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第14話 徴税は無理みたいです。
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久しぶりに、キチンとしたというのは言い過ぎかも知れないけど、それなりの見た目のドレスを着て村へと向かう。
もちろん、村までの道中で馬車の中では、ウルリカにたくさん怒られました。
「到着しました!」
「エリーゼ様、口調!」
「あ、はい……到着いたしましたわ」
最近は、お屋敷に篭って、ずっとフェルシアさんの仔犬と遊んで、お腹に顔を埋めて深呼吸したり、フェルシアさんの毛の中で、夢の世界に旅だったりと、癒されていたため、少し貴族風な話し方や仕草が抜けているような気がする。
そう! 私は、しっかりしないと!
やればできる子!
自分を振るい立たせていると村長のアルさんが近くにきて頭を下げてくる。
「エリーゼ様、お待ちしておりました。本日は、村を見てみたいと、ウルリカ殿から伺っておりますが……」
「はい。村での農作物の出来などを見せて頂ければと思いまして」
「なるほど」
「そういえばアルさん」
「何でしょうか?」
「ここの領地で得られた作物から得られる利益などは、メレンドルフ公爵家には、どの程度、納めていらっしゃるのですか?」
「公爵様からは、村で得た収益に関しては、納める必要はないと命じられております」
「――え? そうなのですか?」
お父様に送った手紙。
それは、まだ届いていないので、どういう徴収方法を取っているのか知らなかったのだけれども、まさか無税だとは……。
「――ですが、野菜などの栽培に恵まれない町や村に野菜を売りに行き得られた利益に関しては、森の魔物を討伐する為に冒険者への依頼で消えておりますので」
「そうなのですか……」
それなら仕方ないですね。
徴税は諦めましょう。
それよりも、必要な町や村に野菜を売りにいくというのは、始めて聞いたかも。
それって私の回復魔法も必要な町や村にいけば稼げるということよね?
「依頼書などの控えはありますか? あれば見せて頂きたいのですが?」
私が納得し、商売のいい方法を考えていた所で、ウルリカがアルさんに書類提示を求めていた。
「分かりました。少しお待ちください」
アルさんは、自宅に戻るとすぐに戻ってくる。
その手には、丸められた羊皮紙が抱えられていた。
羊皮紙を受け取り、依頼内容を確認していくと、たしかに冒険者に魔物討伐を依頼した内容が書かれている。
――それにしても……。
「ずいぶんと綺麗な文字を書かれるのですね」
「お褒めに頂きありがとうございます。以前は、王都の方で財務関係の仕事をしておりましたので……」
「そうなんですの?」
そうすると、目の前の年配の方は、貴族という事になる。
財務関係の職務は、王国のお金を扱う為に、貴族出身の人しかなる事ができないから。
「ええ。色々ありまして――、公爵様に拾って頂いたのです」
「そうでしたか。ありがとうございます」
「いえいえ。お気になさらずに。それより村の中を見て周りますか? 皆、エリーゼ様には感謝しておりますので、歓迎すると思います」
「それでは畑を見せて頂けますか?」
「分かりました」
アルさんの話と、冒険者への依頼という事を考えると、徴税を取るのは厳しい。
そうなると、他の方法でお金を稼がないと。
畑を一通り見て、帰りの馬車で思案していると「作物の成長はいいですが……」と、ウルリカが私に語り掛けてくる。
「ウルリカ?」
「申し訳ありません。実は、一つ気になった事がありまして……」
「気になること?」
「はい。村の規模の割には畑の大きさが不釣り合いだという事です」
「でも、他に畑とかは無いわよね?」
「そこが気になっているところなのです」
「そうですか。それより、私も一つだけ稼ぐ方法を見つけましたの」
「どんな方法でしょうか?」
「お医者様のいない村や町にフェルシアさんの背中に乗せてもらって移動して診療所を開くの。冒険者ギルドでも、たくさん稼げたから、もしかしたらいい稼ぎになるかも知れないわよね?」
「それは、たしかに良い案ですが……」
「それじゃ、決まりね!」
移動中にフェルシアさんの背中でモフモフしながら寝れるなんて最高の未来しか見えない!
