婚約破棄された国から追放された聖女は隣国で幸せを掴みます。

なつめ猫

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第56話 キルワ王国のダンジョン探索(11)

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 広場には、私達一行。
 それと、十数人の冒険者に冒険者ギルドの関係者の姿が。

「それでは、始めさせて頂きます」

 そう大きめの声で語り掛けてきたのは冒険者ギルドの服装をきた男性。
彼は、私とブレイドさんの近くまで来ると、手を上げる。
 そして――。

「はじめ!」

 冒険者ギルドの職員が手を上げ、数秒で手が下ろされた。
 それと同時に、私は身体強化の魔術を発動しながら視線をブレイドさんへと向けるけど、先ほどまで、彼が立っていた場所にはブレイドさんの姿は無かった。

「――ッ!?」

 思わず、私は地面を蹴りつけて退く。
 それと共に、視界が粉塵により不明瞭となった。

「爆音!? 一体――!?」

 考える前に体が動いていた。
 だからこそ、地面にフランベルジュを叩きつけているブレイドさんの斬撃を避けられたのだろう。

「ほう。俺の斬撃を避けるとはな」

 舞い上がっていた土煙の中から声が――。
 どういう状態なのか確認するために風の魔法を発動させようとしたところで、唐突に土埃が強い風で吹き飛ばされる。
 そして視界がクリアになった先には、両手でフランベルジュを構えるブレイドさんの姿が。

「死ぬなよ?」

 その声と共に、私へと一足飛びで踏み込んでくるブレイドさん。
 さらに、上段から長剣を振り下ろしてくる。
 私は、その斬撃に合わせて距離を取るけれど、チクリと痛みを感じた。
 頬に手を添えれば、薄っすらと血がついている。
 刃が触れていないのに……、そうすると――。

「斬撃系の魔法ですか?」
「――いや、ただ得物を振り下ろしただけだが?」
「そうですか……」

 つまり、魔法ではなく武器を使った技術の一つと言う事なのかも知れない。
 魔法詠唱なら、相手の魔法をキャンセルすることは可能だけど、技術なら、そうはいかない。

「厄介ですね」
「ほう。回復魔法か」

 私は言葉で時間を稼ぎながら回復魔法で肉体の治癒を行う。
 
「回復魔法を使える魔導士は珍しいが――、居ない訳ではないからな」
「そうですか」

 私は地面に手をつくと同時に錬成を行う。
 大地に含まれている砂鉄を集めて武器を作り出す。

「武器を、この場で錬成するとは――」
「行きます!」

 軽量化をした武器に、さらに肉体強化まで行った私の移動はかなりの速さ。
 一瞬で、ブレイドさんに肉薄すると生成した小太刀を突きだす。
 すると、――キンッ! と言う音と共に、私は弾き飛ばされ地面の上を転がる。







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