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第20話 スカウトされました。
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近づいてくる王都。
「王都の近くには森などは無いんですね」
草原の中にポツンと存在する都市。
そして、その都市を囲うようにして存在する城壁。
都市の中央部には大きなお城が存在していて、それは高台に築かれているようで、まだ王都から距離はあるけど、ハッキリと見ることができる。
「あれが、王城ストーンヘッジですか」
「エミはんは、ストーンヘッジについて知っとるん?」
「知っているというか……」
そもそも地球ではストーンヘッジは古代文明が暦などを調べる為に作られた物で王城名を差す言葉ではなかったので、少しだけ感慨深く思っただけ。
そんな感情が口から零れ落ちた言葉に内包されてしまったのだろう。
ユーリエさんは、それを敏感に感じとって聞いてきたのかも知れません。
「それにしても、あんだけおっきな王城が良く崩れないもんやね」
「たしかにそうですね」
私は、三日月形の崖の上に建築されている城を見ながら、ユーリエさんに同意する。
普通に考えたら重力に引かれて崖が崩壊して崩れてもいいようなモノなのに。
「私は、まずは冒険者ギルドに行ってクエスト完了報告をしてから達成金をもらって、ゆっくりしたいな」
「アネットはんは、飲みに行きたいんやろう?」
「分かる?」
「もちろんや。うちもそうやし」
「それならお二人とも飲み明かしに行かれるのですね」
「もちろんエミも一緒にどうだ?」
「いえ。私は宿を取って早めに寝たいので」
「エミはんは、まじめやね」
「だなー」
アネットさんと、ユーリエさんは二人して頷いている。
そんな中、サイさんが私の方を見てきていた。
「サイさん、どうかしたのですか?」
「――いや、俺は戻ったら商売品の管理とか在庫チェックとか帳簿の確認とかドラゴンの素材の管理とか、やる事がいっぱいあるから、羨ましいと思っただけで……」
「そ、そうですか……。お疲れ様です」
「商人の性ってやつだな。ところでエミ」
「はい?」
「冒険者としての仕事を好まないと聞いたのですが、もしよろしければ、カルネール商会に来ないか?」
「商会にですか?」
「ああ、俺の所のカルネール商会は特権商人だし、いまは商会を拡大している段階で、有能な人材は欲しい。出来れば、カルネール商会の用心棒のような感じで来ないか?」
「そうですね……」
「それに給料は固定プラス歩合制だ。稼げれば稼げるほど給料は増える。どうだ? 運が良ければ才覚によっては、将来は分化した商会を任せてもらえるかも知れないぞ?」
その言葉に、私は頭を左右に振る。
「やっぱり、辞めておきます。私は平穏に生きていきたいので」
「そうか……。だが――、何かあったら頼ってきてくれ」
「ありがとうございます。その時にはお願い致します」
そんな話しをしている間に、王都スルトーンを囲んでいる城壁の入口が見えてきた。
「王都の近くには森などは無いんですね」
草原の中にポツンと存在する都市。
そして、その都市を囲うようにして存在する城壁。
都市の中央部には大きなお城が存在していて、それは高台に築かれているようで、まだ王都から距離はあるけど、ハッキリと見ることができる。
「あれが、王城ストーンヘッジですか」
「エミはんは、ストーンヘッジについて知っとるん?」
「知っているというか……」
そもそも地球ではストーンヘッジは古代文明が暦などを調べる為に作られた物で王城名を差す言葉ではなかったので、少しだけ感慨深く思っただけ。
そんな感情が口から零れ落ちた言葉に内包されてしまったのだろう。
ユーリエさんは、それを敏感に感じとって聞いてきたのかも知れません。
「それにしても、あんだけおっきな王城が良く崩れないもんやね」
「たしかにそうですね」
私は、三日月形の崖の上に建築されている城を見ながら、ユーリエさんに同意する。
普通に考えたら重力に引かれて崖が崩壊して崩れてもいいようなモノなのに。
「私は、まずは冒険者ギルドに行ってクエスト完了報告をしてから達成金をもらって、ゆっくりしたいな」
「アネットはんは、飲みに行きたいんやろう?」
「分かる?」
「もちろんや。うちもそうやし」
「それならお二人とも飲み明かしに行かれるのですね」
「もちろんエミも一緒にどうだ?」
「いえ。私は宿を取って早めに寝たいので」
「エミはんは、まじめやね」
「だなー」
アネットさんと、ユーリエさんは二人して頷いている。
そんな中、サイさんが私の方を見てきていた。
「サイさん、どうかしたのですか?」
「――いや、俺は戻ったら商売品の管理とか在庫チェックとか帳簿の確認とかドラゴンの素材の管理とか、やる事がいっぱいあるから、羨ましいと思っただけで……」
「そ、そうですか……。お疲れ様です」
「商人の性ってやつだな。ところでエミ」
「はい?」
「冒険者としての仕事を好まないと聞いたのですが、もしよろしければ、カルネール商会に来ないか?」
「商会にですか?」
「ああ、俺の所のカルネール商会は特権商人だし、いまは商会を拡大している段階で、有能な人材は欲しい。出来れば、カルネール商会の用心棒のような感じで来ないか?」
「そうですね……」
「それに給料は固定プラス歩合制だ。稼げれば稼げるほど給料は増える。どうだ? 運が良ければ才覚によっては、将来は分化した商会を任せてもらえるかも知れないぞ?」
その言葉に、私は頭を左右に振る。
「やっぱり、辞めておきます。私は平穏に生きていきたいので」
「そうか……。だが――、何かあったら頼ってきてくれ」
「ありがとうございます。その時にはお願い致します」
そんな話しをしている間に、王都スルトーンを囲んでいる城壁の入口が見えてきた。
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