレを見てください」
俺はショットガンを構える猟師を指差す。
全員の視線が、猟師に向かったところで銃声と共に一撃で鎧を蜂の巣にする。
「――な!」
その様子に、絶句しつつたたらを踏むエメラスさん。
「どうかしたのですか?」
「はい。いま一度の雷鳴を思わせる音の後に、無数の金属の塊のような物が兵士の持つ杖のような物から放たれました。アレでは、回避すら――」
「そんなに?」
「あれを――、いえ――、ここにいる兵士だけでも我が国は落とされます……」
「――ッ! 滅多な事を言うべきではないぞ!」
「――ですが!」
リコード卿が怒りを露わにしてエメラスさんに近寄るが――、
「やめないか! それより……、ゴロウ殿」
「何でしょうか? ヴェルナー卿」
「あの銃は、融通して頂くことは……」
「できません」
「そうか……。それでは最後に質問だが……」
「何でしょうか?」
「先ほど、ゴロウ殿は辺境伯殿に些細な物だと言っておったが、それでは些細ではない武器とはどのような物なのだ?」
「そうですね……」
俺が知っている最大の武器と言えば一つしかない。
「核爆弾でしょうか?」
「かく……ばくだん? どういう魔法なのだ?」
「――いえ。魔法ではありません。戦術核兵器の一つで、一発で100万人規模の死傷者を出すことができる武器です」
「……ひ、ひゃく……ひゃくまん? それだけの人を殺す? つまり……、それだけの人数が居るということか? ……す、すまないが、ゴロウ殿の領地は人口数百人と聞いていたのだが……」
「ああ、それはその通りですが、兵士は別なので」
「それでは、ゴロウ殿が所属している国は一体……」
「自分が所属しているのは日本国で人口は1億2千万人、自衛隊つまり兵士の数は22万人います」
俺の説明にヴェルナー卿は、表情を青くすると、そのまま後ろ向きに倒れてしまった。
リコード卿の「ヴェルナー卿!」と、言う声も、異世界の鎧や盾を破壊するというイベントに熱狂した見学者たちの声に掻き消されてしまっていたのは、不幸中の幸いなのかも知れない。
予定していた異世界人向けの予定が全て終わったあとは、母屋へと移動する。
倒れたヴェルナー卿に関してはアロイスさんが担いで下まで運んでくれたので本当に助かった。
俺では、ヴェルナー卿を背負って梯子を下りるのは無理だっただろうから。
現在、ノーマン辺境伯をはじめとして、男性陣は居間で――、女性陣は来客室で寛いでいる。
ちなみに、もうすぐ御昼と言う事もあり本来なら和美ちゃんの母親である恵美さんは休憩時間に母屋を使って休んでもらう事になっていたが、本日は異世界の人が来ている関係上、猟友会の方々が設置した天幕で休んでもらっていた。
「ううっ……」
「ヴェルナー卿!」
「ここは……」
「ゴロウ殿の――」
「ああ、そうか……」
室内を見渡すヴェルナー卿と目が合う。
「あれは……、本当のことだったのか……」
「本当のこと?」
「ゴロウ殿、兵士が22万人いると聞いたが、それは真か?」
「はい。有事の際に、すぐに動ける職業軍人が22万人おります」
「職業軍人というのは?」
「エルム王国風に言えば、騎士団と考えて頂ければよろしいかと――」
「つまり、戦争や治安維持に特化した部隊ということか」
「そうお考えいただければ――」
「なるほど……」
ヴェルナー卿は、何やら考え事をしているようだが、ふと何かに気が付いたのか――、
「ところでゴロウ殿」
「何でしょうか?」
「たとえば――、たとえばでいいのだが……」
「例えばですか?」
「うむ。ゴロウ殿が、すぐに動かせる軍隊というのは、どのくらいの数がいるか教えてもらえるか?」
すぐに動かせる数か……。
そんなのはゼロだが! 正直に、それを伝えたら藤和さんに怒られそうだ。
とりあえず、猟友会の会員数を提示しておけばいいか。
「そうですね。すぐに動かせる軍の数は少ないですが、一般人……平民を徴用するのでしたら13万5千人程度は用意できるかと――」
日本全体の猟友会会員の数。
完全なるハッタリも良い所だが――、
「ば、馬鹿な! 日本国全体で22万にでは!?」
「それは、専門の軍人なので。あと、先ほど説明し忘れていましたが治安を維持しているのは警察と呼ばれる組織です」
「警察組織というのは、町の治安を守る兵士みたいなものかの?」
「その通りです」
リコード卿と、俺が話している間に割って入ってきたノーマン辺境伯が問いかけてきたので助け船と思い肯定する。
