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第59話 王都へ行きましょう(4)

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 チロちゃんを連れて屋根裏から降りると、ちょうど階段を下りたところで通りがかったカーネルさんと目があった。。

「――ん? 屋根裏から降りて来たって事は、また昼寝か?」

 開口一番に、カーネルさんが呟いてきた言葉は、まるで私が何時も昼寝していような言い方の言葉。

「カーネルさん。私が、いつも寝ていると思っていませんか?」
「違うのか?」
「カーネルさん……」
「――な、なんだ?」
「本当のことを言われると何も言い返せませんので、もう少しオブラートに包んでください」
「……そうか。すまなかったな。というよりも、寝てばかりいると、冒険者として失格だぞ? 日頃の鍛錬も必要だからな」
「それを言われると、私は何も言えないです」
「そういえば代官から渡されてきた決済資料の確認は終わったのか?」
「まぁ、急ぎの仕事は殆ど……」
「つまり、全部は終わってないということか」
「そ、それは今からしますので……」
「ふむ。なら、珍しいな」
「何かあったのですか?」
「いや、エリーゼが貴族としての仕事をサボっているのに、ウルリカが起こしにいかないのと不思議に思っただけだが……」
「あ……」
「何かあったのか?」
「いえ。じつはウルリカにはお父様への使いをお願いしたのです」
「ルーカス公爵にか? 何かあったのか?」

 腕を組みながら語り掛けてくるカーネルさん。

「いえ、じつは一ヵ月の内、数日間は王都に滞在をする事になりましたので、別邸を使う許可をお父様に取る為です」
「なるほどな……。――で、警備の方は大丈夫なのか?」
「じつは、カーネルさんに来て頂こうと思っているのですが……」
「別に構わないが、ウルリカも一緒に連れていくのだろう? また荷馬車でいくのか?」
「いえ。王都までは距離がありますし、フェルシアさんは2人までが限界らしく……」
「つまり、俺とエリーゼの二人で王都に数日、滞在するという事か? だが、俺には貴族の御令嬢の身の回りの世話などは無理だぞ?」
「はい。私一人でも自分のことは出来ますが、それをすると、ウルリカとかが烈火のごとく、貴族の令嬢らしくないと怒ると思いますので、お父様へ身の回りを世話して頂く方をお願いしようと思いまして」
「たしかに……な……」

 苦笑いしてくるカーネルさん。

「まぁ、そういうことなら警備のために同行しよう。それと、数人、先に冒険者を早馬で王都の方へ派遣しておくとするか」
「そこまでして頂かなくても大丈夫だと思いますが……」
「――いや。フェルベール地方という辺境にきた理由が理由だからな。用心に越したことはないだろう?」
「それを言われてしまうと……」

 殿下から、婚約破棄を言い渡され、結果的に王妃様と話をして一応は解決したけれど、それで全てが綺麗に収まった訳ではない。
 何故なら、処分された方もいるから。
 その方と繋がりがある人から恨まれているのかも知れない。
 
「そうですよね……」



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