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第105話 エピローグ
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「護衛ですか……」
「何か不都合でもありましたら、受けて頂かなくても大丈夫ですよ。こちらとしては、エミさんほどの実力の冒険者の方を護衛に――と、思っただけですので」
「スパークさん。冒険者ギルドを通さない依頼は困ります」
「これはすまない。リアナさん」
「本当ですよ。ただ――」
チラリと意味ありげに私の方へと視線を向けてくるリアナさん。
「エミさん。少し町から離れるのもありかも知れませんよ?」
「――え?」
「大方の話は、冒険者ギルドにも入ってきていますので」
「そうですか」
そのリアナさんの一言で、私がセルトラ王国の王都の冒険者ギルドで冒険者登録をした理由を何となく彼女は察したと言う事が分かってしまう。
そして、彼女は、そのことを遠回しに――、スパークさんには分からないように伝えてくれた。
真意は不明ではあるけれど、事情は何となく察することはできる。
おそらく、キルワの冒険者ギルドは、セルトラ王国からアマーリエを探しに使節団が来ていることを既に掴んでいる。
――ううん。それだけじゃない。恐らく冒険者ギルドを経営している貴族経由で情報が流れてきる?
そう考える方が自然だと思う。
「そうですね」
「――では、スパークさん」
「それでは、護衛の依頼を受けて下さるということですか?」
「はい。そうなります」
「それは助かります」
「それと私のパーティメンバーも一緒で構いませんか?」
「パーティメンバー?」
「はい。ユーリエとアネットさんですが……」
「別に構いませんよ。10人ほどの冒険者を雇おうと思っていましたから」
「――では、スパークさんの依頼に関しては、エミさんのパーティが引き受けるということで。他のパーティメンバーは、冒険者ギルドの方で見繕っておきます」
「よろしく。リアナさん」
「はい」
私は、スパークさんから依頼を受けた足で宿屋に向かう。
すると丁度、二人とも帰宅したところで。
「――という訳なのですが……」
「なるほど……。別に構わないが、エミの方は店の開店準備で忙しいんじゃないのか? 職人との契約もあるんだろう?」
「それに関しては商業ギルドの方に、帰宅する前に寄って伝えておきました」
「そうなんか。ほな、うちとしては行ってもええで」
「本当ですか?」
「まぁ、エミが店を運営するようになると、冒険者稼業も縮小しないといけないからな」
「せやな」
「――で、いつから出立するんだ?」
「今日の夜には――とのことです」
「はやっ!」
「ちなみに場所は隣国の商業都市エンバスとのことです」
「遠いな……」
「ですよね。それでも大丈夫ですか?」
私の言葉に同意する二人。
そしてすぐに用意に取り掛かる。
荷物を選別している余裕はないので、二人分の荷物も含めて、全て私のアイテムボックスに無造作に入れていく。
そして30分ほどで用意が終わったあと、日が沈みかけたところで冒険者ギルドへと向かう。
ギルド前に到着した時には、10台ほどの幌馬車が停まっていて――。
「エミさん! お待ちしておりました」
「スパークさん。もう用意は出来ているのですか?」
「ええ――、もちろん! それよりもお二方とも、かなり修羅場を潜り抜けられたと伺いましたが……」
「せやね」
「だなぁ」
苦笑いするアネットさんとユーリエさん。
「――では3人とも、先頭の馬車へ乗ってください」
「「「はい」」」
声がハモる。
そして――、私達が幌馬車に乗ったあと馬車は、商業都市エンバスへ向かって走り出す。
王都の外へと向かうキャラバン隊。
一瞬、幌馬車はセルトラ王国騎士団と擦れ違う。
「いまのって、宿に向かったよな」
「せやね」
「メルサさん大丈夫でしょうか?」
「大丈夫だろ」
アネットさんは、それだけ言うと目を閉じてしまう。
一応、メルサさんには大目の金貨を渡しておいたけど、私の素性は話していない。
強いていうのなら、また泊りにくることを伝えたことくらい。
「まぁ、そないに気にすることないって! メルサさんなら何とかするって! そういう商売やねんから」
「そうですね」
私達一行は、何事もなく王都を出る。
そして――、片道一ヵ月はかかるであろう商業都市に向けて、幌馬車は走り出した。
「エミはん、これ」
「何ですか?」
「さっき、スパークさんから受け取った書簡だって」
「書簡ですか?」
「何でも冒険者ギルドの受付嬢から渡されたものらしいわ」
「リアナさんから?」
書簡は木箱に入っていて立派なモノ。
箱を開けると中には冒険者ギルドカードが一枚と書簡が入っていた。
「何て書いてあったん?」
「冒険者ギルドカードが更新されたので新しいモノを入れてくれていたみたいです」
「そうなんか」
そこでユーリエさんは興味を失ってしまうけど、書簡には私がアマーリエで会った事が王宮に判明し、私の身柄を他国に渡さない事が決定されたこと。
それと偽りの身分証が、エルミア・フォン・ネイザ公爵家当主の力添えで発行された事が書かれていた。
「なるほど……」
つまり、私に貸しを作っておきたいということですか。
それなら、それでいいですけど……。
でも、色々と面倒事に巻き込まれそう。
それでもセルトラ王国を誤魔化してくれることは素直に感謝しておきたい。
とくにかくも、まずは新しい身分を用意してくれたキルワ王国の王宮に感謝しておくとしましょう。
「何か不都合でもありましたら、受けて頂かなくても大丈夫ですよ。こちらとしては、エミさんほどの実力の冒険者の方を護衛に――と、思っただけですので」
「スパークさん。冒険者ギルドを通さない依頼は困ります」
「これはすまない。リアナさん」
「本当ですよ。ただ――」
チラリと意味ありげに私の方へと視線を向けてくるリアナさん。
「エミさん。少し町から離れるのもありかも知れませんよ?」
「――え?」
「大方の話は、冒険者ギルドにも入ってきていますので」
「そうですか」
そのリアナさんの一言で、私がセルトラ王国の王都の冒険者ギルドで冒険者登録をした理由を何となく彼女は察したと言う事が分かってしまう。
そして、彼女は、そのことを遠回しに――、スパークさんには分からないように伝えてくれた。
真意は不明ではあるけれど、事情は何となく察することはできる。
おそらく、キルワの冒険者ギルドは、セルトラ王国からアマーリエを探しに使節団が来ていることを既に掴んでいる。
――ううん。それだけじゃない。恐らく冒険者ギルドを経営している貴族経由で情報が流れてきる?
