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第77話 王都事件(2)
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「そういえば、カーネルさん。王都には冒険者の方々が先に来られているのですよね?」
「――ん? あ、ああ。そうだな」
他人の家庭の事情について聞くのは、あまりよろしくない事ですし、私は話題を変える。
カーネルさんは、私が詳しく聞いてくると思っていたのか、少しだけ怪訝な様子ではあったけれど、すぐにいつも通りの冷静な雰囲気を取り戻す。
「それで、現在は屋敷の周囲を警護されているのですか?」
「そうなる」
「滞在場所などは決まっているのですか?」
「ああ、その辺は、問題ない」
「そうですか。警護と言うことでしたら邸宅を利用してもいいと思いますが……」
「それは出来ないだろう? あまり王都に来ていることを知られたくないからな。護衛の数が多くなれば、それだけ要人が居る事を相手に知らせる事になるからな」
「――ですが……、フェルシアさんが居る時点で既に……」
「まぁ、それはそうだが……、邸宅に滞在していると普通に入ってくる情報も入ってこない事もあるからな」
「それも冒険者の知恵ですか?」
「まぁ、そうだな……」
「色々とあるのですね。冒険者の方は――」
「ああ、それよりもエリーゼは、しばらくは大変な事になりそうだな」
会話をしていたカーネルさんは、視線を閉まっている扉の方へと向ける。
言いたいことは何となくですけど、理解できる。
「やっぱり、アディ―さんのことは……」
「アディ―でいい。貴族が、そのような気遣いをしていたら怒られるぞ? アイツに」
「そうですよね……」
婚約破棄されてから辺境の土地に引きこもっていた事もあり、かなり貴族の作法とか忘れているかも……。
だって、他の方々に何か言われるような事はなかったし。
「色々と言われそうで頭が痛いです……」
「まぁ、貴族として生まれたんだから仕方ないな」
「ですよね……」
結局、婚約は破談という形になったけれど、貴族籍である以上、家を存続させる事は重要なことであり、婿を入れることになる事にはなると思う。
「カーネルさん」
「王都を散策するのは止しておいた方がいいと思うぞ?」
「……」
先手を打ってきたカーネルさんを見上げる。
「おいおい、そういう恨めしそうな表情を向けられても困るんだが?」
「それは分かっていますけど……」
邸宅滞在時間が減れば、それだけアディ―さんと顔を合わせる時間が減るのでは? と、淡い期待を持ってしまったけれど、やっぱり……それは難しいというのは分かる。
何故なら、クラウディール王国は現在、食料物資が高騰する兆しを見せているというのは、ロマネスクさんから聞いていたから。
一応、他国から食料物資を輸入することで当座を凌いではいるけど、それは根本的な解決にはなっていない。
つまり経済的に安定していないという事になる。
経済は表立って問題が起きてからでは遅いというのは妃教育で習った。
おそらく、城下町だけでなくフェルベール地方から遠い貴族領では、経済難民が発生している可能性がある。
そして経済的に窮地に立たされた場合には、犯罪が発生する場合する可能性が非常に高く、カーネルさんは、その事を心配していると思う。
「なら、邸宅内でゆっくりとしておいた方がいい」
「そうですよね」
「――ん? あ、ああ。そうだな」
他人の家庭の事情について聞くのは、あまりよろしくない事ですし、私は話題を変える。
カーネルさんは、私が詳しく聞いてくると思っていたのか、少しだけ怪訝な様子ではあったけれど、すぐにいつも通りの冷静な雰囲気を取り戻す。
「それで、現在は屋敷の周囲を警護されているのですか?」
「そうなる」
「滞在場所などは決まっているのですか?」
「ああ、その辺は、問題ない」
「そうですか。警護と言うことでしたら邸宅を利用してもいいと思いますが……」
「それは出来ないだろう? あまり王都に来ていることを知られたくないからな。護衛の数が多くなれば、それだけ要人が居る事を相手に知らせる事になるからな」
「――ですが……、フェルシアさんが居る時点で既に……」
「まぁ、それはそうだが……、邸宅に滞在していると普通に入ってくる情報も入ってこない事もあるからな」
「それも冒険者の知恵ですか?」
「まぁ、そうだな……」
「色々とあるのですね。冒険者の方は――」
「ああ、それよりもエリーゼは、しばらくは大変な事になりそうだな」
会話をしていたカーネルさんは、視線を閉まっている扉の方へと向ける。
言いたいことは何となくですけど、理解できる。
「やっぱり、アディ―さんのことは……」
「アディ―でいい。貴族が、そのような気遣いをしていたら怒られるぞ? アイツに」
「そうですよね……」
婚約破棄されてから辺境の土地に引きこもっていた事もあり、かなり貴族の作法とか忘れているかも……。
だって、他の方々に何か言われるような事はなかったし。
「色々と言われそうで頭が痛いです……」
「まぁ、貴族として生まれたんだから仕方ないな」
「ですよね……」
結局、婚約は破談という形になったけれど、貴族籍である以上、家を存続させる事は重要なことであり、婿を入れることになる事にはなると思う。
「カーネルさん」
「王都を散策するのは止しておいた方がいいと思うぞ?」
「……」
先手を打ってきたカーネルさんを見上げる。
「おいおい、そういう恨めしそうな表情を向けられても困るんだが?」
「それは分かっていますけど……」
邸宅滞在時間が減れば、それだけアディ―さんと顔を合わせる時間が減るのでは? と、淡い期待を持ってしまったけれど、やっぱり……それは難しいというのは分かる。
何故なら、クラウディール王国は現在、食料物資が高騰する兆しを見せているというのは、ロマネスクさんから聞いていたから。
一応、他国から食料物資を輸入することで当座を凌いではいるけど、それは根本的な解決にはなっていない。
つまり経済的に安定していないという事になる。
経済は表立って問題が起きてからでは遅いというのは妃教育で習った。
おそらく、城下町だけでなくフェルベール地方から遠い貴族領では、経済難民が発生している可能性がある。
そして経済的に窮地に立たされた場合には、犯罪が発生する場合する可能性が非常に高く、カーネルさんは、その事を心配していると思う。
「なら、邸宅内でゆっくりとしておいた方がいい」
「そうですよね」
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