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第7話 職人さん達の朝は早いです。

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 翌朝、トンテンカンという何かを叩く音に私は目を覚ます。
 くるまっていた毛布から出て窓から外を見る。
 すると、冒険者の皆様が風の魔法で草などを刈ってくれた事で見違えた中庭が見える。

 そんな中庭で、旅の途中で大工の棟梁の奥さんを治療した事で、一緒に同行してくれる事になった職人さん達が、せっせと木を加工していた。

「朝早くから、お疲れ様です」

 私が声をかけると頭を下げてくる方々。
 ウルリカの話だと、大工見習が終わったばかりだったけど、仕事が無かったので、私に大工の棟梁さんが気を利かせて同行させてくれたらしい。
 ありがたい事です。
 
 そして家の中は、朝から頑張って働いてくれている大工さん、建築屋さん、庭師の方が頑張ってくれていたので、あっと言う間に綺麗になっていく。

「エリーゼ様」

 ぼーっと職人の方たちの手捌きを見ていると、ウルリカが話しかけてきた。
 なんだか、怒っているような気がして……。

「……は、はい」
「殿方の前で寝間着姿を見せるなど貴族の令嬢としてよろしくはありません」
「……はい」

 お城に居た時は着替えもお風呂もメイドにやらせるようにと言い聞かされていたから、今更、羞恥心なんてモノはないのだけれど、よくよく考えてみれば、異常だという事に気がついてしまう。
 しっかりしよう! 私!
 
「気を付けるわね」
「はい、気を付けてください。それでは朝食の準備が出来ておりますので食堂まで来て頂けますか?」
「食堂?」

 昨日は寝床のある部屋しか綺麗に整えられなかったのに。
 ウルリカに案内されるようにして食堂へと足を運ぶと、綺麗に掃除されていた大広間が目に飛び込んできます。

「これは、広いですね」
「はい。まだメレンドルフ家が辺境伯だった時代のモノだと聞き及んでおりますので、恐らくは軍事の際にも使われたのかも知れません」
「そう。歴史のある場所なのね」

 舞踏会でも、催せるような広い広い場所に、私は感慨深く言葉を繋ぐ。
 そのあとは大広間にポツンと置かれている長いテーブルと、細かな細工が施されている椅子に座りテーブルに並べられている料理を見る。
 料理の内容は、スクランブルエッグとパンとミルクと野菜というセットメニュー。
 小食の私には丁度いい量。
 朝から油を使った数々の貴族の料理などは、私は苦手なのでホッと一息つく。


 朝食も食べ終わったところで「エリーゼ様。これから如何、お過ごしになられますか?」と、ウルリカが話しかけてくる

「そうね。一応、ここの領地をメレンドルフ公爵家は久しぶりのようだから、挨拶にでも行きましょう」
「畏まりました」

 私は、ウルリカと一緒に村へと向かう。
 馬車で村に到着し降りると、物珍しいのか人影がチラホラと。

「エリーゼ様、こちらの村の方々が新鮮な野菜などをくれたのです」
「そうなのですか?」

 そうすると朝食に出てきたサラダは村の人から頂いたものになる。
 私は、丁重に御礼を言い、何か出来る事は無いのか伺ったところ、怪我人がいるらしい。
 私は、すぐ臨時の青空診療所を設け無償で治療していく。

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