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第28話 王都の散策(2)

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 日本から転生した国であり、母国とも言えるセルトラ王国。
 その隣国であるキルワ王国の王都スルトーン。
 現在、私はこれから住むかも知れない王都を、ユーリエさんやアネットさんと共に散策していた。

 町の作りとしては、木造の2階建ての建物が7割。
 茶色の煉瓦で作れた建物が3割。
 大通りは、煉瓦作りの2階建ての建物が多く、木造の建物は裏路地や細い路地などに面している。
 大通りに煉瓦作りの立派な建物が多いのは、見栄えの問題だと私は思っている。

「アネットさん。ウロウロするのか困んねんけど」
「――す、すまない」

 そして、現在はアネットさんが大通りの両端に出店している出店に目が奪われていた。

「アネットさんは何か欲しいものがあるのですか?」

 主にアネットさんが見ていたのは、鎧や小手、そしてアクセサリー関係。
 剣士のアネットさんが興味引かれるのは分かるけど、右往左往するほどの物なのかな? と、思ってしまうのだけれど。

「エミのおかげで、臨時収入が入ったさかいね。我慢しとった分、反動も大きいんちゃうんかいな?」
「それって……例の?」
「せや」
「なるほど……」

 つまりドラゴンの分配収入があったから、懐が温かいと。

「ちなみにいくらくらいだったですか?」

 私の問いかけに、ユーリエさんが顔を寄せてくる。

「金貨500枚……私達冒険者が10年働いて稼げるかどうかの大金やさかいね」
「そうなのですか」

 日本円換算で5000万円。
 それだけのお金が、突然――、懐に入ってきたのなら欲しいものは多数出てくるわよね。
 それにしてもドラゴンって相当高く売れるのね。
 黙っていてくれることも納得と言った感じよね。

「この盾は良い感じだ! どうだ? エミ! ユーリエ!」

 アネットさんが露店で手にしたのは、鋼鉄製の盾と言った感じ。
 ただ、厚さはそこまでないように見えるけど……、ただ――、私は盾に関しては専門外なので何も言えないけど。

「ユーリエさんは、何か欲しいモノとかないのですか?」
「そうやな。やっぱ無限の矢筒やらが欲しいかいな?」
「無限の矢筒?」

 始めて聞いた名称だけど……。

「矢を事前に入れとくことで出し入れが可能や矢筒なんやんな。最初は、手間が掛かるけど弓を扱う上級冒険者になると、皆持ってるんやんな。そやさかい今は、無限の矢筒が欲しいかいな? 弓は、エミはんが作ってくれたモノがあるし」
「そういえば、そうでしたね。――という事は……」

 もしかしなくても、追加で私が矢を作ることになるのでは?

「キチンとお金を払うさかい頼むで」
「ですよねー」





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