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疾風のハヤテ

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トイレ掃除をおえて、俊たちがいる部屋にもどると、あらためて部屋をみまわした。

クロウ幼稚園とかかれた表札横のとびらをあけて、すぐこの部屋。20畳ぐらいはありそうな広さである。トイレのほかには簡易キッチンとシャワールーム。他には「じっけんしつ」と、書かれた分厚い扉が不気味である。
 さすがに幼児に漢字は難しいのか。平仮名でかかれているのがほほえましい。

「ここにいる3人は、常用漢字ぐらい読めるさ。クロウ幼稚園にはもうひとり(はやて)ってのが、居るんだが、彼は頭脳戦より肉体派なんでね。」

 もうひとり?この幼稚園4人しかいないの?この子達と仲間なんて、普通の子どもってことはなさそうだ。感覚が麻痺してきたのか、もうひとりも見てみたいって好奇心がおきても仕方ないだろう。

 「おやつの時間だからもうすぐ戻ってくるとおもうよ。」
 ちょうど、絵本でしか見たことのないような鳩時計が3時をしらせるところだった。と、同時に部屋の片隅からガタンという音、その後間髪いれずに反対の窓からヒュンと風が吹き込んだ。。きがした。

 ガタンというのは、小型エレベーターの音。おやつが届いたようだ。
 そして、ヒュンと窓からあらわれたのは泥だらけの子どもだった。

「ハヤテ、きたねーな。孝太がいやがってるぞ。シャワーあびてこいよ」ケイトが眉をひそめる。
  
これが、もうひとりのメンバーらしい。

「シャワーあびてる暇なんてないよ。事件だよ!」

 風とともに事件がやってきた。

 

 









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