「ちなみに警察組織というのは、どのくらいの規模が存在するのかの?」
「大体30万人程度と見てもらえれば――」
たしか、以前に調べた時にそのくらいだったはず。
「…………さ、さんじゅう……まん……」
リコード卿絶句。
そしてノーマン辺境伯も大きく溜息をついている。
「――と、いうことはだ。少なくとも60万人以上の兵士が居ると言う事になるのか……」
「戦える者と考えるのでしたら、潜在的に戦うことができるのは数百万人近いと思います」
完全なブラフだが、まぁ戦える者という括りで考えるのなら、空手や剣道などの武術も戦う事ができる。
それらを加味するなら嘘ではない。
「ヴェルナー卿、リコード卿。異世界の戦力は理解しましたか?」
「ああ……人数はな」
「人数は?」
「そうだ。ゴロウ殿、あの杖のような武器は全員に渡されている訳ではないのだろう?」
「そうですが、本日参加したのは普段は別の仕事をしている者達ですので」
「つまり、平民があれだけの武器を所持していると……そういうことか?」
「そうなります」
「なん……だと……」
どこに驚く要素があるのか俺には甚だ疑問に思ってしまう。
「ヴェルナー卿、私は異世界の常識というのが分からなくなりました」
「私もだ。リコード卿」
「これは、例の演習に連れていったら失神しそうだのう」
「例の?」
「そうだ。国の正規兵による演習もあるのだ。それは、今日、ゴロウが集めた私兵の演習など児戯に思えるほどの物であった。まさしく天変地異と言わんばかりの迫力があった」
「……い、いまよりも?」
「そうである。ヴェルナー卿」
「ゴロウ殿! 出来れば国の正規兵の演習を見せて貰いたいのだが!」
「それは無理です。時期が外れていますので」
「そうか……」
何とも言えない表情のヴェルナー卿。
「五郎さん、用意が終わりました」
何とも気まずい雰囲気が室内に立ち込めたところで、部屋には異世界風の町娘らしい服装に着替えたルイーズさんとエメラスさんが入ってきた。
351
お気に入りに追加
1,959
あなたにおすすめの小説
余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめることにしました
結城芙由奈
恋愛
【余命半年―未練を残さず生きようと決めた。】
私には血の繋がらない父と母に妹、そして婚約者がいる。しかしあの人達は私の存在を無視し、空気の様に扱う。唯一の希望であるはずの婚約者も愛らしい妹と恋愛関係にあった。皆に気に入られる為に努力し続けたが、誰も私を気に掛けてはくれない。そんな時、突然下された余命宣告。全てを諦めた私は穏やかな死を迎える為に、家族と婚約者に執着するのをやめる事にした―。
2021年9月26日:小説部門、HOTランキング部門1位になりました。ありがとうございます
*「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
※2023年8月 書籍化
おっさんの異世界建国記
なつめ猫
ファンタジー
中年冒険者エイジは、10年間異世界で暮らしていたが、仲間に裏切られ怪我をしてしまい膝の故障により、パーティを追放されてしまう。さらに冒険者ギルドから任された辺境開拓も依頼内容とは違っていたのであった。現地で、何気なく保護した獣人の美少女と幼女から頼られたエイジは、村を作り発展させていく。
悪役令嬢が死んだ後
ぐう
恋愛
王立学園で殺人事件が起きた。
被害者は公爵令嬢 加害者は男爵令嬢
男爵令嬢は王立学園で多くの高位貴族令息を侍らせていたと言う。
公爵令嬢は婚約者の第二王子に常に邪険にされていた。
殺害理由はなんなのか?
視察に訪れていた第一王子の目の前で事件は起きた。第一王子が事件を調査する目的は?
*一話に流血・残虐な表現が有ります。話はわかる様になっていますのでお嫌いな方は二話からお読み下さい。
転生社畜、転生先でも社畜ジョブ「書記」でブラック労働し、20年。前人未到のジョブレベルカンストからの大覚醒成り上がり!
nineyu
ファンタジー
男は絶望していた。
使い潰され、いびられ、社畜生活に疲れ、気がつけば死に場所を求めて樹海を歩いていた。
しかし、樹海の先は異世界で、転生の影響か体も若返っていた!
リスタートと思い、自由に暮らしたいと思うも、手に入れていたスキルは前世の影響らしく、気がつけば変わらない社畜生活に、、
そんな不幸な男の転機はそこから20年。
累計四十年の社畜ジョブが、遂に覚醒する!!
