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第66話  法王様との対談(3)

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 カーネルさんの危惧も理解できるけど……、あの方が私に何かを求めてきたような事はありませんでしたので、そこまで心配するようなことは……、と言うのが素直なところなので、複雑な気持ちになってしまう。

 それから、すぐに数人の冒険者の方が中庭に来るとカーネルさんの警備についての指示を受けて迅速に動き始めた。
カーネルさんの指示から、邸宅の警護を強化するという内容だったので、冒険者の動員を増やしているのかも知れない。
 いままでには無かった光景。
戦いに無頓着な私にも分かるほど空気が張り詰めていくのが理解できてしまう。

 しばらくしてから、一人の女性冒険者が小走りで中庭に入ってくる。

「団長、教会の馬車が此方に向かってきているのが確認できました」
「そうか、エリーゼ」
「分かっています」

 二人の会話から、精霊教会の最高権力者である法王様が向かってきているのは理解出来ていたので、私もすぐに椅子から立ち上がる。
 向かう先には、邸宅の玄関。

 両開きの扉を開けて、視線を邸宅敷地内へと入る際に通り抜ける門へと向ける。
すると、鉄格子の扉が開いていく光景が目に飛び込んでくる。

「丁度、間に合ったようですね」
「ああ、そのようだな」
「そういえば、アルさんの姿が見えませんが……」

 一応、アルさんも代官としての職務がありますので、法皇様に紹介はしておきたいのですが……。

「あの男は、元は中央で働いていたのだろう? なら、色々と柵というのがあるのかも知れないぞ?」
「そうですわね」

 ただ教会のトップの人が、貴族で王国の中枢部で働いていたと言っても、一役人の方の名前や顔を存じているとは思えないのですが……。
 ただ、アルさんが何も言わずに席を外すのは――。

「エリーゼ様。イオス村の村長を務めていた方は、教会と一度、ご家族のことで確執があると聞いた事があります」

 私とカーネルさんが小声で話していた所で、草むらから先ほど私達を呼びにきた女性冒険者が語りかけてくる。

「そうなの?」

 そんな話を一度も伺ったことはない。

「はい。なんでも――」
「いいわ。言わなくても……。本人が話したいと思わない限り、第三者から話を聞くのはマナーに反していると思うもの」
「そうですか。わかりました」
「でも、よくそんな情報を知っていたわね?」
「はい。これでも村で畑作業を手伝っておりますので」

 ということは、つまり……、村の方々が話していた事情を小耳に挟んだという訳なのね。
 何となくだけど納得する。
 そして、そんな会話をしていた中――、目の前に教会の紋章を掲げた馬車が停止した。

 
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