そう考える方が自然だと思う。
「そうですね」
「――では、スパークさん」
「それでは、護衛の依頼を受けて下さるということですか?」
「はい。そうなります」
「それは助かります」
「それと私のパーティメンバーも一緒で構いませんか?」
「パーティメンバー?」
「はい。ユーリエとアネットさんですが……」
「別に構いませんよ。10人ほどの冒険者を雇おうと思っていましたから」
「――では、スパークさんの依頼に関しては、エミさんのパーティが引き受けるということで。他のパーティメンバーは、冒険者ギルドの方で見繕っておきます」
「よろしく。リアナさん」
「はい」
私は、スパークさんから依頼を受けた足で宿屋に向かう。
すると丁度、二人とも帰宅したところで。
「――という訳なのですが……」
「なるほど……。別に構わないが、エミの方は店の開店準備で忙しいんじゃないのか? 職人との契約もあるんだろう?」
「それに関しては商業ギルドの方に、帰宅する前に寄って伝えておきました」
「そうなんか。ほな、うちとしては行ってもええで」
「本当ですか?」
「まぁ、エミが店を運営するようになると、冒険者稼業も縮小しないといけないからな」
「せやな」
「――で、いつから出立するんだ?」
「今日の夜には――とのことです」
「はやっ!」
「ちなみに場所は隣国の商業都市エンバスとのことです」
「遠いな……」
「ですよね。それでも大丈夫ですか?」
私の言葉に同意する二人。
そしてすぐに用意に取り掛かる。
荷物を選別している余裕はないので、二人分の荷物も含めて、全て私のアイテムボックスに無造作に入れていく。
そして30分ほどで用意が終わったあと、日が沈みかけたところで冒険者ギルドへと向かう。
ギルド前に到着した時には、10台ほどの幌馬車が停まっていて――。
「エミさん! お待ちしておりました」
「スパークさん。もう用意は出来ているのですか?」
「ええ――、もちろん! それよりもお二方とも、かなり修羅場を潜り抜けられたと伺いましたが……」
「せやね」
「だなぁ」
苦笑いするアネットさんとユーリエさん。
「――では3人とも、先頭の馬車へ乗ってください」
「「「はい」」」
声がハモる。
そして――、私達が幌馬車に乗ったあと馬車は、商業都市エンバスへ向かって走り出す。
王都の外へと向かうキャラバン隊。
一瞬、幌馬車はセルトラ王国騎士団と擦れ違う。
「いまのって、宿に向かったよな」
「せやね」
「メルサさん大丈夫でしょうか?」
「大丈夫だろ」
アネットさんは、それだけ言うと目を閉じてしまう。
一応、メルサさんには大目の金貨を渡しておいたけど、私の素性は話していない。
強いていうのなら、また泊りにくることを伝えたことくらい。
「まぁ、そないに気にすることないって! メルサさんなら何とかするって! そういう商売やねんから」
「そうですね」
私達一行は、何事もなく王都を出る。
そして――、片道一ヵ月はかかるであろう商業都市に向けて、幌馬車は走り出した。
「エミはん、これ」
「何ですか?」
「さっき、スパークさんから受け取った書簡だって」
「書簡ですか?」
「何でも冒険者ギルドの受付嬢から渡されたものらしいわ」
「リアナさんから?」
書簡は木箱に入っていて立派なモノ。
箱を開けると中には冒険者ギルドカードが一枚と書簡が入っていた。
「何て書いてあったん?」
「冒険者ギルドカードが更新されたので新しいモノを入れてくれていたみたいです」
「そうなんか」
そこでユーリエさんは興味を失ってしまうけど、書簡には私がアマーリエで会った事が王宮に判明し、私の身柄を他国に渡さない事が決定されたこと。
それと偽りの身分証が、エルミア・フォン・ネイザ公爵家当主の力添えで発行された事が書かれていた。
「なるほど……」
つまり、私に貸しを作っておきたいということですか。
それなら、それでいいですけど……。
でも、色々と面倒事に巻き込まれそう。
それでもセルトラ王国を誤魔化してくれることは素直に感謝しておきたい。
とくにかくも、まずは新しい身分を用意してくれたキルワ王国の王宮に感謝しておくとしましょう。
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