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第28話:ターニングポイント
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家出したボクは都市国家ダラクで、憧れの冒険者のなることが出来た。
今のところ駆け出し冒険者生活は順調。
ダラク城での巡回の仕事も始動。
そんな中でクルシュ姫と話をする機会があった。
◇
クルシュ姫と別れてから、ボクは城から出ていく。
マリア邸に戻っていく。
「ただいま!」
「あっ、ハリト君お帰りです。ちょうど晩ご飯も出来ていますよ」
「おっ、本当? いつもありがとう、マリア」
「いえいえ。ん? ハリト君、何か元気がないですね? 城で何かありましたか?」
「えっ……分かるの?」
マリアに指摘されて驚く。
実は帰路はずっと、クルシュ姫のこと考えていたのだ。
「ハリト君は嘘がつけないので、顔にもすぐ出てしますから」
「あっ、そうか。そうだなったね」
「私で良かったら、話しくらいなら聞きますよ? 夕食の後にでも」
「本当? ありがとう、サラ」
有りがたい提案だった。
今回の件は迂闊、誰にも話せない。
でもクルシュ姫の呪印のことを、マリアも見ている。
夕食後、レオン君が寝た後に、彼女に相談することにした。
◇
レオン君は寝息を立てて寝始めた。
ボクはマリアに話をすることにした。
念のために【防音】の魔法を発動しておく。
「……という訳で、クルシュ姫はあの呪印のお蔭で、色々と困っているみたいなんだな」
「なるほどです。一度の城の敷地から、外に出たことがないのは、少し可哀想そうですね……」
同じ年頃の少女として、マリアは共感していた。
生まれた時から外出したことがない、クルシュ姫のことを本気で可哀想に思っていた。
「あと、クルシュ姫の健康が心配なんだ。体重も異常なまでに軽くて……あのままじゃ、いつか栄養失調で倒れちゃうかも」
「そうですか、それも心配ですね。ん? ハリト君は姫様の体重を? 身体を持ったのですか?」
マリアは目を見開いて驚いている。
普通は一介の庶民は、お姫様の身体に触ってはいけないのだ。
「あー、それは、偶然というか、彼女を支えるために、少しだけ」
「ふう……良かったです。でもハリト君のことだから、何が起きても心配じゃないですが」
「いやー、心配させて面目ない。でも、クルシュ姫のことは何とかしてあげたいんだよね」
「でも呪印は勝手に解除しちゃ、駄目なんですよね?」
「うん、そうだね。王家の問題に関係しているらしいんだ。だから、もう少し調べてみるよ」
「分かりました。私の方でも、教会で何か調べておきます」
「えっ、本当? ありがとう、マリア!」
素直に嬉しい提案だった。
ダラク教会は由緒ある場所。
もしかしたらクルシュ姫の呪印に関して、安易か情報があるかもしれない。
「よし、それじゃ。今日はここまでしようか? 明日から、少しずつ調べていくしかないね」
「そうですね」
こうしてこの夜の話は終わる。
互いにクルシュ姫と王家の秘術について、調べていくことにした。
行動を起こすのは、事情を調べてからでも遅くない。
◇
次の日になる。
「それじゃ、行ってきます!」
いつものように朝の準備をして、冒険者ギルドに向かう。
道中はいつものルートで、まず街の散策へ。
駆けながら、街の光景を見ていく。
少しずつ活気が戻ってきた広場の市場。
買い物客と市民の笑顔を見ながら、今日の一日のエネルギーを充電していく。
その後はいつものように冒険者ギルドに。
「おはようございます、みなさん!」
「おお、ハリト。今日も元気だな」
「ゼオンさんも朝早くからご苦労様です!」
朝一からギルドの事務仕事している、ゼオンさんに挨拶。
熊のように顔をしているが、この人は元ダラク騎士で爵位持ち。
だから経理の仕事も出来るのであろう。
改めて尊敬する。
「ちなみに今日は何か急ぎの仕事はありますか、ゼオンさん?」
「うーん、今のところは大丈夫かな? 街の方もかなり安定してきたからな」
「そうですよね。市場も前よりも、品揃えがよくなっていました」
「ああ、そうだな。これもお前のお蔭だぞ」
「あっはっはは……ありがとうございます」
ゼオンさんに褒められると、何か恥ずかしい気分。
笑って照れ隠してして、感謝を伝えておく。
「あっ、そういえばハンスの奴が、お前に今日にでも会いに来るぞ?」
「えっ、ハンスさんが?」
いったい何の用事だろう。
街の守備隊長だから、警備や防衛のことかな。
ボクで良ければいくらでも力になる。
「もしかしたら次回の《満月の襲撃》の対策かもな?」
「ああ、なるほどです。あと二週間後ですからね」
月に一回の万月の時、大陸の魔物は活性化する。
常時、魔物に狙われているダラクの街には、魔物の大軍が押し寄せてくる。
それが通称《満月の襲撃》。
ダラクの街が一番の脅威に怯える夜だ。
「そういえばゼオンさん。先手を打って、魔物を狩りに行ってもいんですか? ダラク近郊の怪しい場所に?」
「ん? 見つけることは可能なのか、ハリト?」
「はい、例の【完全探知】をもっと広範囲で使えば、だいたいの魔物は検知できます」
「ほ、本当か⁉ あれ以上の広範囲が可能なのか⁉」
「そうですね。全力でいけば、たぶん、大陸の半分くらいまでなら、いけます?」
「なっ……『大陸の半分』……だと?」
「はい。あっ、でも探知の精度は落ちてしまうので、あまり使い道はないですが」
「はっはっは……相変わらず基準が別次元だな。まぁ、今回はダラク周辺の危険地帯だけもいいぞ。ダラク冒険者ギルドを総動員して、魔物狩りといくか?」
最近のダラク冒険者ギルドも、余裕が出てきた。
街の生活が安定してきたために、外へ出ていけるようになったのだ。
「そうですね! 頑張って協力します!」
街の周辺の魔物の数を減らしていけば、《満月の襲撃》の危機も減っていく。
最終的には街の市民が怯えることも、無くなるようにしたい。
「おい、野郎ども! 今度、時間が空いた時に、魔物狩りに行くぞ! もちろんハリトの支援付きでな!」
ギルドで待機しているメンバーに、ゼオンさんが声をかける。
「「「おー!」」」
メンバーから歓声が上がる。
「魔物狩りか、久しぶりだな!」
「ああ、ようやく冒険者らしくなってきたな、オレたちも!」
「たくさん魔物を狩って、魔石も手に入れるチャンスだな!」
「ああ。これで子供たちに新しい服を買ってやれそうだな!」
ギルドメンバーは吉報に大喜び。
魔物狩りは危険があるが、儲けも多い。
まさに一攫千金の大チャンスなのだ。
そんな光景を見て、オレは心がほっこりする。
(ああ、いいな……これぞ……冒険者という感じだな)
最初ここに来た時、冒険者ギルドとして機能していかなった。
街の人からの依頼は無く、ギルドメンバーも雑務に追われる日々。
誰も“冒険”の余裕はなかったのだ。
でも今は違う。
誰もが目を輝かせていた。
困っている人を助け、一攫千金を夢見る冒険者の顔をしているのだ。
(本当に良かった……これからもボクも微力ながら手伝っていこう!)
――――そう心に誓った時だった。
妙な胸騒ぎがする。
「ん⁉ えっ⁉ なんだ、これは⁉」
今まで感じたことがない不安感だ。
これは……上?
空の上が、何か変だぞ?
何かが起きてきそうだ。
――――その時だった。
「おい、みんな! 大変だ! 空が! 陽がやばいぞ!」
外の鍛錬場にいたメンバーが、飛び込んでくる。
かなり焦った様子だ。
「「「どうした⁉」」」
全員で外に出ていく。
そして空を見上げる。
「「「なっ……」」」
全員が言葉を失う。
信じられない光景が、上空にあるみたいなのだ。
少し遅れてボクも外に出て、上を見上げる。
そして空の異変に気が付く。
「あれは……陽が隠れていく⁉ まだ早朝なのに⁉」
驚いたことだった。
朝日が段々と黒くなっていくのだ。
あれは自宅の本で見たことがある現象。
たしか皆既日食だ。
でも、あんな異様な皆既日食は、本と違う。
初めて見る光景。
それ今はまだ早朝なのに、どうして、こんな現象が起こるのだろうか?
――――そんな時、また異変を感知する。
「ん? これは……まさか⁉」
北の方に意識を向ける。
先ほど発動した【完全探知】に、大きな反応を発見したのだ。
「どうした、ハリト? 何かあったのか⁉」
ボクの異変に、ゼオンさんが気付く。
「はい……凄く大きな反応の魔物が、こっちに近づいてきます。ちょっとヤバイ個体です、これは」
「なんだと⁉ お前が……ハリトが『ヤバイ』だと⁉ 時間は?」
「この距離と移動速度だと……一時間以内には、この街の上空に到達します」
相手は空を飛んで移動してきている。
速度はそれほど速くはない。
だが反応が普通ではない。
それに明らかに敵意を出して、直線でこのダラクを目指してきている。
「そうか。こいつは《満月の襲撃》どころの騒ぎじゃないな……おい、野郎ども! 急いで街の市民に連絡していけ! あと、誰かハンスのところに走れ! このことを伝えるんだ! 四十分後に、北の城壁に完全武装で集合だぞ!」
「「「おう!」」」
ゼオンさんの指示で、ギルドメンバーは一斉に動き出す。
全員が今回のことに一致団結。
蜘蛛の子を散らすように、仕事にとりかかる。
「ゼオンさん、ボクは何をすれば?」
「お前は城に行って、バラストに今のことを伝えろ。あと出来たら陛下にも! 城の……いや国の危機だと! その後は北の城壁に来てくれ!」
「はい! 必ず伝えてきます!」
とんでもない事件が起きた。
ボクは全力疾走で城へと向かうのであった。
今のところ駆け出し冒険者生活は順調。
ダラク城での巡回の仕事も始動。
そんな中でクルシュ姫と話をする機会があった。
◇
クルシュ姫と別れてから、ボクは城から出ていく。
マリア邸に戻っていく。
「ただいま!」
「あっ、ハリト君お帰りです。ちょうど晩ご飯も出来ていますよ」
「おっ、本当? いつもありがとう、マリア」
「いえいえ。ん? ハリト君、何か元気がないですね? 城で何かありましたか?」
「えっ……分かるの?」
マリアに指摘されて驚く。
実は帰路はずっと、クルシュ姫のこと考えていたのだ。
「ハリト君は嘘がつけないので、顔にもすぐ出てしますから」
「あっ、そうか。そうだなったね」
「私で良かったら、話しくらいなら聞きますよ? 夕食の後にでも」
「本当? ありがとう、サラ」
有りがたい提案だった。
今回の件は迂闊、誰にも話せない。
でもクルシュ姫の呪印のことを、マリアも見ている。
夕食後、レオン君が寝た後に、彼女に相談することにした。
◇
レオン君は寝息を立てて寝始めた。
ボクはマリアに話をすることにした。
念のために【防音】の魔法を発動しておく。
「……という訳で、クルシュ姫はあの呪印のお蔭で、色々と困っているみたいなんだな」
「なるほどです。一度の城の敷地から、外に出たことがないのは、少し可哀想そうですね……」
同じ年頃の少女として、マリアは共感していた。
生まれた時から外出したことがない、クルシュ姫のことを本気で可哀想に思っていた。
「あと、クルシュ姫の健康が心配なんだ。体重も異常なまでに軽くて……あのままじゃ、いつか栄養失調で倒れちゃうかも」
「そうですか、それも心配ですね。ん? ハリト君は姫様の体重を? 身体を持ったのですか?」
マリアは目を見開いて驚いている。
普通は一介の庶民は、お姫様の身体に触ってはいけないのだ。
「あー、それは、偶然というか、彼女を支えるために、少しだけ」
「ふう……良かったです。でもハリト君のことだから、何が起きても心配じゃないですが」
「いやー、心配させて面目ない。でも、クルシュ姫のことは何とかしてあげたいんだよね」
「でも呪印は勝手に解除しちゃ、駄目なんですよね?」
「うん、そうだね。王家の問題に関係しているらしいんだ。だから、もう少し調べてみるよ」
「分かりました。私の方でも、教会で何か調べておきます」
「えっ、本当? ありがとう、マリア!」
素直に嬉しい提案だった。
ダラク教会は由緒ある場所。
もしかしたらクルシュ姫の呪印に関して、安易か情報があるかもしれない。
「よし、それじゃ。今日はここまでしようか? 明日から、少しずつ調べていくしかないね」
「そうですね」
こうしてこの夜の話は終わる。
互いにクルシュ姫と王家の秘術について、調べていくことにした。
行動を起こすのは、事情を調べてからでも遅くない。
◇
次の日になる。
「それじゃ、行ってきます!」
いつものように朝の準備をして、冒険者ギルドに向かう。
道中はいつものルートで、まず街の散策へ。
駆けながら、街の光景を見ていく。
少しずつ活気が戻ってきた広場の市場。
買い物客と市民の笑顔を見ながら、今日の一日のエネルギーを充電していく。
その後はいつものように冒険者ギルドに。
「おはようございます、みなさん!」
「おお、ハリト。今日も元気だな」
「ゼオンさんも朝早くからご苦労様です!」
朝一からギルドの事務仕事している、ゼオンさんに挨拶。
熊のように顔をしているが、この人は元ダラク騎士で爵位持ち。
だから経理の仕事も出来るのであろう。
改めて尊敬する。
「ちなみに今日は何か急ぎの仕事はありますか、ゼオンさん?」
「うーん、今のところは大丈夫かな? 街の方もかなり安定してきたからな」
「そうですよね。市場も前よりも、品揃えがよくなっていました」
「ああ、そうだな。これもお前のお蔭だぞ」
「あっはっはは……ありがとうございます」
ゼオンさんに褒められると、何か恥ずかしい気分。
笑って照れ隠してして、感謝を伝えておく。
「あっ、そういえばハンスの奴が、お前に今日にでも会いに来るぞ?」
「えっ、ハンスさんが?」
いったい何の用事だろう。
街の守備隊長だから、警備や防衛のことかな。
ボクで良ければいくらでも力になる。
「もしかしたら次回の《満月の襲撃》の対策かもな?」
「ああ、なるほどです。あと二週間後ですからね」
月に一回の万月の時、大陸の魔物は活性化する。
常時、魔物に狙われているダラクの街には、魔物の大軍が押し寄せてくる。
それが通称《満月の襲撃》。
ダラクの街が一番の脅威に怯える夜だ。
「そういえばゼオンさん。先手を打って、魔物を狩りに行ってもいんですか? ダラク近郊の怪しい場所に?」
「ん? 見つけることは可能なのか、ハリト?」
「はい、例の【完全探知】をもっと広範囲で使えば、だいたいの魔物は検知できます」
「ほ、本当か⁉ あれ以上の広範囲が可能なのか⁉」
「そうですね。全力でいけば、たぶん、大陸の半分くらいまでなら、いけます?」
「なっ……『大陸の半分』……だと?」
「はい。あっ、でも探知の精度は落ちてしまうので、あまり使い道はないですが」
「はっはっは……相変わらず基準が別次元だな。まぁ、今回はダラク周辺の危険地帯だけもいいぞ。ダラク冒険者ギルドを総動員して、魔物狩りといくか?」
最近のダラク冒険者ギルドも、余裕が出てきた。
街の生活が安定してきたために、外へ出ていけるようになったのだ。
「そうですね! 頑張って協力します!」
街の周辺の魔物の数を減らしていけば、《満月の襲撃》の危機も減っていく。
最終的には街の市民が怯えることも、無くなるようにしたい。
「おい、野郎ども! 今度、時間が空いた時に、魔物狩りに行くぞ! もちろんハリトの支援付きでな!」
ギルドで待機しているメンバーに、ゼオンさんが声をかける。
「「「おー!」」」
メンバーから歓声が上がる。
「魔物狩りか、久しぶりだな!」
「ああ、ようやく冒険者らしくなってきたな、オレたちも!」
「たくさん魔物を狩って、魔石も手に入れるチャンスだな!」
「ああ。これで子供たちに新しい服を買ってやれそうだな!」
ギルドメンバーは吉報に大喜び。
魔物狩りは危険があるが、儲けも多い。
まさに一攫千金の大チャンスなのだ。
そんな光景を見て、オレは心がほっこりする。
(ああ、いいな……これぞ……冒険者という感じだな)
最初ここに来た時、冒険者ギルドとして機能していかなった。
街の人からの依頼は無く、ギルドメンバーも雑務に追われる日々。
誰も“冒険”の余裕はなかったのだ。
でも今は違う。
誰もが目を輝かせていた。
困っている人を助け、一攫千金を夢見る冒険者の顔をしているのだ。
(本当に良かった……これからもボクも微力ながら手伝っていこう!)
――――そう心に誓った時だった。
妙な胸騒ぎがする。
「ん⁉ えっ⁉ なんだ、これは⁉」
今まで感じたことがない不安感だ。
これは……上?
空の上が、何か変だぞ?
何かが起きてきそうだ。
――――その時だった。
「おい、みんな! 大変だ! 空が! 陽がやばいぞ!」
外の鍛錬場にいたメンバーが、飛び込んでくる。
かなり焦った様子だ。
「「「どうした⁉」」」
全員で外に出ていく。
そして空を見上げる。
「「「なっ……」」」
全員が言葉を失う。
信じられない光景が、上空にあるみたいなのだ。
少し遅れてボクも外に出て、上を見上げる。
そして空の異変に気が付く。
「あれは……陽が隠れていく⁉ まだ早朝なのに⁉」
驚いたことだった。
朝日が段々と黒くなっていくのだ。
あれは自宅の本で見たことがある現象。
たしか皆既日食だ。
でも、あんな異様な皆既日食は、本と違う。
初めて見る光景。
それ今はまだ早朝なのに、どうして、こんな現象が起こるのだろうか?
――――そんな時、また異変を感知する。
「ん? これは……まさか⁉」
北の方に意識を向ける。
先ほど発動した【完全探知】に、大きな反応を発見したのだ。
「どうした、ハリト? 何かあったのか⁉」
ボクの異変に、ゼオンさんが気付く。
「はい……凄く大きな反応の魔物が、こっちに近づいてきます。ちょっとヤバイ個体です、これは」
「なんだと⁉ お前が……ハリトが『ヤバイ』だと⁉ 時間は?」
「この距離と移動速度だと……一時間以内には、この街の上空に到達します」
相手は空を飛んで移動してきている。
速度はそれほど速くはない。
だが反応が普通ではない。
それに明らかに敵意を出して、直線でこのダラクを目指してきている。
「そうか。こいつは《満月の襲撃》どころの騒ぎじゃないな……おい、野郎ども! 急いで街の市民に連絡していけ! あと、誰かハンスのところに走れ! このことを伝えるんだ! 四十分後に、北の城壁に完全武装で集合だぞ!」
「「「おう!」」」
ゼオンさんの指示で、ギルドメンバーは一斉に動き出す。
全員が今回のことに一致団結。
蜘蛛の子を散らすように、仕事にとりかかる。
「ゼオンさん、ボクは何をすれば?」
「お前は城に行って、バラストに今のことを伝えろ。あと出来たら陛下にも! 城の……いや国の危機だと! その後は北の城壁に来てくれ!」
「はい! 必ず伝えてきます!」
とんでもない事件が起きた。
ボクは全力疾走で城へと向かうのであった。
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