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第48話 使い魔の制約
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「エリーゼ! 大丈夫か!」
「は、はい。大丈夫です……。それよりも、ご心配をおかけしました」
「――いや、無事ならいいんだ。それよりも息が止まっていたし心臓も止まっていたから心胆冷めたぞ」
カーネルさんが深く溜息をつきながら私の頭を撫でてくる。
「ごめんなさい」
「本当ですよ! エリーゼ様! エリーゼ様に死なれたら、精霊神様からどのようなお怒りが大陸中に降り注ぐと思っているのですか!」
「精霊様は、私が死んだくらいで怒ったりはしないと思いますけど……」
「そんな事はありません。過去に精霊に愛された子が逝去した時は、大飢饉が起きてロスバール大帝国が内乱により滅んだとも記述にあるくらいですから」
「ロスバール大帝国って、たしか神話の時代の国のことよね? それくらいは聞いたことがあるけれど……」
問題は、精霊に愛された子が逝去した時に大飢饉が起きたという事は、王宮では教えられたことがない。
もしかしたら、王妃として必要のないことだからなのかも知れないけど。
「その大飢饉の話って一般的なことなの?」
「精霊神教の中の教典では一般的に書き記されている内容ですので、子供でも御伽噺と言うことで知っています」
「そうなのね……」
子供でも知っていることを知らない私って……、もしかして昼寝している間に教えられたものなのかも知れない。
「王妃としては必須の知識のはずですが、エリーゼ様……もしかして……」
「少し忘れていただけです」
「本当ですか?」
「本当です」
「エリーゼ様、もしかして……、学習中に寝ていたとか――」
「そんなことないです」
「本当でしょうか?」
「本当に、本当です。もう少しウルリカには信用してほしいかなって……」
「普段の行いを見ておりますと、エリーゼ様を信用しろいう方が……」
「ひどいっ!」
「おほん、とりあえずエリーゼが無事だった。それをまずは喜ぼうじゃないか」
「カーネルさん。あまりエリーゼ様を甘やかされても困ります。ただでさえ、最近は妃教育を受けていた事すら忘れているようなのですよ?」
「だが、エリーゼは王妃にはならないのだろう? なら、気にする必要はないのではないのか?」
「……それは、そうですが……。貴族の淑女としても、もう少し貴族としての自覚を持って頂きたいのです」
「それは言えるな」
「カーネルさん!?」
さっきまで味方だったカーネルさんが、いきなりウルリカの味方に!?
私の味方はチロちゃんしか……。
「あれ? チロちゃんは?」
私の呟きに室内が突然静まり返る。
私は、それに違和感を覚えながらも部屋の中を見渡す。
だけどチロちゃんの姿はない。
さっきまで露天風呂で一緒だったのに、目を覚ましてから一度も見てない。
「……エリーゼ。フェンリルの子と契約をしたのだろう?」
「は、はい」
「これは言い難いことだが、主と契約した使い魔は主が死んだ場合、使い魔も一緒に死ぬ」
「――え?」
カーネルさんの言った言葉が一瞬、理解できなかった。
まるで違う国の言語のように、まったく分からない。
「ウルリカ?」
私から目を背けるウルリカ。
「それじゃチロちゃんは……」
「わんっ!」
「まぁ、主が生き返ったから自然と生き返るよな」
「わんっ!」
カーネルさんのマントの中から出てくるチロちゃん。
そして、そのまま私に突っ込んできたので両手で抱きあげる。
「つまりそういうことだ。今回は、演出させてもらったが自分の命を粗末にするな。もう少し思慮深く動くように。エリーゼは、フェンリルと契約を結んだんだからな。お前に何かあれば使い魔たるフェンリルが死ぬことを心の片隅に書いておけ」
「はい……。もしかしてチロちゃんも……」
「ああ、さっきまで死んでいた。だから、俺やウルリカは焦った訳だ」
