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第93話 エピローグ
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迷宮都市グラナドの総督府――、その一室。
「つまり、暗殺ギルドは壊滅したと……そういうことですか?」
澄んだ声が室内に響く。
「はい。そうなります。エリカ様」
「そうですか。――で、それを行ったのは、やはり聖女を守護する剣聖ですか」
「はい」
「なるほど……。冒険者ギルドが総力を挙げても侵入を防ぐ事が出来なかった暗殺ギルドをたった一人で、さすがは剣聖の公爵家ですね」
「エイジ様が御存命でしたら――」
「初代を語っても仕方ないと思うのだが?」
「これはソリティ様」
「うむ。それよりも、そのアリーシャという者。転移者ではあるまいな?」
「そのような話は――」
「そうか、ならばよい」
「ソリティ様はどちらへ?」
腰まで届くような白銀の髪に、白い肌を持つ絶世の美貌とも呼べる女性が、足を止める。
「些か、不穏な気配があったから立ち寄ったに過ぎん。そもそも人間に関わるのは、不毛であるからのう」
「そうですか」
「まぁ、我が主だった英二の子孫である恵里香の頼みであるなら居ても構わんが、それを良しとはせぬ者が多いからの」
執務室内で対談していた各々が苦笑いを浮かべる。
「――さて、我は、大陸に戻るとする。また何かあれば連絡を寄こすとよい」
「分かりました」
「うむ。ではな――」
密閉された空間に一陣の風が吹き去ったあと、ソリティと呼ばれた女性は姿を消す。
「相も変わらずソリティ様は……」
そう呟いたのはカグラであった。
「それよりもカグラ」
「はい」
「ラッセル王家の状況はどうなっているの?」
「草からの話によりますと、カイル王太子殿下は、王位継承権を剥奪され幽閉されているとのことです」
「そうなのね。それで、その婚約者から王太子を奪ったアンネ・フォン・ハイデンブルグは?」
「それが、行方不明になっているとのことです」
「行方不明ね……。ハイデンブルグ公爵も、姿を消したの?」
「ハイデンブルグ公爵は、王宮側と、かなり険悪な状況になっているとのことですが……」
「クルーゼ陛下も大変のようね」
「はい。それで、アリーシャ様に関しては如何致しましょうか?」
「そうね。しばらくは様子を見ましょう。幸い、剣聖の血筋の方が護衛をしているようですし。それにカグラが見立て通り、アリーシャ様も、それなりの力を有しているのでしょう?」
「それなりではありませんでした。少なくとも、迷宮都市グラナドを建国された初代総督府のエイジ様と同等の魔力を保有していると思われます」
「そうなのね……。それじゃ、やっぱり……、様子見をしておいた方がいいわね」
「はい。二人とも、迷宮都市グラナドにおいて強力な自衛のための戦力となりますから」
「そう。それにしても、聖女と剣聖が来るなんて運命を感じるわよね」
広げていた扇子を閉じて黒い瞳で天井を見上げる神田・グラナド・恵里香。
彼女は、ふと笑みを浮かべた。
「つまり、暗殺ギルドは壊滅したと……そういうことですか?」
澄んだ声が室内に響く。
「はい。そうなります。エリカ様」
「そうですか。――で、それを行ったのは、やはり聖女を守護する剣聖ですか」
「はい」
「なるほど……。冒険者ギルドが総力を挙げても侵入を防ぐ事が出来なかった暗殺ギルドをたった一人で、さすがは剣聖の公爵家ですね」
「エイジ様が御存命でしたら――」
「初代を語っても仕方ないと思うのだが?」
「これはソリティ様」
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「そのような話は――」
「そうか、ならばよい」
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腰まで届くような白銀の髪に、白い肌を持つ絶世の美貌とも呼べる女性が、足を止める。
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「そうですか」
「まぁ、我が主だった英二の子孫である恵里香の頼みであるなら居ても構わんが、それを良しとはせぬ者が多いからの」
執務室内で対談していた各々が苦笑いを浮かべる。
「――さて、我は、大陸に戻るとする。また何かあれば連絡を寄こすとよい」
「分かりました」
「うむ。ではな――」
密閉された空間に一陣の風が吹き去ったあと、ソリティと呼ばれた女性は姿を消す。
「相も変わらずソリティ様は……」
そう呟いたのはカグラであった。
「それよりもカグラ」
「はい」
「ラッセル王家の状況はどうなっているの?」
「草からの話によりますと、カイル王太子殿下は、王位継承権を剥奪され幽閉されているとのことです」
「そうなのね。それで、その婚約者から王太子を奪ったアンネ・フォン・ハイデンブルグは?」
「それが、行方不明になっているとのことです」
「行方不明ね……。ハイデンブルグ公爵も、姿を消したの?」
「ハイデンブルグ公爵は、王宮側と、かなり険悪な状況になっているとのことですが……」
「クルーゼ陛下も大変のようね」
「はい。それで、アリーシャ様に関しては如何致しましょうか?」
「そうね。しばらくは様子を見ましょう。幸い、剣聖の血筋の方が護衛をしているようですし。それにカグラが見立て通り、アリーシャ様も、それなりの力を有しているのでしょう?」
「それなりではありませんでした。少なくとも、迷宮都市グラナドを建国された初代総督府のエイジ様と同等の魔力を保有していると思われます」
「そうなのね……。それじゃ、やっぱり……、様子見をしておいた方がいいわね」
「はい。二人とも、迷宮都市グラナドにおいて強力な自衛のための戦力となりますから」
「そう。それにしても、聖女と剣聖が来るなんて運命を感じるわよね」
広げていた扇子を閉じて黒い瞳で天井を見上げる神田・グラナド・恵里香。
彼女は、ふと笑みを浮かべた。
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