王太子様に婚約破棄されましたので、辺境の地でモフモフな動物達と幸せなスローライフをいたします。

なつめ猫

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第43話 策士策に溺れます。

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「たしかに、そうだな……。カーネル、詳しい話はあとで聞かせてもらうからな」
「俺に聞かれても困る。それにエリーゼに関しての話題は、元、冒険者の知りあいでも教える訳にはいかないな」
「相変わらずだな」
「ふっ――」

 二人が何やら会話をしている間に、私はフェルシアさん専用荷馬車に座り欠伸をする。
 もう、眠いので、そろそろ寝たい。
 今日は、がんばったのです。

「エリーゼさまー!」

 二人の会話と、アネットさんが時折、二人の会話に混ざる様子を見ながらぼーっとしていると遠くから私の名前を呼ぶ声が。
 視線を向けると、数人の村人を連れて私達の方へと向かってくる姿が。

「エリーゼ様。戻られたのですか?」
「はい。今、戻りました」

 話しかけてきてくれたのは、村長のアルさん。

「そうでしたか。無事で何よりです。それよりも、そちらの御方は……?」

 村長のアルさんや村人さんが近寄ってくる事に気がついたアネットさんを始めとしたカーネルさんやロマネスクさんは私の近くに戻ってきていた事もあり、アルさんの視線はロマネスクさんに向けられていた。

「俺は、イスタンブールの商業ギルドを預かっているギルドマスターのロマネスクと言う。ここはイオス村で良かっただろうか?」
「はい。私は、村長のアルと言います」
「なるほど。それでエリーゼ様から、イオス村で採れる野菜をイスタンブールに卸したいと言われたのだが」
「おお、それはよいですな」
「――では、一度、取引を行う野菜や、畑などを見せてもらってもいいだろうか?」
「分かりました。――では、このアルが案内させていただきます」

 どうやら、村長のアルさんとロマネスクさんで話が纏まったみたい。
 
 ――ということは……。

「アルさん、あとはロマネスクさんと交渉して頂いてもいいですか?」
「分かりました。価格はどういたしましょうか?」
「お任せします」
「かしこまりました」

 アルさんが頭を下げてくる。

「エリーゼ様、いいのですか? 村長に商談を任せて」
「はい。私は、その辺には疎いので現場のことは現場の方に一任した方が宜しいと思いますので」
「そうか」

 私の返答に頷くロマネスクさん。

「アネットさん。一応、商人としてアルさんを手伝ってあげてください」
「分かりました。エリーゼ様」

 一応、商人見習いのアネットさんを付けておけば大丈夫だと思うし、適材適所なのです。

「それでは何かありましたら、屋敷まで来てくださいね」

 私は、話を終わらせて屋敷に戻ろうと背を向ける。
 すると――、背後から声を掛けられた。

「エリーゼ様も視察に参加されないので?」

 話しかけてきたのはロマネスクさん。
 帰ってお昼寝しようとしたのに、引き止められてしまった。

「私が居ても邪魔なだけだと思いますし、私はアルさんやアネットさんやロマネスクさんを信頼しておりますので。屋敷に戻って他の仕事をしないといけませんので……」
「なるほど……。さすが色々と仕事を抱えているのですね」

 ロマネスクさんが満足そうにうなずく。
 もちろん、アネットさんやアルさんも同じく。

「それでは、失礼いたしますわ」

 私は、颯爽と屋敷へと戻る道を進む。
 そして――、私の横にはカーネルさんも。

「カーネルさんは、ロマネスクさんと用事があったのでは?」

 もう一人で帰れる距離ですし、何も問題ないはずですが。

「ウルリカから護衛を頼まれているからな」
「そうですか……」
「それと――、売り上げの帳簿をつけるんだろう? 俺も手伝ってやろう」
「…………あ、はい」

 お昼寝の時間が……。

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