「気を付けます」
「分かったならいい。次回から気を付けるようにな」
「はい……」
「は、はい。大丈夫です……。それよりも、ご心配をおかけしました」
「――いや、無事ならいいんだ。それよりも息が止まっていたし心臓も止まっていたから心胆冷めたぞ」
カーネルさんが深く溜息をつきながら私の頭を撫でてくる。
「ごめんなさい」
「本当ですよ! エリーゼ様! エリーゼ様に死なれたら、精霊神様からどのようなお怒りが大陸中に降り注ぐと思っているのですか!」
「精霊様は、私が死んだくらいで怒ったりはしないと思いますけど……」
「そんな事はありません。過去に精霊に愛された子が逝去した時は、大飢饉が起きてロスバール大帝国が内乱により滅んだとも記述にあるくらいですから」
「ロスバール大帝国って、たしか神話の時代の国のことよね? それくらいは聞いたことがあるけれど……」
問題は、精霊に愛された子が逝去した時に大飢饉が起きたという事は、王宮では教えられたことがない。
もしかしたら、王妃として必要のないことだからなのかも知れないけど。
「その大飢饉の話って一般的なことなの?」
「精霊神教の中の教典では一般的に書き記されている内容ですので、子供でも御伽噺と言うことで知っています」
「そうなのね……」
子供でも知っていることを知らない私って……、もしかして昼寝している間に教えられたものなのかも知れない。
「王妃としては必須の知識のはずですが、エリーゼ様……もしかして……」
「少し忘れていただけです」
「本当ですか?」
「本当です」
「エリーゼ様、もしかして……、学習中に寝ていたとか――」
「そんなことないです」
「本当でしょうか?」
「本当に、本当です。もう少しウルリカには信用してほしいかなって……」
「普段の行いを見ておりますと、エリーゼ様を信用しろいう方が……」
「ひどいっ!」
「おほん、とりあえずエリーゼが無事だった。それをまずは喜ぼうじゃないか」
「カーネルさん。あまりエリーゼ様を甘やかされても困ります。ただでさえ、最近は妃教育を受けていた事すら忘れているようなのですよ?」
「だが、エリーゼは王妃にはならないのだろう? なら、気にする必要はないのではないのか?」
「……それは、そうですが……。貴族の淑女としても、もう少し貴族としての自覚を持って頂きたいのです」
「それは言えるな」
「カーネルさん!?」
さっきまで味方だったカーネルさんが、いきなりウルリカの味方に!?
私の味方はチロちゃんしか……。
「あれ? チロちゃんは?」
私の呟きに室内が突然静まり返る。
私は、それに違和感を覚えながらも部屋の中を見渡す。
だけどチロちゃんの姿はない。
さっきまで露天風呂で一緒だったのに、目を覚ましてから一度も見てない。
「……エリーゼ。フェンリルの子と契約をしたのだろう?」
「は、はい」
「これは言い難いことだが、主と契約した使い魔は主が死んだ場合、使い魔も一緒に死ぬ」
「――え?」
カーネルさんの言った言葉が一瞬、理解できなかった。
まるで違う国の言語のように、まったく分からない。
「ウルリカ?」
私から目を背けるウルリカ。
「それじゃチロちゃんは……」
「わんっ!」
「まぁ、主が生き返ったから自然と生き返るよな」
「わんっ!」
カーネルさんのマントの中から出てくるチロちゃん。
そして、そのまま私に突っ込んできたので両手で抱きあげる。
「つまりそういうことだ。今回は、演出させてもらったが自分の命を粗末にするな。もう少し思慮深く動くように。エリーゼは、フェンリルと契約を結んだんだからな。お前に何かあれば使い魔たるフェンリルが死ぬことを心の片隅に書いておけ」
「はい……。もしかしてチロちゃんも……」
「ああ、さっきまで死んでいた。だから、俺やウルリカは焦った訳だ」
「気を付けます」
「分かったならいい。次回から気を付けるようにな」
「はい……」
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