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一つ屋根の下での事情3(1)
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放課後になり、校門前へと向かうと既に車は到着していた。
私が、車に近づくと向こうも気が付いたようで、車から櫟原さんが出てくる。
「お待たせしました」
待ってくれていたお礼を言うと、「……宮内さん、どうかしましたか?」と、聞いてくる。
「え?」
「朝見た時と違い、どこか気持ちがここに在らずと言った様子に思えましたので」
そう話しかけてくる櫟原さんは、車の後部座席のドアを開けながら神妙そうな表情で真っ直ぐに私を見てきていて――。
「そんなことないです」
「…………そうですか」
深く追求する事もなく、私が車に乗ると運転席に戻り車を発進させた。
今は、その心遣いが嬉しい。
車は数分で神社の階段下に停まる。
降車したところで、「宮内さん」と、櫟原さんが私に語り掛けてきた。
「はい?」
「今日は、高槻様がお帰りになるのは遅くなるそうですので、夕飯は必要ないとのことです」
「……分かりました」
母屋に戻ったあとは、巫女服に着替えて境内へと向かう。
境内を途中で通った時には、社務所の工事を宮大工の方々が行っていたので、何時も通り奇異の視線を向けられると思ったけど、慣れたのか特に視線を感じることはなかった。
日が沈みかける頃には、境内の清掃も一段落し、母屋に戻り家事をする。
お風呂掃除などやる事は山ほどある。
「やっぱり、昨日は買い物に行って家事が出来なかったから溜まってしまっているよね」
そう独り言を呟きながらも、いまは一心不乱に何かに打ち込める事に少しだけ安堵する。
何もしないと、余計なことを考えてしまうから。
家事を一通り終えたところで夕食を一人で摂る。
時刻は、すでに午後9時を過ぎていて――、家の中は一人しかいないから静まり返っている。
母屋は、囲炉裏のある居間が一つ。
あとは、8畳の部屋が4つ、6畳の部屋が2つに納戸とトイレ、バスが別の作りなっていて6LDKという作りの2階建て。
本当に一人だと広い。
食器を洗ったあとは、お風呂を頂いたあとは、自室に戻り学校の宿題を終える。
「はぁー」
やる事をやった後は、本当に何もする事がない。
机に突っ伏したあとは、頬を机に当てたまま溜息をつく。
その時に右手薬指の婚約指輪が視界に入る。
「たぶん、美穂は婚約指輪について怒っていたんだよね……」
何もやることがなくなると、学校の時のことが思いだされる。
美穂は、婚約指輪のこと。
そして大和のことになると、すごく怒っていた。
彼女に頬を引っ叩かれるのは初めてで、私はそのことを思い出すとどうしたらいいのか分からない。
弁明をするべきだというのは分かるけど、そんな事をすれば高槻さんとの約束を破ることになる。
そこまで考えたところで、また溜息が出てしまう。
私は、テレビを見ることは殆どないけど、こういう時にテレビがあれば気を紛らわす事もできるのにと思った。
放課後になり、校門前へと向かうと既に車は到着していた。
私が、車に近づくと向こうも気が付いたようで、車から櫟原さんが出てくる。
「お待たせしました」
待ってくれていたお礼を言うと、「……宮内さん、どうかしましたか?」と、聞いてくる。
「え?」
「朝見た時と違い、どこか気持ちがここに在らずと言った様子に思えましたので」
そう話しかけてくる櫟原さんは、車の後部座席のドアを開けながら神妙そうな表情で真っ直ぐに私を見てきていて――。
「そんなことないです」
「…………そうですか」
深く追求する事もなく、私が車に乗ると運転席に戻り車を発進させた。
今は、その心遣いが嬉しい。
車は数分で神社の階段下に停まる。
降車したところで、「宮内さん」と、櫟原さんが私に語り掛けてきた。
「はい?」
「今日は、高槻様がお帰りになるのは遅くなるそうですので、夕飯は必要ないとのことです」
「……分かりました」
母屋に戻ったあとは、巫女服に着替えて境内へと向かう。
境内を途中で通った時には、社務所の工事を宮大工の方々が行っていたので、何時も通り奇異の視線を向けられると思ったけど、慣れたのか特に視線を感じることはなかった。
日が沈みかける頃には、境内の清掃も一段落し、母屋に戻り家事をする。
お風呂掃除などやる事は山ほどある。
「やっぱり、昨日は買い物に行って家事が出来なかったから溜まってしまっているよね」
そう独り言を呟きながらも、いまは一心不乱に何かに打ち込める事に少しだけ安堵する。
何もしないと、余計なことを考えてしまうから。
家事を一通り終えたところで夕食を一人で摂る。
時刻は、すでに午後9時を過ぎていて――、家の中は一人しかいないから静まり返っている。
母屋は、囲炉裏のある居間が一つ。
あとは、8畳の部屋が4つ、6畳の部屋が2つに納戸とトイレ、バスが別の作りなっていて6LDKという作りの2階建て。
本当に一人だと広い。
食器を洗ったあとは、お風呂を頂いたあとは、自室に戻り学校の宿題を終える。
「はぁー」
やる事をやった後は、本当に何もする事がない。
机に突っ伏したあとは、頬を机に当てたまま溜息をつく。
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「たぶん、美穂は婚約指輪について怒っていたんだよね……」
何もやることがなくなると、学校の時のことが思いだされる。
美穂は、婚約指輪のこと。
そして大和のことになると、すごく怒っていた。
彼女に頬を引っ叩かれるのは初めてで、私はそのことを思い出すとどうしたらいいのか分からない。
弁明をするべきだというのは分かるけど、そんな事をすれば高槻さんとの約束を破ることになる。
そこまで考えたところで、また溜息が出てしまう。
私は、テレビを見ることは殆どないけど、こういう時にテレビがあれば気を紛らわす事もできるのにと思った。
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