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第46話 少しは私を見習ってほしいものです。

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「……」

 チロちゃんは、すごく気持ちよさそうに露天風呂に浮いています。
 もしかしたら実は湯温は良い感じなのかも知れません。

「ちょっと、私ももう一度、入ってみます」
「エリーゼ様、無理をされない方がいいかと」
「大丈夫です」

 足を湯につけて、徐々にゆっくりと露天風呂の中に身体を入れていく。
 露天風呂の湯は、波立たなければ耐えられる温度。
 
「ふーっ……」
「エリーゼ様?」
「ウルリカ、私、思ったの」
「どうかなさいましたか? やはり熱いですか?」
「熱いけど、熱いのはいいかなって……」
「そうですか。それではエリーゼ様」
「何? ウルリカ」
「職人の方から露天風呂に入る前には、体を洗ってからと言われていますので、一度出てください」
「そう言うことは早く言って!?」

 私は、露天風呂から出て、ウルリカに手伝ってもらい髪の毛を洗ってもらう。
 そして露天風呂から汲んできた湯でアロマを含んだ石鹸の泡を洗い流してもらう。

「これでよろしいかと」
「ありがとう。ウルリカ」
「それでは、私は脱衣場で待機しておりますので何かありましたらお呼びください」
「わかったわ」

 ウルリカがお風呂場から出ていったあと、私は露天風呂に入る。
 さっきと違い、体が温まっているからなのか、そこまで熱いという感じはない。
 たぶん、慣れたのかも知れない。

「それにしても……」

 私は露天風呂の縁――、大きく丸い岩に上半身を預けながら体中から力を抜く。
 足が自由に伸ばせるお風呂は、久しぶりと言うこともあり、とっても気持ちいい。
 何と言うか開放的。
 うちというか館を修繕してくれている大工さんは本当に腕がいいのです。

「ふぁああっ」

 そんなことをぼーっと考えていると眠くなってきます。
 私は、露天風呂の中で力を抜きチロちゃんと同じようにお湯の中に浮いて天井を見上げる。
 天井の高さは7メートルほどあり、上の部屋がまるごと無くなっていた。
 きっと吹き抜けを作る為に取り除いたのかも知れませんね。

 そんなことを考えつつ、目を閉じる。
 私の肢体はお湯の中を漂う。
 しばらくすると、私の体の上に這い上がってくる存在が。
 瞼を開けると、チロちゃんが、私の胸を枕にしてお腹を上にして寝ている。

「これは……、チロちゃんが楽をしようとしています……」

 ほんと、誰に似たのか。
 良い睡眠をとる為には、どんな犠牲も払わないという、その適当な生き方。
 ペットは飼い主に似ると言いますけど、もう少し私を見習ってほしいものです。
 とりあえず、私も、ここのまま睡眠をとるとしましょう。

 おやすみなさい……。



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