もちろん、村までの道中で馬車の中では、ウルリカにたくさん怒られました。
「到着しました!」
「エリーゼ様、口調!」
「あ、はい……到着いたしましたわ」
最近は、お屋敷に篭って、ずっとフェルシアさんの仔犬と遊んで、お腹に顔を埋めて深呼吸したり、フェルシアさんの毛の中で、夢の世界に旅だったりと、癒されていたため、少し貴族風な話し方や仕草が抜けているような気がする。
そう! 私は、しっかりしないと!
やればできる子!
自分を振るい立たせていると村長のアルさんが近くにきて頭を下げてくる。
「エリーゼ様、お待ちしておりました。本日は、村を見てみたいと、ウルリカ殿から伺っておりますが……」
「はい。村での農作物の出来などを見せて頂ければと思いまして」
「なるほど」
「そういえばアルさん」
「何でしょうか?」
「ここの領地で得られた作物から得られる利益などは、メレンドルフ公爵家には、どの程度、納めていらっしゃるのですか?」
「公爵様からは、村で得た収益に関しては、納める必要はないと命じられております」
「――え? そうなのですか?」
お父様に送った手紙。
それは、まだ届いていないので、どういう徴収方法を取っているのか知らなかったのだけれども、まさか無税だとは……。
「――ですが、野菜などの栽培に恵まれない町や村に野菜を売りに行き得られた利益に関しては、森の魔物を討伐する為に冒険者への依頼で消えておりますので」
「そうなのですか……」
それなら仕方ないですね。
徴税は諦めましょう。
それよりも、必要な町や村に野菜を売りにいくというのは、始めて聞いたかも。
それって私の回復魔法も必要な町や村にいけば稼げるということよね?
「依頼書などの控えはありますか? あれば見せて頂きたいのですが?」
私が納得し、商売のいい方法を考えていた所で、ウルリカがアルさんに書類提示を求めていた。
「分かりました。少しお待ちください」
アルさんは、自宅に戻るとすぐに戻ってくる。
その手には、丸められた羊皮紙が抱えられていた。
羊皮紙を受け取り、依頼内容を確認していくと、たしかに冒険者に魔物討伐を依頼した内容が書かれている。
――それにしても……。
「ずいぶんと綺麗な文字を書かれるのですね」
「お褒めに頂きありがとうございます。以前は、王都の方で財務関係の仕事をしておりましたので……」
「そうなんですの?」
そうすると、目の前の年配の方は、貴族という事になる。
財務関係の職務は、王国のお金を扱う為に、貴族出身の人しかなる事ができないから。
「ええ。色々ありまして――、公爵様に拾って頂いたのです」
「そうでしたか。ありがとうございます」
「いえいえ。お気になさらずに。それより村の中を見て周りますか? 皆、エリーゼ様には感謝しておりますので、歓迎すると思います」
「それでは畑を見せて頂けますか?」
「分かりました」
アルさんの話と、冒険者への依頼という事を考えると、徴税を取るのは厳しい。
そうなると、他の方法でお金を稼がないと。
畑を一通り見て、帰りの馬車で思案していると「作物の成長はいいですが……」と、ウルリカが私に語り掛けてくる。
「ウルリカ?」
「申し訳ありません。実は、一つ気になった事がありまして……」
「気になること?」
「はい。村の規模の割には畑の大きさが不釣り合いだという事です」
「でも、他に畑とかは無いわよね?」
「そこが気になっているところなのです」
「そうですか。それより、私も一つだけ稼ぐ方法を見つけましたの」
「どんな方法でしょうか?」
「お医者様のいない村や町にフェルシアさんの背中に乗せてもらって移動して診療所を開くの。冒険者ギルドでも、たくさん稼げたから、もしかしたらいい稼ぎになるかも知れないわよね?」
「それは、たしかに良い案ですが……」
「それじゃ、決まりね!」
移動中にフェルシアさんの背中でモフモフしながら寝れるなんて最高の未来しか見えない!
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