【完結済】サバイバル奮闘記 転生悪役令嬢の逆転劇
忠野雪仁
恋愛
「ルシエル・ヴァレンシア。聖女リリーナへの数々の嫌がらせ、
及び聖女殺人未遂によりお前を離島への島流しとする。」
私の婚約者でもありこの国の王太子でもある
ハーレック王太子殿下は私にそう告げます。
「承知しました。」
私が素直に罰を受け入れるとそれが予想外だったのか
王太子は私に問いかけた。
「では、罪を全て認めるのだな」
「いいえ、私はその様な事は一切しておりません。
しかしながら、私が何を言ってもお聞き入れして頂けない事も理解してます」
「本当に最後まで太々しい性格は治らぬのだな。
聖女リリーナは、お前の処刑を望んだが
仮にも先日まで婚約者だったお前を処刑するのは気が咎める。
聖女リリーナに今後近づけない様に魔術契約を施しての島流しは
私のせめてもの慈悲である」
国王殿下がこの国を離れている最中に
仮にも侯爵令嬢の私の処刑は出来ない。
かと言って、国王陛下が戻られて正式に調査されるのもまずいのであろう。
罪人が処罰される様な離島の監獄、よしんば逃げらたとしても
聖女リリーナには近づけないので報復も出来ない
都合の良い落とし所
つい先日にルシエルに転生した元女子大生の私は諦めていた
王太子の腕に縋り付いている赤色の胸元がおおきく空いたドレスを着た聖女リリーナ
この世界は、この女のシンデレラストーリーの為の乙女ゲームであろう
少なくとも私はやった事も無く攻略ルートも知らないが
明らかにおかしいハーレムエンド
その私が幼い頃から慕っていた義兄も攻略対象
さぞかし気分が良いのだろう、聖女と言うには余りにも品性のない笑い顔で
ニヤニヤこちらを見て笑っている
本来であれば聖女リリーナのハーレムハッピーエンドで
この物語は終わりだったのであろうが
リリーナは、最後の最後で欲を出してしまった。
私を離島に流す船でハーレムメンバーとバカンスを楽しむ
その船は、台風により嵐で座礁した。
本来、ルシエルが島流しされる島とは別の小さな島へ
私も含めて全員流れ着いた。
ルシエルの逆転劇はここから始まるのだった。
目が覚めたら夫と子供がいました
青井陸
恋愛
とある公爵家の若い公爵夫人、シャルロットが毒の入ったのお茶を飲んで倒れた。
1週間寝たきりのシャルロットが目を覚ましたとき、幼い可愛い男の子がいた。
「…お母様?よかった…誰か!お母様が!!!!」
「…あなた誰?」
16歳で政略結婚によって公爵家に嫁いだ、元伯爵令嬢のシャルロット。
シャルロットは一目惚れであったが、夫のハロルドは結婚前からシャルロットには冷たい。
そんな関係の二人が、シャルロットが毒によって記憶をなくしたことにより少しずつ変わっていく。
なろう様でも同時掲載しています。
「婚約を破棄したい」と私に何度も言うのなら、皆にも知ってもらいましょう
天宮有
恋愛
「お前との婚約を破棄したい」それが伯爵令嬢ルナの婚約者モグルド王子の口癖だ。
侯爵令嬢ヒリスが好きなモグルドは、ルナを蔑み暴言を吐いていた。
その暴言によって、モグルドはルナとの婚約を破棄することとなる。
ヒリスを新しい婚約者にした後にモグルドはルナの力を知るも、全てが遅かった。
【本編完結】さようなら、そしてどうかお幸せに ~彼女の選んだ決断
Hinaki
ファンタジー
16歳の侯爵令嬢エルネスティーネには結婚目前に控えた婚約者がいる。
23歳の公爵家当主ジークヴァルト。
年上の婚約者には気付けば幼いエルネスティーネよりも年齢も近く、彼女よりも女性らしい色香を纏った女友達が常にジークヴァルトの傍にいた。
ただの女友達だと彼は言う。
だが偶然エルネスティーネは知ってしまった。
彼らが友人ではなく想い合う関係である事を……。
また政略目的で結ばれたエルネスティーネを疎ましく思っていると、ジークヴァルトは恋人へ告げていた。
エルネスティーネとジークヴァルトの婚姻は王命。
覆す事は出来ない。
溝が深まりつつも結婚二日前に侯爵邸へ呼び出されたエルネスティーネ。
そこで彼女は彼の私室……寝室より聞こえてくるのは悍ましい獣にも似た二人の声。
二人がいた場所は二日後には夫婦となるであろうエルネスティーネとジークヴァルトの為の寝室。
これ見よがしに少し開け放たれた扉より垣間見える寝台で絡み合う二人の姿と勝ち誇る彼女の艶笑。
エルネスティーネは限界だった。
一晩悩んだ結果彼女の選んだ道は翌日愛するジークヴァルトへ晴れやかな笑顔で挨拶すると共にバルコニーより身を投げる事。
初めて愛した男を憎らしく思う以上に彼を心から愛していた。
だから愛する男の前で死を選ぶ。
永遠に私を忘れないで、でも愛する貴方には幸せになって欲しい。
矛盾した想いを抱え彼女は今――――。
長い間スランプ状態でしたが自分の中の性と生、人間と神、ずっと前からもやもやしていたものが一応の答えを導き出し、この物語を始める事にしました。
センシティブな所へ触れるかもしれません。
これはあくまで私の考え、思想なのでそこの所はどうかご容赦して下さいませ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる