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第57話 王都へ行きましょう(2)

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「それで、弁明があればどうぞ」
「えっと、じつは――」

 私は、フェルシアさんと話した内容を説明していく。
 話しが進むに連れて真剣な表情へと変わっていくウルリカ。

「――と、言うことで王都にはある程度は滞在しないといけないみたいなの」
「そう言うことでしたか。それで、その話を聞くために、部屋を空けていたと……、そう言うことでしょうか?」
「そういうことなのよ」

 私は何度も首肯する。
 
「そう致しますと、クラウディール王国の一大事ですので、なるべく王都には居た方がいいかも知れませんね」
「ううん、一ヵ月に数日居るだけでいいから! そんなに王都に居なくても大丈夫だから!」
「――ですが、王都までは片道一ヵ月はかかりますが……」
「そこは、フェルシアさんで、びゅーんと行けばすぐに到着いたします」

 私の説明に何か思案顔なウルリカは、唇に手を当てたかと思うと私の方へ笑みを向けてくる。
 とても、何か嫌な予感がします。

「……分かりました。それでは、ルーカス様へ連絡しておきます」
「お父様に?」
「はい。王都の別邸である公爵邸を利用されるのでしたら、御当主様の許可を取っておかないといけませんので」
「そうね……」

 お父様に別邸を使うことは報告しておかないと、何か問題が起きたときに困らせてしまう事になるし、きちんと許可を取っておいた方がいいわよね。

「分かったわ。そのへんの手配はウルリカに任せるわね」
「畏まりました」

 ウルリカが執務室から出ていく。
 その行先は、アルさんの部屋。
 たぶん、私が留守をする間の領地での運営に関しての連絡をするのかも知れない。
 本当は、私がしないといけないのだけれど、疲れてしまったので応接室のソファーに座り、そのまま横に倒れるようにして、ソファーの上へと倒れこむ。

「今日は、頑張ったので眠いです」
「エリーゼ様」
「……は、はい」
「アルさんをお連れしました。今後のことについて、お話ください」
「あれ? ウルリカが説明してくれるのでは?」
「領地に関しての代官への説明は貴族のお仕事です。それに、フェルベール地方を任されておりますのはエリーゼ様ですので」
「……そ、そうね」

 私は心の中で溜息をつきながら、アルさんへウルリカに説明した内容と同じことを伝える。
 話しが終わったところで――。

「分かりました、エリーゼ様。それでは、イスタンブールの商人との取引については、御不在の際にはお任せください」
「よろしくお願いします」
「――それで、ウルリカは……」
「もちろん一緒に参ります。ただ、月に一回、王都に行かれるという事になりますとメイド長のアディーに王都での対応をお願いした方がいいかも知れません」
「アディーに!?」

 ウルリカよりも厳しいメイド長が、王都に居る間に、私のそばにいるなんてストレスがマッハなんですけど!?



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